弁護士費用特約とは | 適用範囲や使えないケース

コラム

福岡法律事務所 所長 弁護士 今西 眞

監修弁護士 今西 眞弁護士法人ALG&Associates 福岡法律事務所 所長 弁護士

近時の自動車保険では、その多くに弁護士費用特約がついています。
交通事故の被害者となった場合、適正な賠償を受けられるようにするためには、弁護士が代理人として介入することが重要です。しかし、弁護士が介入した場合、弁護士費用は生じるため、実質的な賠償金の増額が少なかったり、むしろマイナスとなってしまったりすることもあります。

そこで、弁護士費用を代わりに負担してくれる弁護士費用特約が重要になってきます。ここでは、弁護士費用特約についてご説明します。

弁護士費用特約とは

弁護士費用特約とは、ご自身が被害者として、加害者に損害賠償請求する際の弁護士費用を、保険会社が負担してくれるというものです。

例えば、A損害保険会社と自動車保険契約を締結しているとします。その自動車保険契約の中に、弁護士費用特約というものが定められていれば、加害者への損害賠償請求をする際の弁護士費用を、A損害保険会社が代わりに負担してくれます。

弁護士費用特約があることで、経済的な心配なく、弁護士に代理人として介入してもらうことが可能となります。

法律相談費用は10万円まで補償

ただし、弁護士費用特約も、上限なく弁護士費用を支払ってくれるものではありませんので、注意が必要です。

例えば、多くの弁護士費用特約では、法律相談料は10万円が支払いの上限となっています。法律相談料は弁護士事務所によってそれぞれ異なりますが、例えば、30分あたり5000円という事務所であれば、10時間までは実質無料で相談を受けられることになります。

交通事故の法律相談で10時間を要するということは稀だと考えられますので、法律相談料は全額カバーされることがほとんどでしょう。

弁護士費用は最大300万円まで補償

実際に弁護士に依頼した場合には、通常は弁護士費用として着手金や成功報酬金等が生じます。

多くの弁護士費用特約では、弁護士費用は300万円が上限となっています。つまり、保険会社の認める弁護士費用が300万円までであれば、被害者の方に実質的な負担なく、弁護士を介入させることができます。

弁護士費用が300万円を超えることは多くありません。多くの案件では、実質的な負担なく、弁護士を介入させられる可能性があります。

300万円を超えるケースってどんな事故?

弁護士費用は経済的利益(損害賠償額とは一致しないことも多いです)により変動します。

弁護士費用特約には、その計算式が定められています。

代表的な弁護士費用特約では、例えば、経済的利益が1640万円であれば、着手金は税込み100万1000円です(1640万円×5%+9万円+税)。無事解決した場合の報酬金は、税込み200万2000円です(1640万円×10%+18万円+税)。

そのため、経済的利益が1640万円では、わずかに着手金と報酬金の税込み合計金額が300万円を超えることになります。

経済的利益が1640万円程度までになるのは、一概にはいえませんが、相当程度高い等級の後遺障害が認定された場合や死亡事案が多いと考えられます。

あなたも加入しているかも?弁護士費用特約は加入率が高い

自動車購入時にはあまり意識している人は多くないかもしれませんが、基本的に自動車購入時には、弁護士費用特約の加入を勧められているはずです。弁護士費用特約を付けても保険料はさほど増額せず、経済的負担も小さいため、多くの人が加入しています。

他方で、万が一事故にあったときに弁護士費用特約に加入していなければ、弁護士費用は全額自費負担となってしまい、最終的に手元に残る金銭が減ってしまいますので、ご自身が弁護士費用特約に加入しているかどうか、確認をした方がよいでしょう。

クレジットカードなど、自動車保険以外で加入しているケースもある

多くの方は、自動車保険に含まれる弁護士費用特約に加入していますが、中には、クレジットカード契約に含まれる弁護士費用特約に加入している方もいます。クレジットカードにも弁護士費用特約がつけられることをご存じの方は多くないかもしれません。

例えば、そもそも自動車を購入しておらず、自動車保険に加入していない方が、歩行中に自動車に轢かれた場合、自動車保険に加入していない以上、自動車保険の弁護士費用特約は使用できません。しかし、もしクレジットカードに弁護士費用特約を付けており、その事故が弁護士費用特約の対象となるのであれば、弁護士費用特約を使用することができます。

自動車保険に加入されていない方は、一度、クレジットカード等で弁護士費用特約に加入していないか、確認されることをお勧めします。

弁護士費用特約の適用範囲

ここでは、(1)誰が弁護士費用特約を使えるか、(2)どのような場合に弁護士費用特約が使えるか(逆に、使えないか)について説明します。

(1)の点は、代表的な弁護士費用特約では、次にあたる人が被保険者として、弁護士費用特約を使用できることになっています。

①記名被保険者
②記名被保険者の配偶者
③記名被保険者またはその配偶者の同居の親族
④記名被保険者またはその配偶者の別居の未婚の子
⑤①から④まで以外の者で、契約自動車の正規の乗車装置またはその装置のある室内に搭乗中の者
⑥①から⑤まで以外の者で、契約自動車の所有者

(2)については、保険金請求者が賠償義務者(交通事故の加害者)に対し、当該交通事故に関する損害賠償請求を行う場合の弁護士費用を、保険金として支払ってくれます。ただし、保険金(弁護士費用)を支払ってくれない場合も定められています。そのうち代表的なものを以下紹介します。

被保険者の故意または重大な過失によって発生した被害事故の場合
被保険者が運転資格を持たずに運転していた場合
被保険者について、酒気帯び運転や薬物使用状態にある間の事故の場合
地震もしくは噴火またはこれらによる津波によって生じた損害である場合
賠償義務者が上記(1)の①から④、⑥にあたる場合 等です。

弁護士特約を使って弁護士に依頼するメリット

弁護士費用を気にせず依頼できる

交通事故の損害賠償請求を行う際、弁護士を介入させることには多くの利点があります。最終的な慰謝料等の損害賠償金額が増額することはもちろん、通院中の注意事項についてアドバイスを受けたり、相手方保険会社との連絡の窓口になってくれたりします。

弁護士費用特約のメリットは、何より、このような利点を、経済的負担なく(もしくは少なく)享受できるという点にあります。

慰謝料を含む損害賠償金額が大幅にアップする

交通事故の示談交渉段階では、保険会社は、被害者が自身で交渉している場合と、弁護士が介入している場合で、扱いを異にしています。

例えば、慰謝料について、被害者本人で交渉している場合には、自賠責基準や、それに近い保険会社基準というもので計算し、提示をしてきます。しかし、この基準で計算した慰謝料は低額で、適切な賠償内容ではありません。

他方、弁護士が介入すると、裁判基準というもので保険会社も計算をするようになり、慰謝料が増額することになります。このように、弁護士が介入すると、慰謝料を含む損害賠償金額が大幅にアップする可能性があります。

保険の等級は変わらない

対人保険や対物保険、車両保険を使用した場合、保険の等級が下がることにより、保険料が増額することになります。
他方、弁護士費用特約は使用したとしても、保険の等級が下がることはありません。

例えば、過失0の事故の被害者として、加害者に損害賠償請求する際、弁護士費用特約を使用しても、等級は下がることなく、保険料が増額することはありません。保険料の増額も気にすることなく、弁護士費用特約は使用することができます。

弁護士費用特約の使い方

交通事故が得意な弁護士を探す

交通事故にあったら、ます重要なのが、交通事故分野に精通した弁護士を探すことです。交通事故の被害にあった際、弁護士を介入させることが非常に重要です。最終的な賠償額の増額のみならず、通院時の注意点等についてアドバイスをもらうこともできます。

