香典受け取り等のご相談に対し単純承認にならないようアドバイスしたことで相続放棄が認められた事例

相続放棄

相続財産:
自動車
わずかな現金
多額の債務
依頼者の被相続人との関係:
争点:
相続放棄

事案の概要

被相続人には、奥様とお子様がおり、そのお2人が第1順位の相続人でした。被相続人は、多額の債務を有している一方で、めぼしい財産は無かったため、奥様・お子様ともに相続放棄をしたいとのことで、ご依頼いただきました。

弁護方針・弁護士対応

民法において、外見上、相続を受け入れるような行動があった場合に、当然に単純承認をしたとみなされる制度があります。相続放棄を行うに際して、単純承認をしたとみなされる行為をしていないか、注意する必要があります。

奥様に対して、被相続人の勤務先より、被相続人の未払賃料相当額の金銭を、香典として渡したい旨の打診がありました。しかし、香典名目とはいえ、被相続人の賃料を実質的に受取ることで、単純承認したとみなされる可能性があることから、受け取らないことをお勧めしました。

また、処分を希望されていた被相続人名義の自動車(市場価格としては0円であるもの)について、しっかり書面の形で査定を出してもらったうえで、処分することをお勧めしました。

弁護士法人ALG&Associates

福岡法律事務所・相続案件担当弁護士の活動及び解決結果

結果として、相続放棄の申述が受理されました。相続放棄の申述が受理されたとしても、それだけで相続放棄の効力が確定するわけではありません。民事訴訟で、相続放棄の効力が判断されることになっています。そこで、後に、債権者から相続放棄の効力が争われた場合に、単純承認をしたとみなされるような行為を行っていないことを、主張できるようにしておく必要があります。香典の受け取りや車の処分等、具体的な行為を相談いただき、対応することで、単純承認とみなされるリスクをできる限り回避し、奥様・お子様に安心して今後の生活を送っていただくことができるようになったと思える事案でした。

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相続財産:
①数十万円の預貯金
②不動産、住宅ローン(後に判明)
依頼者の被相続人との関係:
親子
相続人:
なし
争点:
①数十万の預貯金の解約と,相続債務への支払いが,法定単純承認事由にあたるか
②相続放棄の熟慮期間が経過していないか
弁護士法人ALGに依頼した結果
相続放棄が受理され、債権者からの請求がなくなる

事案の概要

ご依頼者様の父親が、被相続人の事案でした。被相続人は、生前、居住していた住居の住宅ローンを滞納したため、住宅の競売がされていました。 ご依頼者様は、被相続人から、「競売の後、住宅ローンを払わなくてよくなった」と言われていました。被相続人の死後、ご依頼者様が、被相続人の通帳を確認したところ、住宅ローンその他の債務の支払いがなかったため、ご依頼者様は、被相続人には債務がないものと考え、数十万円程度残っていた被相続人の預貯金を引き出し、葬儀費用、携帯電話料金、医療費の支払い等に充てていました。

その後数年経過した後、ご依頼者様に対し、サービサーから、住宅ローンの残債の請求がなされました。

弁護方針・弁護士対応

まず、預貯金の解約が、法定単純承認に該当すれば、相続放棄が認められません。そのため、法定単純に当たらないことの立証を尽くすことにしました。

また、被相続人の死亡後数年が経過しており、相続放棄の熟慮期間が経過していると評価される可能性がありました。そのため、裁判例を踏まえて、「自己のために相続の開始があったことを知った時」の解釈を主張することにしました。

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福岡法律事務所・相続案件担当弁護士の活動及び解決結果

①遺産の使途を、取引履歴、領収書等で立証し、大阪高裁平成14年7月3日決定家庭裁判月報55巻1号82頁等の裁判例を踏まえて、相続債務のあることを全く認識せず、かつ、費消した金額も社会的にみて不相当に高額のものともいえないこと等から、単純承認と評価すべきでないと主張しました。

また、②『相続人が相続財産の一部の存在を知っていた場合でも、自己が取得すべき相続財産がなく、通常人がその存在を知っていれば当然相続放棄をしたであろう相続債務が存在しないと信じており、かつ、そのように信じたことについて相当の理由があると認められる場合には、上記最高裁判例の趣旨が妥当するというべきであるから、熟慮期間は、相続債務の存在を認識した時又は通常これを認識し得べき時から起算すべきものと解するのが相当である』とした裁判例(福岡高裁決定平成27年2月16日判時2259号58頁)を踏まえて、熟慮期間が経過していないとの主張をしました。

その結果、無事、相続放棄が受理されました。 相続放棄の受理結果と、相続放棄手続での主張立証内容を踏まえ、債権者に対し、今後の請求を控えるよう要請し、債権者からの請求もなくなりました。

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依頼者:
80代、男性、無職
80代、女性、無職
受任内容:
子を被相続人とする相続放棄

事案の概要

子の死後、債務の支払を求める書面が遺品から発見されたため、子が多重債務者だったことが初めて判明し、夫婦で相続放棄をすることとしました。

弁護方針・弁護士対応

子が多重債務者だったことが判明した一方、子に積極財産はなかったため、相続放棄の必要性は明らかでした。
相続放棄については、「自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内」という民法上の期間制限があるところ、戸籍等の必要書類の取得には日数を要するため、直ちに準備を開始することが必要不可欠でした。

弁護士法人ALG&Associates

福岡法律事務所・相続案件担当弁護士の活動及び解決結果

弁護士が職務上請求により必要書類を取得した上、速やかに家庭裁判所に相続放棄申述を行ったところ、受理されました。

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