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共同親権で何が変わる?メリットやデメリットを解説

福岡法律事務所 副所長 弁護士 今西 眞

監修弁護士 今西 眞弁護士法人ALG&Associates 福岡法律事務所 副所長 弁護士

共同親権とは

共同親権は、父母の双方が子供の親権を有することを指します。

婚姻中の夫婦と実子の関係は、通常これに該当しますが、離婚後も単独親権だけでなく、共同親権を選択することができるようになる、というのが今回の法改正の大きな内容の一つです。

海外の共同親権の導入状況は?

海外の場合、単独親権のみを採用している国は少数派です。

法務省民事局がG20を含む24か国を対象に行った調査では、インド・トルコの二か国のみが単独親権、その他は選択的な共同親権の制度を採用する国や、共同親権を原則的な形態とする国だったとされています。

日本ではいつから共同親権が導入されるのか?

日本では、令和8年4月1日に共同親権の制度導入を含む改正法が施行されます。
したがって、制度の導入は同日より、ということになります。

共同親権を導入するメリット

離婚時の親権争いを回避しやすい

双方が親権を強く望む場合、単独親権以外の選択肢のない従前の制度との比較では、共同親権という選択肢が存することで、少なくとも親権という問題については穏当な選択肢が一つ増えることになります。

離婚後でも両親ともに子育てに関われる

共同親権の制度導入に付随する内容として、離婚時に監護の分担の定めをすることができます。法務省民事局発行のパンフレットでは、「平日は父母の一方がこどもの監護を担当し、土日祝日は他方が担当するといった定め」というような例も挙げられているところです。

すべての事案に適応可能なわけではなく、“こどもの利益を最優先”という考え方自体に変更はありませんが、従来の制度よりは柔軟な解決につながりうるところだと思います。

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共同親権が認められないケース

親権について、父母双方の協議が整わない場合は家庭裁判所の判断を求めることになります。

その際、①虐待のおそれがある場合、②DVのおそれその他の事情により父母が共同して親権を行うことが困難であると認められるとき、に該当する場合、家庭裁判所は単独親権としなければならないものと規定されています(改正民法819条7項)。

共同親権についてのQ&A

共同親権導入後に離婚した場合、自動的に共同親権になるのでしょうか?

新しい制度は、共同親権も選択可能とするものです。
離婚したら自動的に共同親権になるというものではありません。

既に離婚している場合、共同親権になった後の親権はどうなるのでしょうか?

共同親権に関する改正民法の施行後には、それ以前に離婚した方についても「親権者変更調停・審判」の申立てにより、共同親権に変更する途が開かれています。実際に変更等が行われるかは個別的な事情によるところです。

共同親権で再婚した場合、子供の親権者は誰になりますか?

婚姻だけでは親権に変動はありません。
再婚相手が養子縁組をした場合、養親とその配偶者の共同親権となり、他方の実親は親権者ではなくなります。

共同親権は拒否できますか?

離婚の際に、共同親権と単独親権のいずれを選択するかについて、第一義的には両当事者の協議によるところです。

一方が共同親権とすることを拒否し、他方が希望するという状況では、前記のとおり家庭裁判所の判断を求めることとなります。
拒否を貫いた場合にいずれの帰結に至るかは個別の事情によります。

共同親権から単独親権への変更はできますか?

共同親権から単独親権への変更も、「親権者指定調停・審判」の申立てが可能です。

共同親権について不明点があれば弁護士へご相談ください

長年単独親権の制度を採用していた本邦において、今回の民法改正は大きな変革を伴うものです。

法定養育費の導入等、その他の制度変更を含め、離婚や親権の問題にお悩みの方は一度弁護士に相談することをお勧めいたします。

亡くなられた方(被相続人)の遺言が残されていない場合、遺産をどのように分ければ良いのか判断に迷うことや、トラブルになることが少なくありません。

このような場合には、民法で定められた相続財産を引き継ぐ割合の目安である「法定相続分」を前提に、具体的相続分を算定することになります。法定相続分を正確に把握することは、具体的相続分算定の前提となるため、非常に重要です。

法定相続分について理解するためには、「法定相続人」や「相続割合」について正しく理解する必要があります。

本稿では、法定相続人ごとの相続割合や、法定相続分が認められない人、遺産分割が法定相続分どおりにならないケース等についてわかりやすく解説します。

法定相続分とは

法定相続分とは、民法900条に定められている、相続人の間で遺産分割の合意ができなかったときに目安とされる相続割合のことです。

被相続人が遺言書を作成しなかった場合等において、法定相続人が複数人いるときに、誰が相続人となり、どの割合で相続するかを決めるときに用いられます。

法定相続分は遺産分割協議で使用される

遺産分割協議では、法定相続分が目安の割合として活用されます。

遺産分割協議とは、相続人の全員が参加して、相続財産の分け方を話し合う手続きのことです。全員が合意すれば成立しますが、相続人の1人でも反対すると、いつまでも成立しなくなってしまいます。

遺産分割協議が合意に至らなかった場合には、家庭裁判所に申し立てて、遺産分割調停や遺産分割審判によって相続分などを決定します。

調停は、調停委員に仲介してもらいながら進める話し合いなので、結論を強制されることはありません。しかし、審判では裁判官の判断によって結論が下されます。

審判では、法定相続分や、特別受益、寄与分を基に、遺産分割の方法が定められることが一般的です。

法定相続人の範囲と相続順位

法定相続分は、誰が法定相続人となって相続するかによって割合が異なり、民法によって表のように決められています。

法定相続人は、被相続人との関係性によって相続順位が設けられています。
配偶者は常に相続人となります。配偶者以外の相続人は、先順位の法定相続人がいる場合、相続人とはなりません。

配偶者がいない場合、第1順位、第2順位、第3順位の順に相続人が定まります。

順位 法定相続人
常に相続人 配偶者
第1順位 被相続人の子など直系卑属
(親子関係でつながった親族のうち下の世代)
第2順位 被相続人の父母など直系尊属
(親子関係でつながった親族のうち上の世代)
第3順位 被相続人の兄弟姉妹

【ケース別】法定相続分の割合と計算方法

配偶者+子供の場合

被相続人に配偶者と子がいる場合の法定相続人は、配偶者と、相続順位が第1順位である子です。それぞれ「2分の1ずつ」の割合で分割することとなります。
子が複数名いるときは、子に割り当てられた「2分の1の相続分」を、子の頭数で割ります。

配偶者がいない場合には、子がすべての財産を相続します。子が複数いれば、人数で均等に割ります。

配偶者+直系尊属の場合

配偶者と次順位(第2順位)の被相続人の直系尊属が相続人になります。

法定相続分は、配偶者3分の2、被相続人の直系尊属が3分の1となります。例えば、両親が生存している場合、相続の割合は父親6分の1、母親6分の1となります。

両親のうち片方が死亡している場合、生存している親が相続人となり、相続分は3分の1となります。両親双方が死亡しており、祖父母が生存しているときは、3分の1を祖父母の人数で割った数が、祖父母それぞれの相続分となります。

配偶者+兄弟姉妹の場合

配偶者と、第3順位の法定相続人にあたる兄弟姉妹が相続人になります。

法定相続分は、配偶者4分の3、被相続人の兄弟姉妹4分の1です。兄弟姉妹が複数人いる場合は、兄弟姉妹の法定相続分である4分の1を、兄弟姉妹の人数で平等に分け合います。

ただし、父又は母の違う兄弟姉妹(半血の兄弟姉妹)がいる場合、半血の兄弟姉妹の相続分は、父及び母を同じくする兄弟姉妹(全血の兄弟姉妹)の2分の1となります。

配偶者のみ・子供のみ・親のみ・兄弟姉妹のみの場合

この場合、配偶者、子ども、直系尊属、兄弟姉妹が全て相続します。
ただし、兄弟姉妹のうち全血の兄弟姉妹と半血の兄弟姉妹がいる場合、半血の兄弟姉妹の相続分は全血の兄弟姉妹の半分です。

配偶者+孫の場合(代襲相続)

被相続人が亡くなったときに、子が既に死亡しており、亡くなった子の子(被相続人の孫)がいた場合には、孫が代襲相続します。

代襲相続とは、被相続人が亡くなったときに、本来相続人となるはずであった者が死亡するなどしていた場合に、その子などが代わって相続する制度のことです。

被相続人に配偶者がおり、代襲相続人が孫やひ孫などのケースでは、その孫などの法定相続分は、本来の相続人である「子」と同じ「2分の1」となります。

なお、法定相続人になる予定であった兄弟姉妹が先に亡くなっているケースでは、その子である被相続人の甥姪も、兄弟姉妹を代襲相続することができます。
ただし、甥姪の子は再代襲相続することができません。

養子がいる場合

養子は法定相続人となるため、実子と同じように法定相続分があります。
被相続人の配偶者の連れ子に相続権はありませんが、養子縁組をすれば、配偶者の連れ子も第1順位の相続人となることができます。

非嫡出子がいる場合

非嫡出子とは、法律上結婚していない男女の間に生まれた子のことです。

非嫡出子であっても、被相続人に認知されて戸籍にその旨が記載されていれば、第1順位の相続人となり、嫡出子と同じだけの法定相続分が認められることになります。

例えば被相続人に配偶者、配偶者との間の子1人がおり、愛人の子1人を認知していると、子2人の法定相続分はそれぞれ4分の1になります。
ここで、非嫡出子の相続分は、「民法の一部を改正する法律」(平成25年法律第94号)の施行前は、嫡出子の2分の1とされていました。

平成25年9月4日の最高裁決定において、嫡出でない子の相続分に関する規定が遅くとも平成13年7月においては違憲であったと判断されました。
平成13年7月1日以降に生じた相続で遺産分割が未了の場合等、法律関係が確定的となっていない場合、同改正前の民法の規定にかかわらず、嫡出子と非嫡出子の相続分は、同じとして扱われます。