事故後、なるべく早い段階で弁護士に相談をすることで、知らず知らずのうちに取り返しのつかない状態になってしまうということを避けることもできます。まずは交通事故分野に精通した弁護士を探しましょう。

保険会社に連絡し、弁護士費用特約利用の同意を得る

弁護士を探した後は、弁護士費用特約保険会社に連絡をする必要があります。弁護士費用特約を使用するためには、当然、保険会社に利用の同意を得る必要があるためです。

法律相談料も弁護士費用特約により支払いがなされますので、実際に法律相談をする前には、弁護士費用特約保険会社には連絡をしておくのが良いです。実際に弁護士に依頼することとした場合も、事前に保険会社に確認をしておくのがよいでしょう。

弁護士に弁護士費用特約を使いたいと伝える

弁護士費用特約を使用する場合、弁護士は弁護士費用特約会社から支払を受けることになりますので、弁護士にも弁護士費用特約を利用する旨を伝える必要があります。そのため、法律相談を行う前段階から、弁護士に対しても、弁護士費用特約を使用する旨を伝えるのがよいでしょう。

実際に依頼する際も、事前に、弁護士に対して弁護士費用特約の使用を希望する旨を伝える必要があります。弁護士によっては、弁護士費用特約を使用する場合には受任しないということもあるためです。

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弁護士を変更したくなった場合

依頼者は、弁護士をいつでも解任することが可能です(民法651条)。
そのため、弁護士を変更したくなった場合には、まずは弁護士との委任契約を解除する必要があります。その後、新たな弁護士と委任契約を締結することになります。

注意点として、解任をした弁護士に対しても、少なくとも着手金が発生していることが通常です。その費用を弁護士費用特約により支払った場合、弁護士費用特約の上限300万円のうち、20万円は使用済みということとなり、残り280万円が上限となります。

そのため、仮に次の弁護士に対する報酬が合計290万円となった場合、280万円までしか弁護士費用特約が支払わないため、10万円分は自ら弁護士費用を負担しなければなりません。

弁護士費用特約が特に効果的なケース

被害者に過失がないケース

弁護士費用は、事案の難易度等によっても変動しますが、基本的には経済的利益により変動します。加害者の賠償額が大きいほど、経済的利益も大きくなることが多いです。
被害者に過失があるケースでは、加害者への賠償請求額は被害者の過失分低くなり、結果的に弁護士費用も低くなる可能性があります。

逆に、被害者に過失がないケースでは経済的利益も大きくなり、弁護士費用も高くなることが考えられます。したがって、弁護士費用特約を使用することのメリットも大きくなります。

後遺症が残りそうなケース

交通事故の負傷が、その後の治療により完治することが、被害者の方にとっては最も重要なことではありますが、他方で、一定数、完治せずに症状が残ってしまうケースが存在します。そのような場合、「後遺障害」というものが認められれば、その等級(ランク)に応じて、加害者に損害賠償請求できる金額が上がります。

後遺障害が認められるか否か、また、その等級はどうかにより、損害賠償請求額は大幅に変わってきます。重度の後遺障害が認定されるケースでは、弁護士費用も数百万円ということがあり得ます。

そのような弁護士費用が上限300万円まで軽減できるとなれば、非常に被害者の方にとってはメリットが大きいといえるでしょう。

加害者が無保険のケース

加害者が無保険というケースが稀に存在します。
自賠責保険にも何かしらの事情で入っていなかったり、自賠責保険には加入しているものの、任意保険には入っていなかったりする場合です。

このような場合、相手方個人に請求せざるを得ない側面がありますが、一般の方が加害者個人に対して損賠償請求をするのは非常にハードルが高いでしょう。また、任意の交渉では埒が明かず、訴訟提起せざるを得ないことも多いと考えられます。

いずれにしても、加害者が無保険の場合には弁護士が介入しないと解決に至らないことも多く、弁護士介入の必要性が高いところです。弁護士費用特約がついていれば、弁護士費用の負担が軽減し、適正な解決に至れる可能性が高まります。

請求できる損害賠償金額が小さい事故のケース

請求できる損害賠償金額が小さい事故の場合にも、弁護士費用特約が有効です。
損害賠償金額が小さくとも、業務を行う以上、一定額以上の弁護士費用は必ず必要になります。賠償額が小さいにもかかわらず、一定額以上の弁護士費用がかかるとすると、実質的に、被害者の方の手元に残る賠償金がほとんどないということになってしまいます。

弁護士費用特約により、弁護士費用全額が弁護士費用特約によって賄われたならば、手元に残る賠償金が低額ではあっても、そのまま残せることになります。

弁護士費用特約に関するQ&A

保険会社が弁護士特約の利用を嫌がります。諦めるしかないでしょうか?

約款上、弁護士費用特約を使える状況なのであれば、弁護士費用特約を使用することは加入者の権利です。保険会社が弁護士費用特約の利用を拒むことはできません。
保険会社としては、弁護士費用を負担しなければならないため、一部、弁護士費用特約の使用を渋るところもあるかもしれませんが、屈することなく、正式に弁護士費用特約を使用する旨を伝えましょう。
それでも渋るようであれば、担当者の部署の上司に代わってもらうとか、依頼予定の弁護士から保険会社に話をしてもらうといった対応を取るのがよいかもしれません。

弁護士特約のデメリットはありますか?

弁護士費用特約自体にデメリットはありません。
弁護士費用の全部又は一部を保険会社が負担してくれるという内容であり、不利益はありません。
弁護士費用特約を使用する場合、弁護士を自由に選択できないのではないか、と思われる方もいますが、弁護士は自由に選ぶことができます。保険会社が弁護士を積極的に紹介してくることはあるかもしれませんが、どの弁護士に依頼するかは自由ですし、どの弁護士に依頼しても、弁護士費用特約は使用することができます。

弁護士特約を使うタイミングはいつがいいですか?

弁護士費用特約を使うタイミング、すなわち、弁護士に依頼するタイミングはいつが良いかという点についてご説明します。
交通事故は、治療終了後の損害賠償請求が最も重要な点ですが、それまでの間にも、物損処理、通院中の注意点、一括対応延長交渉、後遺障害等級申請等、処理すべき問題が多く存在します。これらの問題も、弁護士が介入していた方が、適切な対応ができる可能性が高まります。したがって、基本的には事故からなるべく早い段階で弁護士を介入させた方がよいと考えられます。

事故後に加入しても弁護士費用特約を使えますか?

保険一般にいえることですが、保険金の支払いを受けるためには、事故時に保険に加入している必要があります。
弁護士費用特約も同様です。弁護士費用特約に加入している状況で発生した事故でなければ、弁護士費用特約を使用することはできません。
すなわち、事故後、弁護士費用特約に加入したとしても、当該事故の損害賠償請求に際し、弁護士費用特約を使用することはできません。
早めにご自身が弁護士費用特約に加入しているかどうかを確認することをお勧めします。

1事故1名当たりの補償ということは、1事故2名なら補償も2倍になるのですか?

