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相続問題

養子縁組は相続税対策になる?メリットや注意点を解説

福岡法律事務所 副所長 弁護士 今西 眞

監修弁護士 今西 眞弁護士法人ALG&Associates 福岡法律事務所 副所長 弁護士

養子がいると、相続人が支払う相続税を抑えられる可能性があります。そのため、相続税対策として、養子縁組により法定相続人を増やすこと増やすことも相続税の支払いを軽減する一案になり得ます。 しかし、養子縁組は法律上の親子関係になる制度であるため、メリットとデメリットを理解して、慎重に判断する必要があります。

この記事では、相続税対策としての養子縁組について解説します。

養子は相続税対策になる?

養子縁組をすると、養子は養親の法定相続人となり、養親が遺した相続財産を相続できます。相続において、実子と養子の間に取り扱いの差はないため、養子であったとしても実子と同様に扱います。

そして、養子縁組をすることにより、相続税の基礎控除が増えるため、相続税対策となります。
ただし、養子縁組による基礎控除の増加は、実子がいる場合には一人まで、実子がいない場合には二人までと制限があります。

相続税対策として行われる養子縁組にはどんなものがある?

孫と養子縁組

孫にまとまった財産を遺すために生前にできる方法としては、110万円までの生前贈与をよく耳にするのではないでしょうか。しかし、生前贈与では年間110万円を超えると贈与税がかかってしまいますし、法改正により生前贈与は7年まで遡って生前贈与加算をされて計算されるため、相続税対策として行うのが難しくなりました。

そのようなとき、養子縁組をすることによって確実にまとまった財産を遺しつつ、相続税対策をすることができます。

また、孫と養子縁組をすることによって、親子間一代を飛ばして相続させることができるため、相続税の支払い回数を削減することができます。

子の配偶者と養子縁組

被相続人の子の配偶者は、相続人ではないため、被相続人が死亡しても相続をさせることはできません。しかし、養子縁組をすれば、子の配偶者にも相続させることは可能です。

例えば、子の配偶者による献身的な介護を受けたため、その感謝として、遺産を相続してもらうために養子縁組をすることが考えられます。

なお、被相続人の親族が無償で介護等を行った場合には、相続人に対して「特別寄与料」という金額を請求することができる制度があります。しかし、特別寄与料を受け取るのは簡単ではなく、金額も十分でないことが多いため、まとまった財産を遺したい場合には、養子縁組が有益です。

相続税対策に養子縁組することのメリット

  • ① 基礎控除額の増加
    相続税の基礎控除額は、
    「3000万円+(600万円×法定相続人の人数)」
    というように計算します。
    そのため、養子縁組により法定相続人の数を増やせば、相続税対策となる場合があります。
  • ② 累進課税の緩和
    基礎控除額の場合と同様に、法定相続人が増えることにより、各法定相続人の法定相続分が減少し、適用税率の区分が下がる場合があります。
  • ③ 非課税金額の増加
    生命保険金や死亡退職金の非課税金額は、
    「500万円×法定相続人の人数」
    というように計算します。
    そのため、養子が1人増えると非課税金額も500万円増える可能性があります。
  • ④ 遺留分の減少
    これは、相続税負担の話ではありませんが、養子が増えることで各相続人の遺留分が減少することになります。そのため、特定の相続人になるべく多くの相続財産を遺したい場合には、あえて養子を増やしておくという方法がとられることがあります。

相続税対策のために養子縁組することの注意点

他の相続人とトラブルになることがある

養子縁組をすると、養子は養親の法定相続人となり、実子と同等の法定相続分を有することになります。何の相談もなく、相続が開始されたときに養子縁組の事実を知り、自らの法定相続分が減ったことを知れば、取り分が減ることに反発する実子もいるでしょう。

そのため、養子縁組をする際には、事前に、被相続人と実子関係にある人等の了承を得るのが望ましいと言えます。

基礎控除の枠として有効な養子の数には制限がある

民法上は、養子の数に制限はなく、何人でも養子縁組をすることはできます。
しかし、相続税法上においては、実子がいる場合には1人、実子がいない場合には2人までしか養子をカウントしません。

これは、養子縁組制度を利用した、行き過ぎた節税対策を防止するためのものです。
さらに、相続税を抑えることだけを目的として養子縁組をしたとみなされれば、養子を法定相続人の数に加えない措置を受ける可能性があります。

相続税が2割加算されるケースもある

孫と養子縁組をした場合には、原則、相続税が2割加算されます(ただし、孫が代襲相続をした場合を除きます)。
これは、通常は、親から子、子から孫へと2回の相続でそれぞれ相続税を支払うはずが、孫を養子にして直接相続することにより相続税の支払いを減らそうとすることを防止するための規定です。

また、相続人が配偶者または親子以外である場合も、同様に相続税が2割加算されます。これは、相続する可能性が低かった者には、相続財産を生活のために必要とする予定であったとは考え難いため、相続税を重くしても問題ないと考えられるからです。

節税目的の養子縁組は否認されることがある

税務署の判断により、制限人数内であっても、相続税の計算上の法定相続人であるとは認められない場合があります。

(例)養子の中に全く財産を相続しない者がいる場合
   相続発生の直前に養子縁組し、相続してすぐに死後離縁した場合

これらの場合には、節税対策のみを目的とした養子縁組として、相続税法上は有効な養子縁組として認められない可能性があります。

なお、これらは相続税を計算する時の話であり、養子縁組自体の効果が否定されるわけではありません。そのため、税務署に否定されても、法定相続人となり相続財産を相続することは可能です。

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相続税対策として養子縁組する方法

養子縁組には、2つの方法があります。

  • ① 普通養子縁組
    養子が養親と法律上の親子となる一方で、実親との親子関係が存続する制度です。
    成年者を養子とする場合には、婚姻の場合と同様に、当事者の合意と届出のみによって成立します。
    なお、未成年者等を養子とするには、家庭裁判所の許可が必要な場合があります。
  • ② 特別養子縁組
    法律上の実親子関係を終了させて、新たな法律上の親子関係を創造する制度です。
    特別養子縁組は、普通養子縁組よりも要件が厳しくなっており、実父母の同意や、実父母による看護ができないような特別の事情がある場合においてこの利益のため特に必要がある場合に認められます。また、家庭裁判所の審判を経る必要があります。

以上のように、特別養子縁組はその要件が厳しいため、相続税対策を考える場合には、普通養子縁組をするのが一般的と言えるでしょう。

相続についてのお悩みは弁護士にご相談ください

養子縁組により法定相続人を増やせば、相続税を抑えられる可能性があります。

しかし、相続は、血のつながった親族間でもトラブルになりやすいものです。養子縁組によって新たな家族関係を形成することで、トラブルを引き起こす原因になりかねません。

また、場合によっては、節税対策とならないことや、生前贈与や遺言の方法を取った方が良いこともあります。

弁護士であれば、どのような方法を用いるべきか、相談者様の状況に応じたアドバイスが可能です。
まずはご気軽にご相談ください。

福岡法律事務所 副所長 弁護士 今西 眞
監修:弁護士 今西 眞弁護士法人ALG&Associates 福岡法律事務所 副所長
保有資格弁護士(福岡県弁護士会所属・登録番号:47535)
福岡県弁護士会所属。弁護士法人ALG&Associatesでは高品質の法的サービスを提供し、顧客満足のみならず、「顧客感動」を目指し、新しい法的サービスの提供に努めています。