参照:民法の一部が改正されました(法務省HP)

なお、被相続人に認知されていなかった非嫡出子は法定相続人にならず、法定相続分もありません。この場合、被相続人の死後3年以内に検察官に対して認知の訴えを提起することで、親子関係を証明できれば死後認知をしてもらうことができます。

法定相続分が認められない人

法定相続分は、民法で定められた“法定相続人の”相続割合ですから、法定相続人以外の人には認められません。

例えば、相続開始前には相続人になると思われていた者が、何らかの事情で相続権を失うと法定相続分を持ちません。

法定相続分を失った者は、遺留分も失うことになります。
また、次のような者は法定相続人として定められていないため、被相続人とどれだけ親しかったとしても法定相続分は認められません。

離婚した元配偶者

法定相続人になるのは、相続発生時に配偶者であった者だけです。
そのため、かつては配偶者であったとしても、相続発生時には離婚していたのであれば、法定相続人にはなりません。

これは、離婚後に同居していた者であっても同じです。

内縁関係や事実婚の状態にある人

法定相続人になるのは、法律上の配偶者だけです。そのため、内縁関係の配偶者や同性のパートナー等は法定相続人になりません。

このような場合には、遺言の作成で相続に備えることになります。

養子縁組をしていない再婚相手の連れ子

被相続人の配偶者に連れ子がいても、そのままでは法定相続人になりません。法定相続人にするためには、養子縁組をして法律上の子にする必要があります。

これは、実の親子のように仲良くしていたとしても同じです。養子縁組しないのであれば、遺言書を作成して遺贈すること等が必要です。

代襲相続人でない孫や甥姪

被相続人の孫や甥姪は、基本的に法定相続人ではありません。

孫や甥姪が法定相続人になるのは、被相続人の子や兄弟姉妹が亡くなっており代襲相続が発生した場合や、被相続人と養子縁組していた場合等です。

相続放棄した人

法定相続人が相続放棄をした場合、最初から相続人ではなかったものとして扱われるため、法定相続分は認められません。

また、相続放棄の手続きによって相続権を初めから持っていなかったものと扱われる以上、相続権がその後の世代に引き継がれることはありません。
つまり、その後の世代に代襲相続は発生しません。

相続廃除や相続欠格に該当する人

相続人廃除とは、被相続人自身から家庭裁判所に申し立てることで、特定の推定相続人の資格を取り上げる制度です。
被相続人に対して虐待行為や重大な侮辱行為をしたり、ひどい非行に走っていたりした場合に認められる可能性があります。

相続欠格とは、遺産を不当に手に入れるために、推定相続人が相続欠格事由に当てはまる不正な行為をしたことを理由として、その推定相続人の相続権を失わせる制度です。
これは、欠格事由に当てはまると自動的に相続欠格になるため、誰かが裁判所などに申し出る必要はありません。

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法定相続分と遺留分の違い

遺留分とは、配偶者や子、父母などに認められている、最低限の相続財産の取得分です。
法定相続分とは違い、兄弟姉妹には遺留分が認められていません。

また、法定相続分はあくまで「相続割合の目安」なので、遺言や相続人の合意によって異なる割合を指定できますが、遺留分は遺言や相続人の合意では侵害できない「相続人の最低限の権利」です。

そのため、遺言で相続分がないものとされても、遺留分侵害額請求を行うことで、遺留分に相当する金銭を他の相続人等に対して請求できます。

遺産分割が法定相続分どおりにならないケース

遺言書がある場合

被相続人が生前に遺言書を作成していれば、基本的には遺言書で指定されている内容に従って相続財産を分配します。ただし、遺言書で分割方法が指定されていない財産については、別途、遺産分割を行う必要があります。

遺言書では法定相続分とは異なる取り分を指定できます。
相続人の1人に全財産を相続させる旨の指定も可能です。
ただし、遺留分を有する相続人がいると、遺留分侵害額請求が行われてトラブルになるリスクもあるため注意しましょう。

また、相続人の全員が合意すれば、遺言書の内容とは異なる分配を行うこともできます。

生前贈与があった場合

生前贈与が行われると、贈与した時に財産が移転するため、法定相続分がない者であっても被相続人の財産を受け取る結果となります。
財産の大半を生前贈与すると、法定相続人はほとんど財産を相続しません。

ただし、生前贈与によって遺留分が侵害されると、遺留分侵害額請求の対象となります。
法定相続人に生前贈与が行われた場合、相続財産の前渡しとして扱われます。このような利益を「特別受益」といいます。

寄与分が認められる場合

寄与分とは、介護や事業の手伝い等によって、被相続人の財産の維持や増加に特別の貢献をした相続人について、相続財産の取り分(具体的相続分)を増額する制度です。

相続人が寄与分を主張すれば、具体的相続分を増やせる可能性があります。

ただし、寄与分は基本的に相続人の協議又は調停によって金額を決定し、協議がまとまらない場合、審判により定められます。そのため、寄与分があることを証明するための資料等を保存しておかなければ、寄与分を認めてもらえないことが少なくないため注意しましょう。

なお、相続人以外の親族であっても、その寄与に応じた金銭を相続人に対して請求できます。このときに請求できる金銭を「特別寄与料」といいます。

法定相続分に関するよくある質問

法定相続分を超える相続にはどんなものがありますか?

以下のようなケースが考えられます。

・遺産分割協議で多くの取り分が認められた
・遺言書によって取り分が指定された
・取り分に寄与分が加算された
・他の相続人の特別受益が考慮された

法定相続分がない人に遺産を取得させる方法はありますか?

法定相続人ではない者に相続財産を渡したい場合には、遺言書を作成する方法があります。
ただし、遺言書が無効になってしまうと財産を渡せないため、公正証書遺言を作成することをおすすめします。

また、財産を生前贈与してしまうことも有効な手段です。この場合、110万円を超える生前贈与には贈与税がかかるのが原則です。
ただし、相続時精算課税制度を用いることができる場合もあります。

さらに、養子縁組して相続させる方法も考えられます。
この方法では、養子縁組してから関係が悪化しても、離縁が難しい場合がある点に注意しましょう。

法定相続分についてのお悩みは遺産分割問題に強い弁護士にご相談ください

法定相続分は、法定相続人のうち「誰が」「何人」遺産を相続するのかによって変わります。そのため、正確な法定相続分を知るためには、相続人となる者を漏れなく把握することが重要です。

しかし、事情によっては、亡くなった方の親族関係などが複雑で、相続人調査や法定相続分の確認が難しいケースもあります。他の相続人が独自の主張をして譲らない場合等もあるでしょう。相続問題に強い弁護士であれば、煩雑な手続きを代わりに行うことができます。

また、遺産分割に関する話し合いをスムーズかつ有利に進めることが期待できます。
遺産の取り分等について疑問やご不安を抱かれた際には、まずは弁護士にご相談ください。

独身である方で、自身の財産が死後にどうなるのかが気になる方もいらっしゃるでしょう。

遺言書を作成しなければ、遺産は民法に従って、法定相続人が相続します。
しかし、独身で子がおらず、兄弟姉妹もいない方は、法定相続人が誰もいない場合について考えておくのが望ましいでしょう。

この記事では、独身である場合に誰が法定相続人になるのか、法定相続人がいない場合にはどうなるのか、生前にやっておくべき相続対策はどのようなものか等について解説します。

独身者がなくなった場合の法定相続人は誰?

子供がいる場合は子供だけが相続人になる

被相続人である独身者に子がいれば、子が法定相続人になります。

子が2人以上いるケース 基本的にすべての子が同じ割合で相続する
孫がいる状態で子が亡くなった後で
ご自身が死亡したケース
孫が子に代わって法定相続人になります

このように、亡くなった者の子が代わりに相続することを代襲相続といいます。
被相続人の子が養子であっても、実子と同じように相続します。

子供がいない場合は父母

独身であり、子や、子の代襲者(孫など)がいない場合には、直系尊属である父母が法定相続人になります。

父母がともに生きている場合は遺産の1/2ずつ、どちらか1人が生きている場合はその者が遺産の全てを相続します。

父母がいない場合は祖父母

独身である者が亡くなり、さらに亡くなった人に子がおらず、父母もすでに亡くなっている場合には、亡くなった者の祖父母が法定相続人となります。

さらに、祖父母についても、すでに亡くなっている場合には、曾祖父母、高祖父母と、各々の親に相続権が移転していきます。
なお、両親が亡くなっており、4人の祖父母(父親の両親と母親の両親)が全員生きているようなケースでは、祖父母1人あたりの法定相続分は1/4です。

4人のうち誰かがすでに亡くなっており、生きているのが3人であれば、法定相続分は1/3になります。祖父母のうちの1人でも生きているのであれば、兄弟姉妹が法定相続人になることはありません。

父母、祖父母がいなければ兄弟姉妹

独身であり、子がおらず、父母や祖父母等の直系尊属がすでに亡くなっている者が亡くなった場合には、兄弟姉妹が法定相続人となります。

このケースでは、基本的にすべての兄弟姉妹の法定相続分が同じになります。
例えば、兄と姉、弟、妹がそれぞれ1人ずつ、合計4人いた場合には、各々の法定相続分は1/4になります。

兄弟姉妹がいない場合は姪甥

独身であり、子がおらず、父母や祖父母等の直系尊属、兄弟姉妹がすでに亡くなっている場合において、兄弟姉妹に子(被相続人の甥および姪)がいれば、代襲相続で甥姪が法定相続人になります。

ただし、甥姪が亡くなっていても、甥姪の子(兄弟姉妹の孫)が相続することはありません。したがって、亡くなった兄弟姉妹に子(甥姪)がいない、または、甥姪が亡くなっていた場合には、被相続人の法定相続人はいないことになります。

兄弟姉妹が多い場合には甥姪も多くなるのが一般的です。甥姪が10人いれば、各々の法定相続分は1/10になります。

それ以外は相続人不存在となる

上記以外の場合には、相続人不存在となり、以下のような対応をすることになります。

相続人がいない場合、独身者の財産はどうなる?