自動車に2人乗っていたときに追突事故にあったとします。この場合、被害者が2名です。
このような場合、弁護士費用特約はどのように適用されるかというと、被害者それぞれが、弁護士費用特約を使用できます。
すなわち、被害者Aの弁護士費用が280万円となった場合、弁護士費用特約で280万円が支払われます。被害者Bが200万円の弁護士費用となった場合、弁護士費用特約で200万円が支払われます(それぞれ、上限は300万円です)。
他方、被害者Aの弁護士費用が330万円、被害者Bの弁護士費用が50万円であった場合、Aについては300万円が、Bについては50万円が、それぞれ弁護士費用として支払われます。「併せて380万円で、600万円(300万円×2人分)だから、合計380万円が支払われる」ということではありません。

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まずは弁護士にご相談ください

交通事故は、早期に弁護士に相談をし、適切なタイミングで弁護士を介入させることが、適切な賠償を受けるために重要なことです。しかしながら、弁護士を介入させるためには一定の費用が必要となり、一定程度負担が生じるのは間違いありません。

弁護士費用特約を使用することができれば、弁護士費用の負担なく、または最小限にすることができ、かつ、適正な賠償金を獲得できる可能性が高まります。この記事を読んでいただいた方は、是非弁護士費用特約に加入しているかどうかをご確認の上、加入していない場合には、加入を検討していただくことをお勧めいたします。

交通事故に遭ったことにより弁護士に依頼すると、着手金や成功報酬などの費用がかかります。 中にはお金がかかることが不安で弁護士に相談することをあきらめてしまったり、そもそも交通事故が弁護士に依頼できることすらご存知なかったりする方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、そのような心配はご無用です。もし、加入している保険に弁護士費用特約が付帯していれば、弁護士費用を大幅に抑えることができます。 では、弁護士費用特約が付いていない方は弁護士に依頼できないのでしょうか。

答えは、特約がなくても弁護士に依頼することが可能です。費用面で心配な方は弁護士に相談することもできます。

この記事では弁護士費用特約がない方に向け、弁護士費用特約とは何なのか、特約がなくても弁護士に相談するべきなのか、解説していきます。

弁護士費用特約なしの場合の対処法

自動車保険に弁護士費用特約がない場合はどうしたら良いのでしょうか。対処法は次の2つあります。

  • 自動車保険以外の保険を確認する
  • 家族や同乗者の保険を確認する

以下でそれぞれについて解説していきます。

自動車保険以外の保険を確認する

一般的には弁護士費用特約は自動車保険に付帯していることが多いと思われていますが、自動車保険以外でも同じような特約が付いていることがあります。自動車保険に特約を付けていない場合では、別の保険に付帯している特約を使用することで弁護士に交通事故の依頼をすることができます。

自動車保険以外に弁護士費用特約が付いている可能性のある保険は以下のとおりです。

バイク保険 自転車保険 火災保険 建物・家財保険

自動車保険以外にも弁護士費用特約が付帯している可能性があるので、是非確認してみて下さい。

家族や同乗者の保険を確認する

弁護士費用特約を使えるのは、契約者本人だけでなく、本人の周囲の一定範囲の人も適用対象となります。

保険会社により、適用できる範囲が変わる場合もありますので、実際に利用できるかは、一度契約している保険会社に連絡してみましょう。自動車の同乗者の場合は、車両に弁護士費用特約が付帯している場合、多くの場合で適用されます。弁護士費用特約の適用範囲は以下のとおりです。

  • 契約者本人
  • 契約者の配偶者
  • 別居の未婚の子
  • 契約自動車に搭乗している人
  • 契約自動車の所有者

特約がない場合、弁護士費用はどれくらいかかる?

交通事故の弁護士費用の相場は、弁護士事務所ごとに異なります。弁護士事務所に中には、示談金から弁護士費用を差し引く形で対応してくれることもあるようです。以下の表は弁護士費用の内容と目安です。ご参考ください。

2.1 相談料

相談料の相場: 30分~1時間当たり5000円~10000円程度

相談料とは、弁護士に法律相談をする際に発生する費用を指します。弁護士に依頼する前に、弁護士による法律相談を受ける場合は、相談料が必要です。

相談料は30分当たり5000円(税別)というように、時間当たりの料金が設定されていることがほとんどです。

事務所によっては「初回30分は法律相談料無料」「初回相談無料」というところもあります。

30分無料の法律事務所では、30分を過ぎたところで弁護士から声かけをしてくれる弁護士事務所もあるようです。 被害者側の交通事故事件については、弁護士法人ALGを含め無料相談を行っている事務所も多いのでお問い合わせください。

着手金

着手金の相場: 10万円~

着手金とは、依頼を受けた事案に着手するにあたっての初期費用となります。

着手金は弁護士が弁護活動に着手することに対する対価であるため、原則として弁護士との契約を途中で解約しても着手金は返金されません。

着手金の金額は事件の経済的利益が高くなるにつれて高額になる傾向にあります。

交通事故で依頼する場合の着手金は10万円~となっており、事務所によっては着手金が無料のところもあります。

また、着手金を支払った場合、どこまでのサービスを行ってくれるのかも重要です。

交通事件では、交渉から裁判になる場合もあります。 多くの事務所が交渉と裁判では契約を異にしているため、裁判を行う際は別途着手金が必要となります。

実費

交渉や裁判にかかる実費

  • 裁判所に納める収入印紙や郵便切手代
  • カルテやレントゲン写真
  • MRI画像などの取り寄せ費用
  • コピー代
  • 翻訳費用
  • 鑑定費用

依頼した弁護士が事案を処理する際に要する費用については依頼者が負担するのが一般的であり、多くの事務所では実費は着手金に含まれていません。そのため、実費は着手金・成功報酬とは別に請求されます。

また、弁護士が実際に業務に使用した費用も含まれます。例えば、交通費や宿泊費です。

なお、弁護士法人ALGでは、着手金とは別に諸経費を頂いており、一度の支出額が3000円未満のものについては、実費を請求しない方針にしています。

弁護士日当 弁護士日当の相場 半日:3万~5万円 1日:5万~10万円 日当は、弁護士が事務所外で活動を行う際に発生する費用です。

金額は、移動距離や移動時間によって決定されることが多く、事務所によって異なりますが、弁護士が事務所外で活動した時間に応じて半日なら3万~5万円、1日なら5万~10万円程度となります。

2.4 成功報酬

成功報酬の相場: 経済的利益の額によって異なる 成功報酬とは、弁護士に依頼して、その問題が解決した場合、成果に応じて発生する費用のことです。

弁護士の成功報酬は、あらかじめ成功の定義を契約書に定めてあります。 また、多くの場合、獲得した金額の〇%とされ、獲得した賠償金が高くなれば高くなるほど、弁護士報酬は高額になります。

ただ、獲得した賠償金から、成功報酬として支払われるので、弁護士報酬が高い場合は、被害者が手にする賠償金も多額となるので、負担感はあまりないでしょう。

交通事故事件では、着手金の金額や獲得する賠償金の金額にもよりますが、獲得した金額の10%~20%程度が相場です。

弁護士費用特約がなくても弁護士に依頼すべき?

弁護士費用がない場合、使えない場合でも弁護士に依頼することは可能です。 特約がなくても事故形態によっては、弁護士に依頼した方が良いケースもあり、メリットもたくさんあります。 下記で、特に弁護士に依頼した方が良いケースと、弁護士に依頼するメリットについて解説していきます。

物損の場合

相手が弁護士を立てたケース

加害者である相手方に任意保険がついているにもかかわらず、弁護士がついているケースは、基本的に保険会社が賠償金を支払う必要が無い、もしくは賠償金を支払うとしても被害者の請求よりもかなり低額と考えているケースがほとんどです。

加害者側の弁護士は保険会社が依頼していることが多く、交渉が難航することが予測されます。適切な賠償を求めたい場合は、費用倒れにならないかも含め弁護士に相談することをお勧めします。

もらい事故のケース

もらい事故とは、被害者に一切の過失がない事故です。その場合弁護士法により、保険会社は示談交渉を代行してくれず、被害者本人が示談交渉をしなければなりません。相手方保険会社も示談交渉のプロであるため、不利にならないよう弁護士に依頼しましょう。

人身事故の場合

賠償額が高額になる可能性があるケース

治療期間が長期、後遺障害が残った、死亡事故の場合には慰謝料を請求することができます。 弁護士が入ることで、弁護士にしか使えない弁護士基準により慰謝料やその他損害賠償額を算出し、より高額な損害賠償金を受け取れる可能性があります。

その他の点は、物損の「相手が弁護士を立てたケース」、「もらい事故のケース」と同様です。

費用倒れのリスクがないかは確認してもらえる

いわゆる費用倒れとは、利益を得ようと思って費用をかけたとしても、最終的には費用が利益より高くなってしまい、収支がマイナスになってしまった状態のことです。

これは、弁護士に示談交渉を依頼しても、受け取れる損害賠償が少なかったため、弁護士費用を差し引いてしまうと、被害者が最終的に受け取れるはずであった金額がかえって少なくなってしまうことを指します。

弁護士費用特約がついていない方の場合には、このような費用倒れにならないよう依頼前に注意が必要です。費用倒れになりやすい事故として以下のようなものが挙げられます。

  • 物損事故
  • 軽微な人身事故
  • 相手側が無保険
  • 被害者の過失割合が大きい
  • 損害賠償を請求する証拠の不足

費用倒れを回避するための対策

  • 事前に弁護士に見積もりを出してもらう
  • 完全成功報酬型の弁護士に依頼する

特約なしの交通事故の解決事例

弁護士基準で交渉した結果、賠償金が約530万円の増額された事例

被害者はバイクで直進中にわき道から出てきた自動車と衝突して右上腕近位端骨折を負い、骨折は癒合したものの、股関節の可動域制限などの後遺障害が残りました。 保険会社から提示された金額は、後遺障害逸失利益が非常に低く、当方事務所に適切な損害賠償金を受け取りたいとご依頼いただきました。

当方弁護士は、残存症状、仕事への影響等を踏まえ、賠償金額を算定し、保険会社に交渉を続けました。相手方保険会社に将来的な支障が生じる可能性などを指摘することで、後遺障害逸失利益は当初の3倍近くに、慰謝料についても弁護士基準で算出することができ、当初の提示額から全体で500万円以上の増額となりました。

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弁護士費用特約に加入していなくても、まずはご相談ください

弁護士費用特約がなく、弁護士に依頼することをあきらめていた方もいらっしゃるのではないでしょうか。弁護士費用特約はご自身が付帯していなくても、家族や同乗者に特約がある場合に使えることもありますので、一度ご確認ください。

それでもやはり特約がなかったとしても、あきらめず、まずは弁護士にご相談ください。 弁護士への依頼は特約がなくても可能です。事案によっては弁護士費用を上回る金額の示談金を回収できる可能性もあります。

弁護士に依頼することで、示談交渉を任せられ、スムーズに示談交渉が進むだけでなく1番高額になる弁護士基準で損害賠償額を算出しますので、示談金が高額になる可能性が高まります

私たち弁護士法人ALGは、費用倒れになりそうなときにはしっかりと相談の段階でお伝えし、被害者の方に向き合っています。まずは一度ご相談ください。

夫婦が別居している場合、婚姻費用を請求できることがあります。乳幼児を抱えて別居をした場合等、経済的に切羽詰まっている場合、すぐに婚姻費用の請求をされる方が多いかと思います。

一方、「自分は収入があるから、相手に請求できない」と考えて、婚姻費用の請求をしないままでおられる方も少なくありません。
本稿では、収入がある方が、配偶者に対し、婚姻費用の請求をする場合について解説します。

共働きでも婚姻費用の分担義務はある

双方ともに働いており、お互いが自身の生活を維持できるくらいの収入を得ていたとしても、夫婦のうち高い収入を得ている方は、相手方に婚姻費用を支払わなければならないことがあります。

また、別居をした場合、育児の分担は困難なことが多いです。そのため、子どもと離れて暮らしている親は、子の養育について金銭的な分担をする必要があります。

双方の収入が同じくらいであっても、相手方が子どもと一緒に別居をする場合には、その子どもの生活に必要な費用の分担として、婚姻費用を支払わなければならないことがあります。

そもそも婚姻費用とは?

夫婦は、その資産、収入その他一切の事情を考慮して、婚姻から生ずる費用(婚姻費用)を分担する義務があります(民法760条)。
この義務は、夫婦は、自分と同程度の生活をさせる義務(生活保持義務)と考えられています。

生活保持義務は、夫婦のうち収入が高い方は、低い方に対し、金銭的な支援をするという形で具体化することが一般です。
例えば、一方が高級マンションに住み、高級車を乗り回している場合、他方にも同程度の生活をさせるため、一定の金銭を支払う義務を負うことがあります。

共働きの場合の婚姻費用の相場はどれくらい?

婚姻費用の金額は、双方の収入額、給与収入か自営業者か、子の有無、年齢、人数などの個別具体的な事情によって算定されます。この婚姻費用を算定する方法(標準算定方式)は、司法研修所編「養育費,婚姻費用の算定に関する実証的研究」(法曹会刊行)という書籍にまとめられていますが、専門的な内容です。

そこで、婚姻費用(及び養育費)について、簡単に算定できるように、最高裁判所が、いわゆる「算定表」を公開しています。
また、弊所や他の法律事務所が、婚姻費用及び養育費の簡易算定ツールを公表していますので、ぜひご利用ください。

婚姻費用計算ツール

なお、婚姻費用を算定するには、配偶者の正確な収入を把握する必要があります。できれば別居前に、配偶者の正確な収入を把握しておくことをお勧めします。

婚姻費用を払ってくれない場合の対処法

相手方が、婚姻費用を支払ってもらえない場合には、婚姻費用分担請求調停を申し立てることが最善です。
調停申立てにあたって、メール、内容証明郵便等の記録に残る方法で、婚姻費用請求の意思表示を明確にしておく方がよいでしょう。
実務上、婚姻費用の分担義務は、分担請求をした時から生じるとされることが多いためです。

共働き夫婦の婚姻費用に関するQ&A

共働きの妻が生活費を出さないのですが、払わせることはできますか?

子がいる場合、いない場合と分けて検討することになります。


⑴ 子がいない場合
この場合、同居・別居のいずれであっても、妻の収入の方が低ければ、婚姻費用の請求はできないことが原則です。
とはいえ、同居中であれば、婚姻費用支払義務以前に、お互い生活費を負担し合った方が、夫婦円満に資することは明らかです。負担額について、妻と冷静に話し合いましょう。

⑵ 子がいる場合
子がおり、かつ、別居や家庭内別居により、もっぱら夫が子の面倒を見ているというケースもあります。
この場合、夫婦の収入が同程度であったとしても、婚姻費用を請求できることがあります。算定表や上記計算ツールを基に、請求が可能か検討してみましょう。弁護士に相談するのもよいでしょう。

共働きですが、育休中です。婚姻費用は収入0の欄を見ればよいのでしょうか?