法定相続人がいない場合には、遺産は相続財産清算人によって管理されることになります。
相続財産清算人は、以下の手続きを行います。

  1. ①相続財産清算人による財産の処分
  2. ②特別縁故者への財産分与
  3. ③国庫に帰属する

これらの手続きについて、次項より解説します。

相続財産清算人によって、遺産の精算が行われる

法定相続人がいない独身者の場合、相続財産清算人が選任されます。

相続財産清算人によって、被相続人にお金を貸していた者等、債権者への弁済が行われます。また、遺贈を受けた者がいれば、相続財産が分配されます。
その後、残った財産があれば特別縁故者に与えられます。

特別縁故者へ財産分与される

特別縁故者とは、法定相続人のいない被相続人と特別に親しくしていた者のことです。
主に、以下のような者が該当します。

  • 内縁の配偶者
  • 被相続人の身の回りの世話や看護した者
  • 被相続人と同居しており、家族のような関係にあった者
  • 極めて親しかった友人

ただし、これらの者が自動的に特別縁故者になるわけではなく、該当する者が自ら家庭裁判所に申し立てて、特別縁故者として認められる必要があります。この申立ては、相続人の申し出を求める公告期間である6ヶ月以上の期間満了後、3ヶ月以内に行う必要があります。

国庫へ帰属する

全ての手続を行っても遺産が余った場合には、国庫に帰属します。つまり、誰も受け取る者がいなかった遺産は国の物になるということです。

近年は、生涯未婚率の上昇の影響で、国庫に帰属する遺産が増える傾向にあります。

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独身者が今からできる相続対策は?

独身者が生前にやっておくべき相続対策として、遺言書を作成しておくことが挙げられます。これについて、以下で解説します。

遺言書を作成する

特定の人物に遺産を与えたい場合には、遺言書を作成すると良いでしょう。
遺言書を用いれば、法定相続人がいないケースだけでなく、法定相続人がいるケースであっても、基本的には自由に遺産を与えることができます。
法定相続人や法定相続分は、遺言書がなく揉めた場合に必要となる目安です。

しかし、遺言書さえあれば、遠い親戚や友人、慈善団体等、法定相続人になり得ない者や組織等に対しても遺産を渡すことができるのです。

ただし、これは遺言書が有効であるときに限定されます。せっかく遺言書を作成しても、書式のミスや曖昧な記載等が原因となって、無効とされるリスクがあります。
遺言書を無効とされないために、遺言書はなるべく公正証書遺言によって作成することをおすすめします。

遺言書の作成や、公正証書遺言について詳しく知りたい方は、以下の各ページをご覧ください。

遺言書について詳しく見る 公正証書遺言について詳しく見る

エンディングノートを作成する

エンディングノートとは、自身の死後に関する希望等を書き残すためのノートです。
遺言書とは違い、法的な拘束力はありませんが、幅広い事項を記載することができます。

エンディングノートに書くべき事項として、主に以下のようなものが挙げられます。

  • 自身の基本的な情報
  • 介護や葬儀に関する希望
  • 家族や友人等へのメッセージ
  • 遺言書を作成した事実
  • 大まかな財産の状況、借金の有無など

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独身の方は、配偶者が相続人にならないため、遺言書を作成しなければ子や兄弟姉妹等に全ての遺産が渡ることになります。しかし、近所の住人や自身の介護をしてくれた方等、より身近な方に遺産を渡したいと考える方も少なくありません。

自分の財産を希望する相手に渡したいときには、遺言書を作成する方法が有効です。

ただし、自分だけで遺言書を作成しようとすれば、その遺言書が無効になるリスクがあるだけでなく、密かに遺産をアテにしていた人物が反発する等、思わぬトラブルを招いてしまうおそれがあります。

弁護士にご相談いただければ、遺言書を作成するための助言が可能です。また、死後の遺産の管理等についても相談していただくことができます。
まずはお電話にて状況をご相談ください。

後妻がいる場合の相続では、前妻との間に生まれた子や後妻の連れ子が存在することによって、感情的な対立が発生しやすくなります。

さらに、当事者や関係者が口を出すことによって、争いが拡大するリスクは高いといえるでしょう。
そこで、後妻がいる場合、相続をスムーズに行うためには相続の知識や生前の対策等が必要となります。

この記事では、後妻がいる場合の法定相続人や発生しやすいトラブル、行うべき対策等について解説します。

被相続人に後妻がいる場合の相続はどうなる?

後妻は相続人になる?

後妻が被相続人の生前に被相続人と結婚しており法律上の夫婦関係があった場合には、後妻は相続人となります。
後妻と被相続人の関係が事実婚に過ぎない場合には、後妻は相続人とはなりません。

後妻の連れ子に相続権はある?

後妻の連れ子は、被相続人と養子縁組をしていれば相続権があります。

一方で、養子縁組していない場合には、後妻の連れ子は被相続人が亡くなっても相続権を持ちません。これは、一緒に暮らしていたとしても、父親と後妻の連れ子には、法律上の親子関係が成立していないからです。

一方で、前妻との間に生まれた子については、離れて暮らしているケースや、親権者が前妻になっているケースであっても法定相続人になります。
相続人が誰であるかを考えるときには注意しましょう。

後妻に相続させない方法はある?

ご自身の財産を後妻に相続させたくない場合には、主に以下のような方法が考えられます。

  • 事実婚にして、法律上の婚姻関係にならないようにする
  • 自分が生きているうちに、前妻の子等の親しい人に生前贈与をする
  • 遺言書を作成して他の人に遺贈する
  • 相続人排除を行って、後妻の相続権を失わせる

ただし、生前贈与や遺贈によって後妻の相続分をなくしておこうとしても、後妻には配偶者としての遺留分があるため、遺留分侵害額請求によって遺留分に相当する金銭等を取り戻すことが可能です。

遺留分とは、兄弟姉妹以外の法定相続人に保障されている相続財産の最低限の取り分です。

後妻の死後に前妻の子供が遺産を相続することはできる?

被相続人が、後妻が生きているうちは自宅等の財産を後妻に相続させるが、後妻の死後は、自分の実子である前妻との間に生まれた子へ渡したい等の希望を持っているケースがあります。

この場合は、法定相続人が問題になります。前妻の子は後妻の法定相続人とはならないので、後妻が相続していた自宅等の財産を前妻の子が相続することはできません。

前妻の子が、後妻が相続した自宅等を相続するためには、後妻と養子縁組をする必要があります。また、遺言書を作成すれば自宅等の財産を遺贈できます。
施設に入る等、自宅が不要になったタイミングで生前贈与しておく方法も考えられます。

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後妻と前妻の子の間でよくある相続トラブル

前妻との間に子がいる場合には、前妻の子と後妻、さらには後妻との間に生まれた子がいる場合にはその子も相続人になるため、感情的な対立が生じやすくトラブルが発生するリスクが高まります。

想定されるトラブルとして、主に以下のようなものが挙げられます。

  • 後妻や後妻の子が、前妻の子を無視して勝手に相続手続きを進めてしまう
  • 前妻の子が相続できないように、後妻や後妻の子が財産を隠してしまう
  • 前妻の子が、後妻に対して相続放棄を要求する
  • 遺言書が破棄されてしまう
  • 遺言書は偽造されたと主張されてしまう
  • 遺留分を侵害した遺言書によって相続人同士が揉めてしまう
  • 相続財産の評価額について意見が対立して、相続手続きを進められない

後妻がいる場合の相続を円滑に進めるための対策

夫の立場でできること

  • 後妻や前妻の子等の遺留分を侵害しない内容の遺言書を作成する
  • 遺言書を法務局に保管してもらうか、公正証書遺言を作成する
  • 前妻の子に生前贈与を行い、後妻または後妻の子に遺留分の放棄を申し立ててもらう
  • 後妻や前妻の子を受取人とした生命保険に加入する
  • 遺産分割しづらい不動産等の財産をあらかじめ売却して換金しておく
  • 相続がスムーズに行えるよう弁護士に相談する

相続人の立場でできること

  • 遺言書の有無を確認する
  • 自分で相続財産調査を行う
  • 遺産分割協議を、なるべく公平な結果になるように進める
  • 遺留分の侵害等、法的な問題について弁護士に相談する

後妻がいる場合の相続をスムーズに行うためにも経験豊富な弁護士にご相談ください

後妻がいる場合、相続トラブルを招きやすいため、被相続人は生前に対策しておく必要があります。しかし、よかれと思って作成した遺言書が、かえってトラブルを招いてしまう等のリスクがあるため、相続対策は慎重に行わなければなりません。

そこで、後妻がいる場合の相続対策は弁護士にご相談ください。
弁護士であれば、相続人の状況等を考慮しながら、なるべくトラブルにならないような対策をアドバイスできます。

また、不動産や美術品の評価等、相続対策の前提となる事項についても併せてご相談ください。

配偶者の浮気や不倫が「不貞行為にあたるかどうか」は、離婚や慰謝料の請求にかかわる重要なポイントです。
この記事では、どこからが不貞行為になるのか、配偶者の不貞行為が発覚したらどうしたらいいのかを詳しく解説していきたいと思います。

不貞行為と認められやすいケース・認められにくいケースの具体例とあわせて、不貞行為の証拠の重要性も紹介していくので、配偶者の浮気・不倫で離婚や慰謝料を請求したいとお考えの方の参考になれば幸いです。

不貞行為になるのはどこから?