育休を取っていて会社からの給与がない期間であっても、「育児休業給付金」の支給を受けている場合は、この給付金の金額が収入として考慮されます。
また、勤務先によっては、育児休業給付金以外に、一定の手当が支給されていることもあり、この手当も収入に該当します。このように、実際の収入を基に算定します。


ただし、婚姻費用の算定方法として、通常必要となる経費を考慮することとされています。具体的には、統計の結果から導き出された割合を収入金額に掛けたものを基礎収入として計算しています。必要となる経費には、職業費、つまり、仕事をしていく上で不可避的に出ていく費用が含まれています。


しかし、育児休業給付金を収入として計算する場合、職業費を差し引かないこととなっています。育児休業中は、仕事をしていないから、というのがその理由です(つまり、年金生活者の場合でも、職業費は差し引かれません。)
そのため、育児休業給付金の支給を受けている人は、給付金の年額と同額の年収を得ている人よりも、少し高めの基礎収入があるものとして計算されます。

このように、育児休業給付金を受け取っている場合、算定表から計算をすることが少し難しいため、具体的な金額が知りたい方は、弁護士に相談することをおすすめします

あなたの離婚のお悩みに弁護士が寄り添います

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共働き夫婦の婚姻費用でお悩みなら弁護士にご相談ください

これまで解説してきたとおり、共働きの夫婦であっても、収入に差がある場合や収入が同じくらいでも子どもを監護している場合には、婚姻費用分担請求をすることができる場合があります。
婚姻費用は、算定表から相場を算出することができますが、中には、家庭における個別事情により、算定表の金額が妥当ではない場合もあります。

婚姻費用がどのくらい請求できるか、どのように請求していったほうが良いのかなど、分からないことがあるときは、弁護士に相談することをおすすめします。
弁護士に相談すれば、適正な金額の婚姻費用を獲得するためのアドバイスを受けることができたり、事件を依頼して相手方との交渉や調停への対応を任せたりすることができます。

基本的に、婚姻費用を過去にさかのぼって請求することは非常に困難であるため、請求は早めに行うべきです。婚姻費用についてお悩みの場合は、まずは気軽に弁護士にご相談ください。

「婚姻費用の支払いを拒否したい……」そのようなお悩みを抱えていらっしゃる方は、少なくないでしょう。別居中の婚姻費用の支払いによって、自身の生活に経済的な余裕がなくなってしまい、生活の質を落とすことになってしまったというお話をよく伺います。

このページでは、婚姻費用の支払いを拒否できる場合があるのか、拒否し続けるとどうなるのかといったことについてご説明します。

婚姻費用の支払いは拒否できない

婚姻費用の支払いを拒否することは、基本的にできません。なお、婚姻費用の支払い義務は、離婚成立または再同居のときまで続きます。
なぜ婚姻費用の支払いを拒否できないのかというと、法律上、お互いの資産や収入等を考慮して、婚姻から生じる費用は夫婦で分担しなければならないと定められているからです。

通常は、収入が多い方が少ない方に対し、婚姻費用を支払います。たとえ別居することになったとしても、夫婦であることに変わりはないため、婚姻関係が続いている限り、婚姻費用を分担する義務はなくなりません。  

拒否できる可能性があるケース

婚姻費用の支払いは基本的に拒否できませんが、請求してきた相手が有責配偶者の場合には、婚姻費用の請求は認められず、拒否できる可能性があります。

有責配偶者とは、夫婦関係を壊す原因を作った者のことです。例えば、相手が浮気やDV等をして、そのせいで別居することになった場合には、婚姻費用を拒否できる可能性があります。

ただし、支払いを拒否できる可能性があるのは、あくまでも相手の生活費分です。婚姻費用のうち子供にかかる養育費については、親の有責性は関係ないため、支払う必要があります。

相手が勝手に別居した場合は?

相手の勝手により別居したとしても、婚姻費用の支払いは基本的に拒否できません。通常、相手の収入の方が少ない場合には、婚姻費用を支払う義務を負うためです。

ただし、浮気をして出て行ったなど、別居の原因が相手にあった場合には、子供の養育費分を除き、婚姻費用の支払いを拒否できる可能性があります。
養育費分は負担するにしても、大きな減額となり得ますので、心当たりのある方は弁護士に相談してみることをおすすめします。

婚姻費用の支払いを拒否し続けるリスク

相手から婚姻費用を請求され、話し合いを持ちかけられたものの拒否し続けた場合には、次のような事態になるおそれがあります。

婚姻費用分担請求調停を申し立てられる
婚姻費用分担請求調停とは、家庭裁判所の調停委員会に仲介してもらい、夫婦間で婚姻費用について話し合う手続きです。話し合いがまとまらずに調停不成立となったら、自動的に審判の手続きに進み、裁判所によって判断されることとなります。

財産の差押えなどの強制執行を受ける
調停や審判の手続きで婚姻費用を支払うことが決まった場合、その取り決めも無視して婚姻費用を支払わずにいると、財産の差押えなどの強制執行を受けるおそれがあります。

差押えの対象となる財産は様々ありますが、なかでも痛手となるのは「給料」でしょう。通常は、給料の手取り額の4分の1までしか差し押さえることができませんが、婚姻費用の場合、基本的に手取り額の2分の1までの差押えが認められてしまいます。

なお、相手が差押えを取り下げてくれれば、差押えを回避することは可能です。

婚姻費用の支払いを減額することはできる?

婚姻費用の金額は、通常、裁判所が公表している「婚姻費用算定表」をもとに決めますが、事情によっては算定表の金額よりも減額できる場合があります。 減額できる可能性があるのは、例えば次のようなケースです。

  • 婚姻費用を支払う側が、婚姻費用を受け取る側の住居の家賃を支払っている場合
  • 婚姻費用を支払う側が、婚姻費用を受け取る側の住居の光熱費を負担している場合
  • 婚姻費用を支払う側が、婚姻費用を受け取る側の住居の住宅ローンを支払っている場合

婚姻費用を減額したい場合には、弁護士に依頼することをおすすめします。減額を求めて調停や審判を行う場合、適切な主張・立証ができるかどうかがより重要になってくるため、弁護士によるサポートは非常に心強いものとなるでしょう。

弁護士の介入により婚姻費用を減額できた事例

ここで、弁護士の主張により、婚姻費用の減額に成功した弊所の解決事例を紹介します。

依頼者は、相手方から婚姻費用分担請求調停を申し立てられ、月額9万円以上の婚姻費用と、出産費用の全額を請求されたため、対応に困って弊所にご依頼くださいました。

調停で、相手方は稼働能力が0であり、収入がないと言い張りましたが、相手方には失業手当が支払われていたため、失業手当分の収入があると主張していきました。また、出産費用については、過去の類似した裁判例をもとに、出産費用から出産一時金を控除すべきだと主張しました。

その結果、最終的に婚姻費用を月額1万5000円以上減額することで調停成立となりました。また、出産費用は、出産一時金を控除したうえでお互いの収入で按分して負担することとなり、全額負担を免れることができました。

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婚姻費用の拒否に関するQ&A

離婚を前提として別居しているため婚姻費用の支払いを拒否したいです。可能ですか?

たとえ離婚を前提とした別居であっても、婚姻費用の支払いを拒否することは基本的にはできません。相手より自分の方が多くの収入を得ているにもかかわらず、婚姻費用を支払わずにいると、「悪意の遺棄」をしている有責配偶者とみなされてしまう余地があります。

夫婦は、同居し、お互いに協力して助け合う義務を負うものと、法律で定められています。悪意の遺棄とは、この夫婦の同居・協力・扶助の義務を、正当な理由もないのに怠ることを意味します。

子供と会わせてもらえないことを理由に婚姻費用の支払いを拒否できますか?

面会交流に応じるか否かと、婚姻費用の支払いをするか否かとは、別個の問題です。
そのため、子供との面会交流に応じてもらえないことを理由に、婚姻費用の支払いを拒否することはできません。

生活が苦しいため婚姻費用の支払いが難しいです。拒否できますか?

婚姻費用を支払わなければならない人が生活保護を受給している場合には、その人には一応収入があることになります。
ただ、生活保護は、国が困窮した人に最低限度の生活を保障する制度ですので、生活保護を受給している人は、婚姻費用の支払い義務を負わないと考えられます。そのため、婚姻費用の支払いを拒否することはできるでしょう。

算定表で決めた婚姻費用を支払っています。子供の進学費として追加で請求されているのですが、拒否できますか?

算定表から算出された婚姻費用は、公立学校の費用を念頭においていますので、私立学校へ進学させるための費用を追加で請求された場合は拒否することができます。
ただ、相手が調停を申し立てた場合は、双方の学歴、収入、社会的地位等から判断して、不合理でない費用の負担を求められることがあります。

婚姻費用の支払いを拒否したいと思ったら弁護士にご相談ください

 愛情の薄れた配偶者に対して、婚姻費用の支払いを拒否したい気持ちは山々かと思いますが、支払い義務があるにもかかわらず拒否してしまうと、ご自身が不利な立場になってしまうおそれがあります。
基本的に、離婚していない以上、婚姻費用は支払い続けるしかありません。しかし、事情によってはその負担を少しでも減らせる可能性がありますし、例外的に拒否できる場合もあります。

法律の専門家である弁護士は、個別の事情を詳しく確認して、その人に最も適した対応策を見出すことができるので、婚姻費用を請求されてお困りの際には、ぜひご相談ください。
弁護士法人ALGには離婚問題に強い弁護士が集まっており、ご依頼者様に寄り添う姿勢を第一に、高度なリーガルサービスを提供しています。まずは専門のスタッフがご状況を丁寧にお伺いしますので、お気軽にお電話ください。

一般的に、交通事故で被害者が受け取る金銭のほとんどは、相手方保険会社からですが、状況によっては相手方保険会社以外からも金銭を受け取ることもあります。この場合、すべて満額で受け取れるのでしょうか。
損害賠償とは、受けた損害を補填する、という事ですので、複数から保険金を受け取り、それが実際の損害額以上になると、不当な利益が発生してしまいます。 これを調整するのが、損益相殺という仕組みです。 日常で出会う事のない専門用語ですが、ご自身の保険金額が大きく変わってくる可能性があるので、本稿でしっかりと確認しましょう。

損益相殺とは

損害額の一部を示談前に相手方保険会社から受け取ったり、相手方保険会社以外からその事故に関する金銭を受け取ることがありますが、二重取りとならないよう示談時に調整を行います。
例えば、事故の損害の総額が300万円のとき、50万円を一時金などで先に保険会社より受け取っていた場合、この50万円について調整を行わず追加で300万円の保険金が支払われると、損害に対する二重取りが発生してしまいます。
そこで、300万円から既に補填された50万円を控除し、最終的な示談締結時に受け取る保険金額を250万円に調整します。

受け取っていると損益相殺により減額されるもの

では、実際に受け取っていると示談交渉時に損益相殺されてしまうものにはどんなものがあるでしょうか。
下記に一般的なものを掲載しましたので、次項で一つずつ解説していきます。具体的な内容を確認し、まずはイメージをしっかりつけていきましょう。
交通事故の状況によって、どの金銭の受領が発生するか異なりますが、交通事故に関連した金銭については、すべて控え等保管しておきましょう。

自賠責保険金・政府保障事業のてん補金

自賠責保険から受け取った保険金分は、任意保険会社が支払う賠償金から控除されます。
まれに、自賠責保険無加入の車などが加害者であった場合は、自賠責保険に代わって政府保障事業から自賠責保険と同内容の給付を受け取ることができます。
この場合のてん補金についても同様に控除の対象となります。

支給が確定した各種社会保険の給付金

交通事故によって障害、もしくは死亡に至った場合、各種社会保険の給付対象となる事があります。
以下に示した給付金については原則、損益相殺することになります。

①交通事故によって障害が残った場合
•国家公務員共済組合法もしくは地方公務員共済組合法に基づく障害年金
•厚生年金法に基づく障害厚生年金
•国民年金法に基づく障害基礎年金
•労働者災害補償保険法に基づく療養補償給付、障害補償年金
•介護保険法に基づく給付など

②交通事故によって死亡した場合
•国家公務員共済組合法もしくは地方公務員共済組合法に基づく遺族年金
•厚生年金法に基づく遺族厚生年金
•国民年金法に基づく遺族基礎年金
•労働者災害補償保険法に基づく遺族補償年金など

所得補償保険金

所得補償保険金とは、ケガや病気等で働けなくなったときに収入の減少分を補填する保険金です。
収入の減少原因が交通事故にあり、収入の減額分に応じて支払われる保険の内容であれば、交通事故の損害賠償項目である休業損害と二重取りの内容になってしまうので、損益相殺が必要となり控除対象となり得ます。

健康保険法に基づく給付金

通常、ケガなどで通院するときには保険証を提示することで、治療費の自己負担が軽減されます。
これは健康保険から軽減分の治療費が給付されているということになります。
その為、健康保険を使って交通事故の通院を行った場合には、健康保険から受け取った治療費の給付について損益相殺で調整を行うことになります。

人身傷害保険

被害者自身の自動車保険に人身傷害保険がついている場合、交通事故の損害を加害者側に請求するのではなく、自身の人身傷害保険に対して申請をすることができるケースもあります。
人身傷害保険からの保険金は、本来加害者側が支払うべき金銭なので、損益相殺の対象となります。
人身傷害保険の適用については、まずご自身が加入している保険会社に申請が可能か問い合わせましょう。人身傷害保険を利用しても、保険料の等級には影響しません。

加害者による弁済

相手方保険会社からではなく、加害者本人から直接金銭を受け取った場合にも、交通事故に関する賠償になるので、示談の際には二重取りとならないよう、受け取った金額を控除します。
しかし、加害者本人から受け取った場合、その金額がどの損害項目に対する金額であるのかなど詳細を取り決めたうえでの支払いであることはまれです。
のちのちトラブルにもなりやすいので、個人間での金銭の受け渡しは避けた方が良いでしょう。

(亡くなった場合)生活費相当額

厳密な意味で損益相殺とは言われていませんが、被害者が死亡した場合、被害者に今後必要であった生活費が不要となります。
不要になった生活費については一種の利益が生じていると捉えることができます。
そこで、損害賠償項目の一つである逸失利益(被害者が生きて入れば得られた将来的収入の補填)から生活費相当額を控除し、調整することとなっています。

損益相殺により減額されないもの

交通事故に関連した金銭すべてが損益相殺されるわけではありません。
交通事故を原因とした支払いであっても、その事故による実損を補填する目的での支払いではなく、一定の条件に合致すると定額で支払われるものなどは損益相殺の対象となりません。
代表的な例としては、

  • 労働者災害補償保険法による特別支給金
  • 搭乗者傷害保険金
  • 生命保険金

などが挙げられます。判断に迷う金銭の受領があれば、示談交渉前に弁護士へ確認しておきましょう。

税金

交通事故によって受け取る治療費や慰謝料など、損害賠償金は損害を補填するものであって利益ではありません。
その為、原則として非課税であり、所得税は発生しないことになります。
では、支払わずに済んだ所得税は交通事故による利益として損益相殺されるでしょうか。

この点は判例によって、損害賠償金額から租税の相当額については控除をしないと示唆されています。
ただし、交通事故によって受け取る金銭全てが非課税という事ではありません。個別の事情によって異なりますので、詳しくは弁護士へご確認ください。 加害者の支払った香典・見舞金