不貞行為とは、夫婦が負う貞操義務に違反して、配偶者以外の者と自由意思のもとに性的関係(肉体関係)を結ぶことを指します。

性交渉のほか、裸で抱き合う・体を触り合うといった性交類似行為が不貞行為にあたると考えられています。

不貞行為は法律で認められた離婚理由=法定離婚事由のひとつにあたるため、不貞行為をした配偶者に対して離婚や慰謝料の請求が可能になります。

浮気や不倫との違い

不貞行為は法律用語で、既婚者が配偶者以外の者と自由意思で性的関係を結ぶことと定義されています。

一方で浮気や不倫は日常用語で明確な定義がなく、どこからが浮気・不倫かという判断は人によって異なります。

<浮気・不倫の一般的な見解>

  • 浮気・・既婚かどうかを問わず、パートナー以外の第三者と交際関係にあること
  • 不倫・・既婚者が配偶者以外の第三者と交際関係にあること

不貞行為と認められやすいケース

不貞行為と認められるのは、自由意思で配偶者以外の者と肉体関係をもったと認められるケースです。具体的に、

  • 肉体関係がある
  • 性行為に類似する行為がある
  • ラブホテルに二人で長時間滞在していた
  • 二人で宿泊を伴う旅行をしていた
  • 同棲している

という事情が認められれば、肉体関係またはそれに類似する行為があったとして、不貞行為と認められやすくなります。以下で詳しくみていきます。

肉体関係がある

自分の意思で配偶者以外の者と肉体関係をもった場合、不貞行為が認められます。
配偶者以外の第三者に好意を抱いて肉体関係をもったケースだけでなく、次のようなケースも不貞行為に含まれます。

  • 酔った勢いで、配偶者以外の異性と1度だけ性行為をした
  • 恋愛感情はないけれど、性行為の誘いを断り切れずに肉体関係をもってしまった
  • 性的サービスを受けに風俗へ通っていた など

性行為に類似する行為がある

性行為だけでなく、性行為に類似する行為=性交類似行為も不貞行為とみなされます。
性交類似行為とは、性行為には至らないものの、実質的に性行為と同視できるような性的交渉のことを指し、次のような行為が該当します。

  • 裸で抱き合う
  • 体を触り合う
  • 性交を模して行われる口淫・手淫 など

ラブホテルに二人で長時間滞在していた

ラブホテルに二人で長時間滞在していたケースでは、肉体関係をもったと推認できることから不貞行為と認められる可能性があります。

ラブホテルは、性行為をする目的で利用する場所として一般的に認知されています。
そのため、ラブホテルに二人で入ってしばらくの間出てこなかった場合、当事者が肉体関係を否定しても、性行為があったと認められる可能性が高いです。

二人で宿泊を伴う旅行をしていた

二人で宿泊を伴う旅行をしていたケースも、肉体関係をもったと推認できることから不貞行為と認められる可能性があります。

同じ部屋で二人きりで過ごし、宿泊を伴っている場合は、性行為があったと認められる可能性が高いです。

また、たとえ肉体関係がなくても既婚者と二人きりで宿泊を伴う旅行をするのは、平穏な夫婦関係を脅かす、行き過ぎた行為として慰謝料が発生するおそれがあります。

同棲している・頻繁に泊まりに行っている

同棲しているケースも、肉体関係をもったと推認できることから不貞行為と認められる可能性があります。

男女の同棲は肉体関係を伴うものというのが一般的な認識のためです。
一緒に暮らしていなくても、不倫相手の自宅に頻繁に泊っているケースでは、同棲と同様に肉体関係が認められる可能性が高いです。

不貞行為と認められにくいケース

食事やデート

食事やデートをしただけでは、肉体関係に至ったとはいえないため、不貞行為とは認められません。

  • 二人きりで食事をしただけ
  • 二人きりでドライブしただけ
  • 一緒に映画を観ただけ

など、親密な関係性がうかがえるとしても、肉体関係があったと認められない限りは不貞行為には該当しません。

二人きりで会う頻度が高くなったり、お酒を呑んだりしている場合には、不貞行為に発展してしまう可能性があるので、いざというときに証拠が集められるよう、相手の言動を注意深く観察しましょう。

キスや手つなぎ

配偶者以外の異性とキスをしたり、手をつないでいたりしても、肉体関係があったとまではいえず、不貞行為とは認められません。

キスや手つなぎなどの行為は、浮気・不倫に該当する許しがたい行為ですが、それだけでは肉体関係をもったとはいえないため、法律上は不貞行為にあてはまらないことが多いです。

もっとも、人目をはばからずキスやハグをしたり、手をつないだり腕を組んだりして歩くような行為は、夫婦の関係性を悪化させる原因になり得るため、程度によっては婚姻を継続し難い重大な事由にあたるとして、離婚や慰謝料の請求が認められる可能性があります。

LINEやメールのやりとり

LINEやメールのやりとりだけでは、肉体関係があったとはいえないので不貞行為とは認められません。

LINEやメールで好意を伝えるメッセージを送り合っていたり、電話で親密に話していたりするだけでは、肉体関係をもったとまではいえません。
とはいえ、

  • 肉体関係があることを前提とするやりとり
  • ホテルや旅行に行ったことがわかるやりとり
  • 同棲していることがわかるやりとり
  • 肉体関係をうかがわせる写真や動画が添付されたやりとり

など、肉体関係を推認できるやり取りがある場合には、不貞行為があったとみなされて離婚や慰謝料の請求が認められる可能性があります。

不貞行為は立証が難しいため証拠が重要

配偶者の不貞行為を理由に離婚や慰謝料を請求する場合、不貞行為を立証するために証拠が必要になります。

不貞行為は密室で行われるため、肉体関係があったことを立証するのは非常に困難です。
そこで、次に挙げる証拠を少しでも多く集めておきましょう。

不貞行為を裏付ける有力な証拠となり得るものの一例

  • 性行為を撮影した写真や動画
  • 二人でラブホテルに出入りする写真や動画
  • 配偶者や浮気相手が不貞行為を認めた自認書や音声データ
  • 肉体関係があったことが推認できるメールやLINE
  • 探偵社や興信所などの調査報告書 など

複数を組み合わせることで不貞行為を裏付ける証拠となり得るものの一例

  • メールやLINEのやりとり
  • 手紙やメモ
  • ホテルや旅館の領収書
  • クレジットカードの利用明細
  • 交通ICカードやETCカード、カーナビの利用履歴
  • 配偶者の行動を記録した日記 など

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不貞行為が発覚したらどうしたらいい?

配偶者の不貞行為が発覚したときの対処法は、主に次の3つです。

  • 慰謝料を請求する
  • 離婚を請求する
  • 弁護士に相談する

それぞれの対処法について、次項で詳しく解説していきます。

慰謝料を請求する

配偶者の不貞行為が発覚した場合、不貞行為をした配偶者と不倫相手に対して慰謝料を請求することができます。

不貞行為の慰謝料相場はどれくらい?

不貞行為に対する慰謝料の相場は、200万円~300万円程度になることが多いですが、離婚しないケースではこの相場よりも低額になる可能性があります。

  • 離婚した場合の不貞慰謝料の相場:200万~300万円程度
  • 離婚しなかった場合の不貞慰謝料の相場:50万~100万円程度

不貞行為の慰謝料の請求方法

不貞行為に対する慰謝料は、相手に直接請求する方法と、調停や裁判の法的手続きを利用して請求する方法があります。

配偶者と不倫相手の双方に請求することもできますが、どちらか一方だけに請求することも可能です。

慰謝料請求には時効がある

不貞行為に対する慰謝料を請求するとき、時効に注意しましょう。
不貞行為の慰謝料請求は、次のいずれか短い方で時効が成立して、慰謝料請求ができなくなってしまいます。

  • 不貞行為と不貞相手のことを知ったときから3年
  • 不貞行為の時点から20年

なお、離婚したこと自体に対する慰謝料を配偶者に請求する場合は、離婚が成立したときから3年で時効が成立してしまいます。
いずれも、慰謝料請求を考えたらすぐに行動に移すことが大切です。

離婚を請求する

不貞行為をした配偶者に対して、慰謝料のほかに離婚を求めることもできます。

離婚請求の流れ

離婚請求は、【協議離婚➡調停離婚➡裁判離婚】の流れで行われるのが一般的です。

  • 協議離婚
    協議離婚は、夫婦で話し合って離婚することを指します。
  • 調停離婚
    調停離婚は、家庭裁判所の調停手続きを利用して離婚することを指します。
  • 裁判離婚
    裁判離婚は、裁判所の判決によって強制的に離婚することを指します。

不貞行為は法定離婚事由に該当するため、配偶者が離婚に合意していなくても、基本的には裁判で離婚が認められることになります。

有責配偶者からの離婚請求は基本的に認められない

不貞行為により夫婦関係が破綻していても、「不倫相手と結婚したいから離婚してほしい」などと不貞行為をした配偶者=有責配偶者からの離婚請求は、相手方が離婚に合意しない限り基本的に認められませんので注意しましょう。

弁護士に相談する

配偶者の不貞行為が発覚したら、まずは弁護士に相談することをおすすめします。
弁護士に相談するメリットとして、次のようなものが挙げられます。

  • 不貞行為の証拠を集める方法についてアドバイスしてもらえる
  • 慰謝料の適切な金額を知ることができる
  • 不貞行為の調査を依頼することもできる
  • 不貞行為をした配偶者や不倫相手との交渉を任せることもできる
  • 裁判に発展する前に解決できる可能性が高まる など