加害者の支払った香典・見舞金

加害者の支払う香典や見舞金については、事故による実損を補填する目的ではなく、社会的な儀礼としてのものであれば損益相殺を行う必要はありません。
しかし、金額が一般的な香典・見舞金の範疇を超えて高額である場合には、損害賠償の一部としてみなされる可能性があります。その場合には、超過部分について損益相殺を行うこともありますのでご注意ください。

子供が死亡してしまった場合の養育費

死亡した被害者が子供であった場合、必要なくなった今後の養育費についても損益相殺の対象となるでしょうか。
このことについては、前述の2.7(亡くなった場合の)生活費相当額の考え方、を引用すると損益相殺の対象となるように思われるかもしれません。
しかし、最高裁にて、養育費についてはその子供が将来得られたはずの収入などの利益と同質性がない(つまり、死亡した子供が将来得る収入から養育費が支出されるわけではない)として、控除の必要性なしとされました。

持病により治療期間が長くなった場合は損益相殺される

損益相殺の対象にならない場合でも、被害者に持病があり、その影響で治療が長引いたようなときは、損害賠償金が減額される可能性が高いです。これを「素因減額」といいます。
素因減額は、元々被害者が患っていた持病などの疾患により損害が発生・拡大したときに、疾患による影響の分だけ損害賠償金を減額するというルールです。被害者の抱えている疾患が損害賠償金に影響を与えた場合に、加害者だけに損害を負担させるのは不公平だと考えられるからです。
とはいえ、どのような持病でも必ず素因減額の対象になるというわけではありません。素因減額は示談交渉や裁判などでも争いになりやすい問題なので、被害者に持病等があることが疑われる場合は、専門家のアドバイスを受けると良いでしょう。

まずは交通事故チームのスタッフが丁寧に分かりやすくご対応いたします

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損益相殺について不明点があれば弁護士にご相談ください

損益相殺について正しく理解することは、適正な損害賠償金を獲得するうえでとても重要です。もし誤った理解に基づいて損害賠償請求をしたり、提示された賠償案に承諾してしまったりしたら、損害額に見合った賠償金を獲得することは難しくなります。
しかし、損益相殺の対象となるか、いくら減額されるのかなどを判断するためには、金銭の性質や法律の規定をしっかりと確認する必要があるので、専門家の助けがないと難しいケースが多いでしょう。
そこで、弁護士に相談してアドバイスを受けることをご検討ください。弁護士は、単にアドバイスをするだけでなく、依頼を受ければ加害者側との示談交渉を代行することもできます。
最小限の労力で迅速に損害賠償金を受け取るためにも、まずは弁護士に相談されることをおすすめします。

交通事故の損害賠償については、自身の過失分を損害額から差し引く「過失相殺」以外にも、「損益相殺」、「素因減額」等の調整要素が用いられることがあります。このうち、今回は「素因減額」について説明します。

素因減額とは

素因減額とは、事故によって生じた損害のうち、被害者が元々有していた持病や既往症(≒素因)等が、損害に寄与し、これを拡大させている場合等について、被害者の素因を斟酌して算定するものです。

心因的要因について

心因的要因は、被害者の精神的な傾向が損害の拡大等に寄与している場合に考慮されうるものです。判例でも、車両の損傷が軽微なむち打ち症で10年以上通院したという事案について、事故から3年を超える分の通院等は因果関係を否定、3年分についても「損害の拡大について上告人の心因的要因が寄与していることが明らか」として、6割の素因減額をしたものがあります(最高裁昭和63年4月21日判決)。

身体的要因について

身体的要因は、被害者が事故前から有していた既往症等が損害の拡大等に寄与している場合に考慮されうるものです。裁判実務上は、ただの身体的特徴というレベルではなく、「疾患」に該当する場合や、「通常人の平均値から著しくかけ離れた身体的特徴」に該当するという場合が対象とされる傾向にあります。

保険会社から素因減額が主張されやすいケース

素因減額は、既往症や基礎疾患が事故前から存在していた、と言う場合で、これに関連する後遺症が認定された事案等は、特に主張されやすい傾向にあります。
高齢者の場合、骨や関節の変形等の持病を抱えている場合も多いので、主張される可能性も高くなる場合があるでしょう。

素因減額の立証について

素因減額は、これを主張する側(≒加害者側)に立証責任があります。
立証する内容は、主張する内容により異なります。事故前に「疾患」があり、これが寄与したと主張するなら、診断書やカルテ、専門家の意見書等を用いることが考えられます。事故態様や損傷の程度等の資料から、損害の拡大に寄与したこと等を立証するという場合もあるでしょう。

損害賠償請求時の素因減額を争う場合の判断基準

身体的要因に関する素因減額を主張された場合、典型的には、いわゆる「疾患」には該当しない等、過去の裁判例が用いた判断基準には当てはまらない(当てはまるにしても、減額割合はもっと低い)ことを指摘する等の争い方が考えられます。
心因的要因の場合も、過去の裁判例の判断基準を参照するのは同様ですが、より個々の事案に応じた反論が求められます。

素因減額と過失相殺の順序

素因減額と過失相殺の順序は、前者が先です。総額に対し、一律割合的に減ずる(≒○%を乗算)という場合は、どちらが先でも結果は変わりませんが、素因減額は公平の観点から、加害者に責任を負わせるべきでない部分(素因が損害の拡大に寄与した部分)を差し引くものであるため、場合によっては“後遺症部分のみ”等、一部の損害項目のみに適用される場合があるからです。

素因減額と過失相殺の計算式

損害額合計:100万円、素因減額(全体に対し)3割、過失相殺2割と言う場合
100万円×0.7=70万円(素因減額後の残額)
70万円×0.8=56万円(過失相殺後の金額)ということになります。

順序が逆でも金額は同じですが、例えば、素因減額が損害のうち後遺症(50万円と仮定)に対してのみと言う場合、先に過失相殺をしてしまうと、素因減額の対象部分を区別するために計算の過程が増えてしまいます。

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素因減額についてお困りの場合は弁護士にご相談ください

素因減額の問題は、「疾患」という医学的な概念の区別や、過去の裁判例が判断基準として用いた内容、減額された事案における割合の傾向等、専門的な知識が広く求められます。
特に後遺症の等級が認定されているような場合には、金額的にも大きな差が生じますので、交通事故の事案に長けた弁護士への相談をお勧め致します。

交通事故に遭ってしまったら、乗っていた車が壊れたり、ご自身や同乗者の方が怪我をしたり、時には亡くなってしまったりする等、様々な損害が発生します。しかし、泣き寝入りすることはありません。加害者に対して、こうした損害を埋め合わせるよう請求できます。
注意しなければならないのは、損害の費目と算定方法が多種多様なことです。費目そのものの請求が漏れてしまったり、請求はしたけれども金額算定が誤っていたりすると大変です。
本記事では、交通事故における損害賠償について、その対象となるもの、損害の評価や減額される事情、請求の流れ、加害者が支払えない場合の対処法など、欠かせない知識をご紹介します。

交通事故の損害賠償とは

交通事故の損害賠償とは、事故と相当因果関係のある損害を意味します(民法709条、自賠法3条1項)。「事故被害にあったから〇〇に××円支払った」という場合であっても、必ず××円の損害が認められるわけではありません。どのような費目について、どのような計算方法により損害賠償が得られるのか、慎重な検討が必要です。

慰謝料との違い

交通事故の被害にあうと慰謝料が請求できるとお考えの方も多いですが、必ずしもそうではありません。入通院を要する怪我が発生していない、いわゆる物件事故の場合、基本的に、慰謝料は発生しません。
慰謝料は、人身事故の場合の損害費目に含まれますが、損害費目はこれが全てではありません。