おひとりで悩む前に、離婚問題に詳しい弁護士に相談してみましょう。

不貞行為の判断基準や離婚に関する悩みは弁護士にご相談ください

不貞行為に該当するかどうかは、肉体関係があるかどうかがポイントになります。

配偶者の不貞行為に対して離婚や慰謝料を請求するためには、配偶者と不倫相手に肉体関係があることを裏付ける証拠を集めなければなりません。

不貞行為の証拠は集めにくく、注意しないと「違法に入手した証拠だ」として裁判所で証拠と認めてもらえないこともあるので、配偶者の不貞行為について離婚や慰謝料を請求したいとお考えの方は、早めに弁護士に相談することをおすすめします。

弁護士法人ALGでは、これまでに数々の不貞行為に関する問題や夫婦問題を解決に導いた実績があり、その経験と知識を生かして、証拠集めから相手方との交渉まで幅広くサポートすることが可能です。

おひとりで悩まず、まずは私たちにお気軽にご相談ください。

法律とは関係の薄いテーマではありますが、死後に残された者にとって、エンディングノートの有無は大きく影響する点だと思います。

エンディングノートとは

エンディングノートとは、生前に、自分自身の情報をまとめて記載しておくことを指します。

資産や債務、引き落としの状況などの金銭面はもちろん、スマホやPCのパスワード、延命治療等に対する希望等、記載内容はその人次第で多岐にわたります。

エンディングノートと遺言書の違い

遺言書は自身の遺産の帰属等を指定するものです。
法的な効果を有するためには、自筆証書遺言の場合は適式な記載要件の具備と検認が、公正証書遺言の場合は公証役場による作成が必要となります。

エンディングノートは情報提供のための記録ですので、法的な効力はありません。

エンディングノートに書くべき内容

エンディングノートには、突然意思表示が出来なくなったとしても、家族が情報を得るための術として準備しておくで、自身の自己決定や、家族の生活等になるべく影響が生じないように準備する者です。

したがって、その内容は個々人ごとに異なる面もありますが、一般的に多く記載される事項を列挙しておきます。

  • 自分のこと(個人情報)
  • 財産・資産・形見分けについて
  • 医療・介護・延命治療に関する希望
  • 葬儀・お墓・納骨方法に関する希望
  • 保険情報の詳細な記載
  • ペットに関すること
  • 家族や友人へのその他メッセージ

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エンディングノートの作成方法・書き方のコツ

エンディングノートに決まった書式はありませんし、自分でいつでも好きなように作成することが出来ます。

記載内容を整理するという面では、市販のものや法務省が公開している書式等を用いると、書き漏らしが少なくなると思います。

エンディングノートを作成しない場合の影響

上記のとおり、エンディングノートは意思表示が困難となった後にも事前に自己決定した内容を遂行してもらうことや、家族の負担を大幅に軽減することが可能となります。

常日頃から密にコミュニケーションをとっていたとしても、全てを詳細に共有しておくことは困難ですし、交流が多くない方の場合はなおさら有益だと思います。

作成必須の書類ではありませんが、元気なうちに作成しておかないと、不測の事態が生じたとき、これら情報をご家族に知る術がなく、もはや取り返しがつかないということになりかねません。

医療や介護に関する本人の意志が不明確になるリスク

エンディングノートは、自らの意思を表示できなくなったような場合に、延命治療の要否や、介護施設の利用等、自身の行く末に関する意思をご家族に伝えることを可能にします。

もしもエンディングノートがなければ、ご家族としてもどのような方針を選択すべきかの指針がなく、大きな決断を迫られることになりかねませんし、希望とは異なる決断をさせてしまうことにも繋がりかねません。

資産把握の困難さ

各種引き落としや保険、積み立てや資産運用、所有する不動産の詳細や各種ローンの引き落とし口座や金額等、自身の資産を網羅的に管理・把握することは、本人でも骨の折れる作業です。

エンディングノートがない場合、通帳がどこにあるのかもわからないし、スマホのロックも外せないというように、著しく情報が不足した状況からの対応を余儀なくされてしまうかもしれません。

弁護士なら相続に関する様々な面でサポートできます

エンディングノートは、ご自身の希望等を整理して記載するものですので、各種ひな形等をご活用いただくなど、ご自身での作成が可能と思料されます。

もっとも、自身の資産管理や任意後見契約、遺言書の内容や作成等、元気なうちだからこそ弁護士に相談しておくことが有益な面もありますので、資産が多い方や不安のある方等は、積極的にご相談いただくことをお勧めします。

年金分割は、婚姻中に支払った“厚生年金の掛け金を分割”し、それぞれが受給することを可能とするための制度です。掛け金を分配するとの説明に対し、具体的なイメージが持てない方や、そのための手続きがわからないという方に、本稿が参考になれば幸いです。

年金分割の手続き方法は合意分割と3号分割の2種類

年金分割の手続きは、合意分割と3号分割と呼ばれるものの2種類があります。後者は、いわゆる3号被保険者の方から請求する場合のみに用いることが可能です。

合意分割

当事者双方が手続きに参加することにより、年金分割を行う方法です。分配割合は、当事者間における合意か、裁判所の審判等で定められた数値を用います(※通常は0.5の割合です)。合意書面を作成する方法の場合、夫婦ともに年金事務所にて手続きすることが通常ですが、合意書面について公証役場の認証を受けた場合は、裁判所で取り決めた場合と同様、請求する者単独での分割請求が可能となります。

合意分割の必要書類

  • 年金分割のための情報通知書:(年金事務所で取得)
  • 戸籍
    (婚姻日と離婚日の記載があるもの※婚姻期間を証する書類。事実婚の場合は住民票等、これを証する書類)
  • 請求前1カ月以内における当事者双方の生存を証する書類
    (※戸籍、住民票等。マイナンバーの記載で省略可。)
  • 年金分割割合を明らかにする書類
    (※当事者の合意で割合を定める場合:年金分割合意書or離婚協議書or離婚公正証書or公証人の私署認証を受けた合意書等)
    (※裁判所の手続きで割合を定めた場合:審判書謄本・抄本+確定証明書or調停調書謄本・抄本)

3号分割

3号分割とは、いわゆる3号被保険者(※厚生年金加入者の扶養に入っている者)からの年金分割請求は、合意分割のように「当事者間で割合を定めたり、当事者双方が関与しなくても」、0.5の割合により、請求者単独での手続きが可能という制度です。

平成20年4月から導入された制度であるため、同手続きで分割可能なのは同月以降の婚姻期間のみ、それ以前は合意分割による必要がある点には注意が必要です。

3号分割の必要書類

  • 請求者の基礎年金番号orマイナンバーを明らかにする書類
    (年金手帳・マイナンバーカード等)
  • 戸籍
    (婚姻日と離婚日の記載があるもの※婚姻期間を証する書類。事実婚の場合は住民票等、これを証する書類)
  • 請求前1カ月以内における当事者双方の生存を証する書類
    (※戸籍、住民票等。マイナンバーの記載で省略可。)

※(離婚届は提出していないものの、事実上離婚状態にあることを理由に3号分割を請求するという場合は、これを証する書類として、住民票等の他、当事者双方がその旨を認める内容の書面等が要求されます)。

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年金分割に必要な手続き

①情報通知書の取得(合意分割のみ)

合意分割の場合、情報通知書の取得は必須です。取得の具体的な手続について、概要は以下のとおりですが、お近くの年金事務所に問い合わせを行うのが一番確実です。

  • 情報提供請求書(窓口でもらうか、日本年金機構のホームページからダウンロードしたものを印刷して記入し)に必要事項を記入し、提出する。
  • 「基礎年金番号」は自身の年金手帳等で確認する。
  • 婚姻期間を証する書類として婚姻日等の記載がある戸籍等も併せて提出する。

②合意書等の取得(合意分割のみ)

当事者間で合意する場合は、年金分割合意書や離婚協議書などの文書で年金分割に関する取り決めを行います。離婚公正証書や公証人の私署認証を受けた合意書等、公証人が関与する書類の場合は、裁判所で取り決めた場合と同様、請求人単独で③の請求が可能となります。

当事者間では合意できず、裁判所で取り決める場合は、年金分割の請求調停・審判等の手続きを行います。

③年金分割の請求手続き

標準報酬改定請求書(※年金事務所でひな形をもらうか、日本年金機構のホームページでダウンロードしたものを印刷して使用します。)に必要事項を記入した上で、その他の必要書類とともに、年金事務所に提出します。

④標準報酬改定通知書の受け取り

適式な申請が完了すると、審査等が行われた後、年金事務所から標準報酬改定通知書が送付されます。内容を確認して、問題なければ年金分割の手続きは完了です。

年金分割の手続きは一人でできる?弁護士に依頼するメリット

年金分割の手続きに関しては、自分がどちらの手続きを用いるべきなのか、どのタイミングでどのような書類の取得が必要なのか、といった手続き上の疑問の他、相手方との合意分割が必要な事案にも関わらず、合意書等の作成に応じないという、裁判所を利用した分割割合等の確定の問題が存する場合もあります。

離婚協議等が完了し、①や③の手続きのみが残る状態であれば、年金事務所に問い合わせ等を行うほうが直截的という場合もありますが、その峻別等に関し、正確な知識を得るのは容易ではないと思います。離婚そのものに関する相談等もありうることですし、一人で悩むよりも、まずは弁護士に相談してみることをお勧めいたします。

離婚は人生における大きな転換点であり、その手続きの中心となるのが「離婚届」の提出です。この記事では、離婚届の提出に関するあらゆる側面を、法的な専門知識と実務的な視点から詳細に解説し、利用者が安心して手続きを進められるよう支援することを目的とします。

離婚届の提出先はどこ?

離婚届の提出先は、本籍地または所在地役場です。離婚の方法が協議離婚、調停離婚、裁判離婚のいずれであっても、提出先の基本的なルールに変更はありません 。

本籍地以外の役場に離婚届を提出する際には、これまでは戸籍謄本(戸籍全部事項証明書)一通の添付が必要とされていました。しかし、2024年3月1日からは、法務省の制度改正により、戸籍謄本の添付が原則不要となりました。

戸籍法の一部を改正する法律について(令和6年3月1日施行)

離婚届は一人でも提出できる

離婚届の提出は、必ずしも夫婦二人が揃って行う必要はありません。様々な事情に応じて、一方の当事者や、場合によっては第三者による提出も認められています。

代理人による提出も可能

離婚届は、当事者本人だけでなく、家族や友人、あるいは全くの第三者に提出を依頼することも可能です 。この際、一般的な行政手続きで求められるような委任状は不要です 。これは、離婚届の提出が「届出人の意思表示」を伴うものであり、提出行為自体は代理が可能であるという考え方に基づいています。

ただし、代理人が提出した場合でも、役所は本人確認のために後日、届出人本人宛に離婚届が提出された旨の通知を郵送します 。これは、本人の知らない間に離婚届が提出されることを防ぐためのセーフティネットの一つです。

代理人が提出する際の本人確認は、提出する代理人自身の本人確認書類(運転免許証やマイナンバーカードなど)の提示が必要です 。代理提出の最大の注意点は、離婚届に不備があった場合、代理人では訂正ができないことです 。そのため、代理人に離婚届を預ける前に、記載事項や添付書類に不備・不足がないかを当事者自身が徹底的に確認しておく必要があります 。

軽微なミスであれば、あらかじめ離婚届の欄外にある「捨て署名欄」に夫婦2人の署名をしておくと、役所で訂正してもらえる場合がありますが、これはあくまで補助的な措置であり、事前の確認が最も重要です 。

離婚届の提出に必要なもの

離婚届を提出する際には、離婚届本体だけでなく、いくつかの付随する書類や本人確認書類が必要となります。離婚の方法によって必要な書類が異なるため、事前にしっかりと確認しておくことが重要です。

離婚届の入手方法

離婚届の用紙は、全国どこの市区町村の役所窓口(市民課や戸籍課など)でも無料で受け取ることができます 。役所で配布されている用紙は、一般的に白地に緑色の罫線が印刷されていますが、自分で印刷する際には白黒で問題ありません 。

近年では、多くの自治体がウェブサイト上で離婚届の様式をダウンロード可能にしています。ダウンロード版を利用する際には、A3サイズの白色用紙に印刷する必要があるほか、提出先の市区町村役場にダウンロード版の利用が可能かどうかをあらかじめ確認することが推奨されます 。書き損じに備えて、念のため数枚多めに用意しておくことをおすすめします。

離婚届と一緒に提出する書類

離婚の方法に応じて、以下の書類が必要となります。

離婚方法 共通必要書類 特有の添付書類
協議離婚 離婚届1通(証人2名の署名必須)
届出人の本人確認書類
なし
調停離婚 離婚届1通 調停調書の謄本
判決離婚 離婚届1通 判決書の謄本、判決確定証明書
審判離婚 離婚届1通 審判書の謄本、確定証明書
和解離婚 離婚届1通 和解調書の謄本
認諾離婚 離婚届1通 認諾調書の謄本

離婚届の提出方法

離婚届の提出方法は、主に郵送と窓口提出の二通りがあります。それぞれの方法にはメリット・デメリットや注意点が存在します。

郵送で提出

離婚届は、郵送によっても提出が可能です。遠方に住んでいる場合や、直接役所に行く時間がない場合に便利な方法です。

郵送の場合、その場で不備を指摘されることがないため、記載事項の正確性がより一層重要になります。郵送での提出は手軽ですが、書類に不備があった場合に修正に時間がかかったり、受理が遅れたりするリスクがあるため、送付前に何度も確認することが推奨されます。

不備がなければ、受理証明書が発行されることになります。

窓口へ提出

窓口へ直接提出する方法は、職員がその場で離婚届の形式的な不備がないかを確認してくれるという大きなメリットがあります。軽微な記入漏れなどであれば、その場で訂正して受理してもらえる可能性が高まります。

土日祝日や夜間でも提出可能

多くの市区町村役場では、平日の開庁時間外である土日祝日や夜間でも離婚届の提出を受け付けています。
しかし、これらの時間外提出は、あくまで「預かり」という扱いになり、その場で正式な「受理」とはなりません。不備があった場合は、後日役場から連絡があり、来庁して訂正を求められることがあります。

また、休日や夜間に提出した場合、離婚届受理証明書は即日発行されません。受理証明書が必要な場合は、後日、役所の開庁時間内に改めて申請して取得する必要があります。

離婚届が受理されないことはあるのか?

以下のようなケースで、受理されないことがあります。

ケース 具体的な状況 影響と対処法
記載事項の不備や記入漏れ 必要な署名(夫婦、証人)がない、未成年の子の親権者が指定されていない、住所や本籍の記載間違い、必要事項の記入漏れなど 軽微な不備はその場で訂正可能。重大な不備(署名漏れなど)は後日改めて提出が必要。
離婚届不受理申出がされている場合 夫婦の一方(または双方)が、相手による一方的な離婚届の提出を防ぐために、事前に役所に「離婚届不受理申出」を提出している。 申出が取り下げられない限り、離婚届は受理されない。申出は原則無期限で有効。
離婚意思の欠如 離婚届提出時に、夫婦双方に離婚する意思が合致していない(例:一方的に作成・提出された、過去に書かせたもの) 役所は形式審査のみを行うため受理される可能性はあるが、法的には無効。後日、裁判手続き(離婚無効確認調停・訴訟)で無効が争われる可能性がある。

離婚届の提出期限

離婚届の提出期限は、離婚が成立した方法によって大きく異なります。
協議離婚は、夫婦間の合意に基づき、離婚届を役所に提出することによって離婚が成立します。つまり、離婚届の提出行為そのものが、離婚の法的効力が発生する「創設的」な意味合いを持ちます。そのため、協議離婚においては、離婚届の提出に法的な期限は設けられていません。

これに対し、調停離婚、判決離婚、審判離婚、和解離婚、認諾離婚といった裁判上の離婚は、家庭裁判所での手続を経て、調停調書や判決書といった公的な文書によって既に離婚が法的に確定し、効力を生じています。この場合、離婚届の提出は、既に確定した離婚の事実を戸籍に反映させるための「報告的」な手続きに過ぎません。そして、戸籍法上、この「報告的」な手続をする期限が定められています。

  • 調停離婚の場合: 調停が成立した日から10日以内
  • 判決離婚の場合: 判決が確定した日から10日以内

提出期限を過ぎてしまった場合でも、離婚届が受理されないわけではありません。役所は期限を過ぎた届出も受け付けます。しかし、前述の通り、正当な理由なく提出が遅延した場合は、戸籍法上の義務違反として過料の対象となる可能性があります。また、提出義務のない他方当事者が、提出が可能となるという効果も生じます。

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離婚届を提出する前にチェックしておくこと

離婚届の提出は、単なる書類の提出作業に留まらず、その後の人生に大きな影響を与える重要な行為です。提出後に後悔したり、予期せぬトラブルに巻き込まれたりしないよう、事前に以下の点を徹底的にチェックし、準備を整えることが肝要です。

離婚届に不備はないか

離婚届は公的な書類であり、その記載には厳格なルールがあります。記載に誤りがあった場合、修正液や修正テープの使用は認められていません。誤った箇所は二重線で消し、その上に訂正印(離婚届に押印した印鑑と同じもの)を押し、余白に正しい内容を記入する必要があります。

離婚後の氏や戸籍をどうするか

離婚届を提出する前に、離婚後の氏(姓)をどうするか、そして戸籍をどうするかを明確に決めておく必要があります。

特に、婚姻中の氏を使い続けたい場合、離婚後も婚姻中の氏を使い続けたい場合は、離婚届とは別に「離婚の際に称していた氏を称する届」(民法767条2項)を役所に提出する必要があります。

また、未成年の子がいる場合、親権者が決まっていても、子の戸籍や氏(姓)は自動的に親権者と同じになるわけではありません。子を親権者の戸籍に入れ、親権者と同じ氏にするためには、家庭裁判所の許可を得て「子の氏の変更許可申立」を行い、その後、役所に「入籍届」を提出する必要があります。

離婚条件について取り決めているか

特に協議離婚の場合、離婚届を提出する前に、親権、養育費、面会交流、財産分与、年金分割といった離婚条件について、夫婦間で明確かつ具体的に取り決めておくことが極めて重要です。

面会交流、養育費については、離婚届中に取決めの有無を尋ねるチェック欄があります。しかし、取決めていなくても、離婚自体は可能となっています。そのため、離婚届提出時点では、これらについて具体的に取り決めていないケースも散見されます。

しかし、離婚後も紛争が続くことになりかねません。離婚届提出前に、離婚条件を明確に取り決めておくことをお勧めします。

離婚届の提出に関するQ&A

協議離婚で提出した離婚届を取り下げることはできますか?

度役所に受理された離婚届は、原則として取り下げることはできません。
もし、離婚届提出時に離婚意思がなかったなど、その離婚が無効であると主張したい場合は、家庭裁判所に離婚無効調停を申し立てる、離婚無効訴訟を提起する等の裁判手続による必要があります。

離婚届を出したら即日離婚できますか?

離婚届が役所に受理された日が、法的に離婚が成立した日となります。これは、提出した日が休日や夜間であっても、不備がなければその日が受理日となるため、法的には「即日離婚」と言えます。なお、調停離婚の場合は調停成立日、裁判離婚の場合は裁判確定日が離婚日になるのは前述のとおりです。

「次、浮気したら即離婚」と5年前に書かせた記入済みの離婚届が手元にあります。提出に問題ありませんか?

このような状況で離婚届を提出すると、法的に無効となる可能性が非常に高いです。
協議離婚は、離婚届を提出する時点で夫婦双方に「離婚する意思」が合致していることが必要です。5年前に書かれた離婚届は、その時点での意思を示しているに過ぎず、現在の「離婚する意思」が確認できません。もし、相手の現在の離婚意思が確認できないまま、手元にある古い離婚届を一方的に提出した場合、たとえ役所で形式的に受理されたとしても、その離婚は法的に無効となる可能性が高いです。相手が離婚の無効を主張した場合、裁判手続(離婚無効確認調停・訴訟)で争うことになり、裁判所は提出時点での双方の離婚意思の有無を審査します。そして、現在の離婚意思の欠如を理由に無効と判断される可能性が高いです。

離婚届の提出前に一度、弁護士に相談することをおすすめします

離婚は、単に戸籍上の身分関係を解消するだけでなく、親権、養育費、財産分与、慰謝料、年金分割など、多岐にわたる法的・金銭的な問題が絡む、人生における大きな決断です 2。これらの問題は複雑であり、適切な知識や交渉経験がなければ、不利な条件で離婚してしまったり、後々のトラブルに発展したりするリスクが非常に高まります。

このような状況において、弁護士への相談は、単なる「困った時の最終手段」ではなく、離婚プロセス全体を通じて「予防法務」と「精神的サポート」という二重の価値を提供する、極めて有効な手段となります。

離婚届を提出する前に、一度、弁護士に相談されることをお勧めします。

養子がいると、相続人が支払う相続税を抑えられる可能性があります。そのため、相続税対策として、養子縁組により法定相続人を増やすこと増やすことも相続税の支払いを軽減する一案になり得ます。 しかし、養子縁組は法律上の親子関係になる制度であるため、メリットとデメリットを理解して、慎重に判断する必要があります。

この記事では、相続税対策としての養子縁組について解説します。

養子は相続税対策になる?

養子縁組をすると、養子は養親の法定相続人となり、養親が遺した相続財産を相続できます。相続において、実子と養子の間に取り扱いの差はないため、養子であったとしても実子と同様に扱います。

そして、養子縁組をすることにより、相続税の基礎控除が増えるため、相続税対策となります。
ただし、養子縁組による基礎控除の増加は、実子がいる場合には一人まで、実子がいない場合には二人までと制限があります。

相続税対策として行われる養子縁組にはどんなものがある?

孫と養子縁組

孫にまとまった財産を遺すために生前にできる方法としては、110万円までの生前贈与をよく耳にするのではないでしょうか。しかし、生前贈与では年間110万円を超えると贈与税がかかってしまいますし、法改正により生前贈与は7年まで遡って生前贈与加算をされて計算されるため、相続税対策として行うのが難しくなりました。

そのようなとき、養子縁組をすることによって確実にまとまった財産を遺しつつ、相続税対策をすることができます。

また、孫と養子縁組をすることによって、親子間一代を飛ばして相続させることができるため、相続税の支払い回数を削減することができます。

子の配偶者と養子縁組

被相続人の子の配偶者は、相続人ではないため、被相続人が死亡しても相続をさせることはできません。しかし、養子縁組をすれば、子の配偶者にも相続させることは可能です。

例えば、子の配偶者による献身的な介護を受けたため、その感謝として、遺産を相続してもらうために養子縁組をすることが考えられます。

なお、被相続人の親族が無償で介護等を行った場合には、相続人に対して「特別寄与料」という金額を請求することができる制度があります。しかし、特別寄与料を受け取るのは簡単ではなく、金額も十分でないことが多いため、まとまった財産を遺したい場合には、養子縁組が有益です。

相続税対策に養子縁組することのメリット

  • ① 基礎控除額の増加
    相続税の基礎控除額は、
    「3000万円+(600万円×法定相続人の人数)」
    というように計算します。
    そのため、養子縁組により法定相続人の数を増やせば、相続税対策となる場合があります。
  • ② 累進課税の緩和
    基礎控除額の場合と同様に、法定相続人が増えることにより、各法定相続人の法定相続分が減少し、適用税率の区分が下がる場合があります。
  • ③ 非課税金額の増加
    生命保険金や死亡退職金の非課税金額は、
    「500万円×法定相続人の人数」
    というように計算します。
    そのため、養子が1人増えると非課税金額も500万円増える可能性があります。
  • ④ 遺留分の減少
    これは、相続税負担の話ではありませんが、養子が増えることで各相続人の遺留分が減少することになります。そのため、特定の相続人になるべく多くの相続財産を遺したい場合には、あえて養子を増やしておくという方法がとられることがあります。

相続税対策のために養子縁組することの注意点

他の相続人とトラブルになることがある

養子縁組をすると、養子は養親の法定相続人となり、実子と同等の法定相続分を有することになります。何の相談もなく、相続が開始されたときに養子縁組の事実を知り、自らの法定相続分が減ったことを知れば、取り分が減ることに反発する実子もいるでしょう。

そのため、養子縁組をする際には、事前に、被相続人と実子関係にある人等の了承を得るのが望ましいと言えます。

基礎控除の枠として有効な養子の数には制限がある

民法上は、養子の数に制限はなく、何人でも養子縁組をすることはできます。
しかし、相続税法上においては、実子がいる場合には1人、実子がいない場合には2人までしか養子をカウントしません。

これは、養子縁組制度を利用した、行き過ぎた節税対策を防止するためのものです。
さらに、相続税を抑えることだけを目的として養子縁組をしたとみなされれば、養子を法定相続人の数に加えない措置を受ける可能性があります。

相続税が2割加算されるケースもある

孫と養子縁組をした場合には、原則、相続税が2割加算されます(ただし、孫が代襲相続をした場合を除きます)。
これは、通常は、親から子、子から孫へと2回の相続でそれぞれ相続税を支払うはずが、孫を養子にして直接相続することにより相続税の支払いを減らそうとすることを防止するための規定です。

また、相続人が配偶者または親子以外である場合も、同様に相続税が2割加算されます。これは、相続する可能性が低かった者には、相続財産を生活のために必要とする予定であったとは考え難いため、相続税を重くしても問題ないと考えられるからです。

節税目的の養子縁組は否認されることがある

税務署の判断により、制限人数内であっても、相続税の計算上の法定相続人であるとは認められない場合があります。

(例)養子の中に全く財産を相続しない者がいる場合
   相続発生の直前に養子縁組し、相続してすぐに死後離縁した場合

これらの場合には、節税対策のみを目的とした養子縁組として、相続税法上は有効な養子縁組として認められない可能性があります。

なお、これらは相続税を計算する時の話であり、養子縁組自体の効果が否定されるわけではありません。そのため、税務署に否定されても、法定相続人となり相続財産を相続することは可能です。

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相続税対策として養子縁組する方法

養子縁組には、2つの方法があります。

  • ① 普通養子縁組
    養子が養親と法律上の親子となる一方で、実親との親子関係が存続する制度です。
    成年者を養子とする場合には、婚姻の場合と同様に、当事者の合意と届出のみによって成立します。
    なお、未成年者等を養子とするには、家庭裁判所の許可が必要な場合があります。
  • ② 特別養子縁組
    法律上の実親子関係を終了させて、新たな法律上の親子関係を創造する制度です。
    特別養子縁組は、普通養子縁組よりも要件が厳しくなっており、実父母の同意や、実父母による看護ができないような特別の事情がある場合においてこの利益のため特に必要がある場合に認められます。また、家庭裁判所の審判を経る必要があります。

以上のように、特別養子縁組はその要件が厳しいため、相続税対策を考える場合には、普通養子縁組をするのが一般的と言えるでしょう。

相続についてのお悩みは弁護士にご相談ください

養子縁組により法定相続人を増やせば、相続税を抑えられる可能性があります。

しかし、相続は、血のつながった親族間でもトラブルになりやすいものです。養子縁組によって新たな家族関係を形成することで、トラブルを引き起こす原因になりかねません。

また、場合によっては、節税対策とならないことや、生前贈与や遺言の方法を取った方が良いこともあります。

弁護士であれば、どのような方法を用いるべきか、相談者様の状況に応じたアドバイスが可能です。
まずはご気軽にご相談ください。

被相続人が借金を残したまま死亡した場合や特定の相続人に相続財産を集中させる場合等には、相続人が「相続放棄」を選ぶことがあります。

もっとも、相続放棄の手続きをしたとしても、それだけで全ての負担から逃れられるわけではありません。相続しなくても管理が必要な財産がある等、注意すべき点があります。

以下では、相続放棄後の相続人の管理義務について説明します。

相続放棄をしても残る管理義務とは

民法940条より、相続の放棄をした者は、相続放棄時に現実に占有している相続財産がある場合は、その財産を相続人または清算人に引き渡すまで、自己の財産におけると同一の注意をもってその財産の管理を継続しなければならない義務を負います。

相続放棄しても管理費用と労力はかかる

例えば、相続財産が実家だが、相続人が遠方に引っ越すため誰も住まない空き家となる場合、相続放棄者は空き家の管理を行う必要があります。空き家は周囲から家の中が見えにくいため、犯罪の温床となるおそれなどがあり、周辺の生活環境に影響を及ぼしかねません。他にも、建物が老朽化している場合は倒壊など事故のおそれもあります。

そのため、相続放棄をしても、相続放棄者は建物の解体や修繕、立木竹の伐採など、周辺の住民に迷惑をかけないよう対策を講じる必要があります。

なお、相続放棄者が管理しているときに空き家が倒壊する等で第三者に損害を与えてしまった場合には、相続放棄者は損害賠償責任を負いうる点にも注意が必要です。

管理義務の対象となる遺産

空き家、空き地、農地、山林等の不動産類に加え、貴金属等の動産、預貯金等、全ての相続財産が管理義務の対象となります。

管理って何をすればいい?管理不行き届きとされるのはどんなケース?

空き家を例に挙げると、老朽化した建物を修繕しないまま放置し、その結果建物が倒壊して周囲にいた第三者に損害を与えた場合は、管理不行き届きとなります。この場合、相続放棄者は、その第三者から損害賠償を請求されるおそれがあります。

このような事態を避けるため、相続放棄者は定期的に建物等の状態を確認し、必要に応じて修繕や補強、瓦礫の撤去をする必要があります。また、空き家内に人が入らないように敷地にフェンスを設置したり「立ち入り禁止」等の看板を用意することも考えられます。

管理義務は誰にいつまであるの?

改正民法940条1項は、「相続の放棄をした者は、その放棄の時に相続財産に属する財産を現に占有しているときは、相続人又は第九百五十二条第一項の相続財産の清算人に対して当該財産を引き渡すまでの間、自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産を保存しなければならない。」と規定しています。

そのため、相続人はたとえ相続放棄をしたとしても、放棄時に相続財産に当たる物を現実に占有している場合は、他の相続人または相続財産清算人に対し当該物を引き渡すまでの間、管理義務を負うことになります。

民法改正の2023年4月1日以降は誰に管理義務があるのか明確になる

相続放棄者の管理義務について、改正前民法では、相続の放棄をした者は、その放棄によって相続人となった者がその相続財産の管理を始めることができるまで、自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産の管理を継続する義務を負うと規定されていました。

しかし、改正民法により、2023年4月1日以降は、「相続の放棄をした者は、その放棄の時に相続財産に属する財産を現に占有しているときは、相続人又は第九五二条第一項の相続財産の清算人に対して当該財産を引き渡すまでの間、自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産を保存しなければならない。」と規定されました。

改正民法では相続放棄時に「現に占有」している相続放棄者であることが要件となるため、相続人が実際に占有していない相続財産については、管理義務の対象外となります。

民法改正以前に起きた相続でも適用される?

改正民法の適用開始時期は、2023年(令和5年)4月1日です。施行日後に相続放棄された場合に適用されます。

管理義務のある人が未成年、または認知症などで判断能力に欠ける場合

相続人が未成年者や重度の認知症で判断能力に欠ける場合、親権者や成年後見人といった法定代理人が本人に代わって相続放棄の手続きをする必要があります。

相続放棄者の管理義務については、相続人が未成年者や重度の認知症等で判断能力に欠ける場合、現実には自身で管理を行えない者であっても、相続放棄者である以上、本人が管理義務を負う可能性が高いです。

管理義務のある人が亡くなった場合

相続放棄後は、相続財産が相続放棄者の相続人に相続されることはありません。相続放棄者は、はじめから相続人とならなかったとみなされるからです。

相続放棄後の管理義務は、「相続を放棄した者」が、他の相続人等に対して負う保存義務であるため、相続放棄者の相続人が、管理義務だけを相続することはありません。

ただし、相続財産を他の相続人等に未だ引き渡さず占有しているような場合は、別途、土地工作物等の占有者としての責任を負うといったことはあり得ます。そのような場合は、損害賠償責任を問われないよう管理をする必要があります。

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遺産の管理をしたくないなら相続財産清算人を選任しましょう

これまで述べたように、相続放棄した元相続人は、相続財産に関して損害賠償義務を負わされてしまう可能性があります。こうした負担から解放されるためには、家庭裁判所に相続財産清算人の選任申立てをする必要があります。相続財産清算人に相続財産を引き渡すことで、相続放棄者は相続財産の管理から解放されます。

相続財産清算人とは

相続財産清算人とは、相続人がいない場合に、被相続人の相続財産の管理をする人です。
相続人がいるのかが明らかでない場合や、すべての相続人が相続する権利を放棄して相続人がいなくなった場合等に、相続に関して利害関係がある人や検察官の申立てによって家庭裁判所で審理され、選任されます。

一般的には、弁護士や司法書士などの専門職に委嘱されることが多くあります。

選任に必要な費用

相続財産清算人選任を申立てる際は、収入印紙800円と連絡用の郵便切手数千円程度がかかるほか、相続財産の存在が明確でない場合は、「予納金」を支払う必要があります。

予納金は、相続財産清算人が遺産の清算を進めるのに必要な経費や相続財産清算人の報酬に充てられるお金です。予納金の額は、裁判所が事案の内容に応じて決めますが、概ね、30万円から100万円程度です。

相続財産が十分にあれば、最終的には、相続財産の中から予納金も返還されます。

選任の申立・費用の負担は誰がする?

選任の申立は、利害関係人がすることができます。

利害関係人とは、相続財産の保全につき法律上の利益を有する者をいいます。具体的には、特別縁故者や相続債権者、受遺者などが挙げられます。もっとも、相続財産の無管理状態が継続することを避けるため、利害関係人に当たるかは柔軟に考えられる傾向にあるようです。

そして、費用の負担は申立をした者がすることになります。

相続財産清算人の選任方法

相続財産清算人を選任したいときには、相続財産清算人選任の申立書を作成し、被相続人の住所地を管轄する家庭裁判所へ提出することで、相続財産清算人選任の申立てを行います。

相続財産清算人選任の申し立てがなされると、家庭裁判所は審理を行い、被相続人との関係や利害関係の有無、相続財産の内容などを考慮して、相続財産を管理するのに最も適任と認められる人を選任します。

相続財産清算人となる人に特段の資格は必要なく、申立人が候補者をあげることもできます。

相続放棄をした財産に価値がない場合、相続財産清算人が選任されないことがある

相続財産が少ない、または借金などの消極財産しかないときに、相続財産清算人を選任した場合、相続財産清算人が選任されないことがあります。

申立人は費用に加えて予納金を支払いますが、予納金は相続財産の中から返還されることになっています。しかし、相続財産が少ない、または消極財産しかない場合は、予納金を返還するための原資がないことになり、申立人が費用を自ら負担せざるを得ない結果となるため、金銭的な負担を避けるため、相続財産清算人が選任されないことがあります。

管理義務に関するQ&A

相続放棄した土地に建つ家がぼろぼろで崩れそうです。自治体からは解体を求められていますが、せっかく相続放棄したのにお金がかかるなんて…。どうしたらいいですか?

家の解体は処分行為に当たり、相続を承認したとみなされて相続放棄が無効になる可能性があるため、相続放棄者が解体を行うことは避けるべきです。
自治体から命令を受けた場合であっても、これに従うことができない正当な理由がありますから、行政代執行にかかる空き家の解体費用などを負担しないですむ可能性があります。

なお、この管理義務は、後に相続人となる者に対する義務であって、地域住民などの第三者に対する義務ではありませんが、空き家の倒壊や放火等により第三者に損害を与えた場合には、損害賠償責任を負うこともあり得ます。

他方で、相続財産清算人を選任した場合、場合によっては100万円程度の予納金が必要となり、相続財産の財産価値によっては予納金が返還されないという金銭的負担を負う可能性もあります。しかし、相続財産清算人は、相続財産清算人に対する報酬は初めに納付した予納金の範囲内で認められ、追加の費用納付を命じられることは考え難いといえます。

以上からすると、本件のような場合、金銭的な負担を負うことも承知の上で、損害賠償責任等のリスクを回避するために、相続財産清算人の選任の申立てをすることも選択肢の1つとして考えられます。

全員相続放棄しました。管理義務があるなんて誰も知らなかったのですが、この場合の管理義務は誰にあるのでしょうか?

法定相続人が全員放棄した場合であっても特に変わるところはありません。つまり、放棄した者のうち、相続放棄時に現実に相続財産を占有していた者については、相続財産清算人に対して当該財産を引き渡すまでの間、管理義務があります。

相続放棄したので管理をお願いしたいと叔父に伝えたところ、「自分も相続放棄するので管理はしない」と言われてしまいました。私が管理しなければならないのでしょうか?

この場合であっても、相続放棄時に現実に相続財産を占有していた者が誰かによって管理すべき人が異なります。

つまり、相談者が相続放棄の時に相続財産を現に占有していて、叔父が相続放棄時に占有していなかった場合には相談者が相続財産を管理しなければなりません。

他方、相談者が相続放棄の時に相続財産を現に占有していなかった又は占有していたとしても、叔父が相続放棄時に占有していた場合には叔父が相続財産を管理しなければなりません。

相続放棄したのに固定資産税の通知が届きました。相続しないのだから、払わなくても良いですよね?

固定資産税の課税では、課税者等を決定する期日に登記簿等に登録されていた人を土地の所有者として扱います。そのため、相続放棄をしても、課税者等を決定する期日に登記簿等に登録されていた人には、固定資産税の納税通知が届きます。

相続放棄をしたからといって固定資産税の支払いをしない場合は、思わぬトラブルにつながるおそれがあります。通知を無視することは避け、相続放棄をしたことを証明する書面を役所に提出するなど、手続きをする必要があります。

相続放棄後の管理義務についての不安は弁護士へご相談ください

相続放棄の管理業務は、これまでに述べたように複雑なことがあります。その仕組みや内容、具体的な手続き等について、しっかりと把握して判断するためにも、法律の専門家である弁護士に相談することをおすすめします。

相続放棄後の管理義務について、ご不明点や不安なこと等、どうぞ気軽にご相談ください。

福岡法律事務所 副所長 弁護士 今西 眞
監修:弁護士 今西 眞弁護士法人ALG&Associates 福岡法律事務所 副所長
保有資格弁護士(福岡県弁護士会所属・登録番号:47535)
福岡県弁護士会所属。弁護士法人ALG&Associatesでは高品質の法的サービスを提供し、顧客満足のみならず、「顧客感動」を目指し、新しい法的サービスの提供に努めています。