損害賠償の対象になるもの

交通事故、特に人の生命・身体が害される人身事故で請求できる損害賠償の項目は、大まかに「精神的損害」と「財産的損害」に区別できます。そして、「財産的損害」はさらに「積極損害」と「消極損害」に分けられます。

精神的損害

「精神的損害」とは、交通事故によって受けた精神的な苦痛のことです。例えば、怪我の痛みや後遺障害が残った苦しみ、被害者が亡くなってしまったことによる悲しみなどが考えられます。こうした精神的損害の賠償として支払われるお金が「慰謝料」です。 慰謝料には、次の3つの種類があります。

〇入通院慰謝料
交通事故を原因とする怪我の入通院に伴う、精神的な苦痛の賠償として支払われるお金です。

〇後遺障害慰謝料
事故により後遺障害が残ってしまったという、精神的な苦痛の賠償として支払われるお金です。

〇死亡慰謝料
事故に遭った被害者が亡くなってしまったことで生じた、精神的な苦痛の賠償として支払われるお金です。

財産的損害

「財産的損害」とは、交通事故により失われた財産上の利益のことです。「積極損害」と「消極損害」の2種類に分けることができます。
どちらも耳慣れない言葉なので、具体的にどのような損害かイメージがつきにくいのではないでしょうか。例えばどんなものが含まれるのか、細かくみていきましょう。

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極損害にあたる費目

財産的損害のうち「積極損害」とは、交通事故によって実際に支払うことになった、または将来的に支払わなければならないお金をいいます。次のような損害が積極損害にあたります。

〇治療関連費
交通事故が原因で負った怪我を治療するためにかかったもろもろのお金です。純粋な治療費のほか、入院費用、検査代、投薬料、付添看護費、診断書などの文書料、治療器具代、入院雑費、通院交通費といった、治療に関連してかかる費用もまとめて請求できます。

〇将来の介護費
事故の被害者に重い後遺障害が残ってしまい、将来にわたって介護が必要になってしまった場合に請求できる、介護をするうえで必要になるお金です。

〇家屋・車両改造費
事故により後遺障害が残ってしまい、日常生活を送るうえで家や車をバリアフリー化する際に必要になったお金です。

〇葬儀関係費
事故の被害者が亡くなってしまった場合に行う、葬儀にかかるもろもろのお金です。葬儀費用や仏壇・仏具の購入費、墓石積立費、お布施、お花代などが含まれます。

〇弁護士費用
交通事故による損害賠償を請求するにあたって、弁護士に相談・依頼した際にかかる費用です。注意を要するのは、実際に支払った弁護士費用そのものが請求できるわけではないということです。裁判例では、弁護士費用以外の損害賠償額の1割を弁護士費用として認めていることが多いです。弁護士費用特約を利用し、被害者側の自己負担がなかった場合でも、弁護士費用が損害として認められることが一般です。
裁判例では、損害費目として認められることが多い弁護士費用ですが、交渉において、相手方保険会社は、弁護士費用の支払いに応じないことが多いです。民事訴訟を提起して、和解又は判決により、弁護士費用の支払いが得られるということが多いです。

消極損害にあたる費目

「消極損害」とは、財産的損害のうち、交通事故さえなければ得られたはずの収入や利益といったお金をいいます。 消極損害には「休業損害」と「逸失利益」があります。

休業損害

「休業損害」とは、交通事故が原因で働けなくなり、減ってしまった収入や利益のことです。
典型的には、サラリーマン(給与所得者)が仕事を休み、その分給料が減った場合です。
給与所得者の他、自営業者、主婦の場合でも、休業損害が認められることがあります。また、事故の時点で無職であった場合でも、就労の蓋然性が高度な場合(例:事故の〇日後から就労するような採用内定を得ていた場合等)には、休業損害が認められることがあります。

休業損害は、一般的に“1日あたりの損害額”(基礎収入)に“仕事を休んだ日数”(休業日数)をかけて計算します。
被害者の属性(給与所得者か、自営業者か、会社役員か、専業(兼業)主婦か、失業者か、年金生活者か等)によって、基礎収入の算定方法が異なってきます。例えば、会社役員の場合で、事故により休業をしていても減収がないことがあります。このような場合、休業損害が発生しているのかどうから検討を要します(会社の損害(反射損害)と評価されることも多いです。)。
また、負傷の程度、休業の必要性等から、基礎収入×休業日数から算定される金額の全額が認められないこともあります。このような場合、休業が必要な割合(就労制限割合)を算定し、就労制限割合を掛けて休業損害を算定することが多いです。

逸失利益

「逸失利益」とは、交通事故に遭わなければ得られていたはずの収入や利益といったお金のことです。収入・利益が減った原因によって、次の2種類に分けることができます。

〇後遺障害逸失利益
交通事故による後遺障害が残ってしまった影響で減ってしまったお金です。
「1年あたりの基礎収入×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対するライプニッツ係数」という計算式で、逸失利益総額の現在価値求めることができます。
なお、後遺障害が重篤な場合には、上記のような一時金(一括払い)方式ではなく、年〇円の支払いというような定期金賠償を求めることもあります。
一時金賠償によるべきか、定期金賠償によるべきか、加害者や加害者側の保険会社の資力、後遺障害の程度や被害者の生存可能性等により一長一短あります。慎重に検討するようにしましょう。

〇死亡逸失利益
交通事故により被害者が亡くなってしまった影響で減ってしまったお金です。
こちらは、「1年あたりの基礎収入×(1-生活費控除率)×就労可能年数に対応したライプニッツ係数」という計算式で求められます。

ライプニッツ係数とは、将来の損害を現在の価値に引き直し計算をするための定数です。例えば、1年あたりの減収が100万円、5年間減収が生じた場合、減収額(逸失利益)は、100万円×5=500万円ではなく、100万円×4.5797=4,579,700円となります(年利3%計算)。
 この計算方法は、現在の100万円と1年後の100万円は価値が異なるということを根拠としています。現在の100万円を1年間銀行に預けると、利息が付き、100万円+〇円(利息)が入ります。この〇円の利息が付いたお金を、現在価値に引き直す計算を要しますが、比較的複雑です(表計算ソフトウェアでは、関数が設けられていることが多いです。)。ライプニッツ係数は、この引渡し計算を簡略化し、「年間○円、×年分の引き直し計算の合計額」を簡易に算定するための指数です。

物損事故における損害賠償について

物損事故は、物にだけ被害が及ぶ事故なので、基本的に財産的損害しか認められません。
認められる損害の項目としては、

  • 壊れた物の修理費・格落ち損(評価損)
  • 代車料
  • 買替差額
  • 新車の登録手続き関係費
  • 休車損害

などがあります。
一方、精神的損害に対する賠償である、慰謝料は認められないのが通常です。
なぜなら、誰も怪我をしない物損事故では肉体的苦痛は発生しませんし、精神的苦痛についても、財産損害を賠償すれば癒されるだろうと考えられているからです。

損害賠償額に相場はある?

交通事故の損害賠償額について、一般的な相場を紹介するのは困難です。交通事故はひとつとして同じ状況のものはないので、それぞれの事案によって損害賠償額の求め方や金額が違ってくるからです。
ただし、損害賠償金の種類によっては相場があるので、損害賠償額の目安を示すことができる場合もあります。

使用する算定基準によっても損害賠償額は大きく変わる

損害賠償を計算する際には、3つある算定基準のうち、どれか1つを使います。使用する算定基準によって、損害賠償額は大きく変わります。
一般的に「自賠責基準 < 任意保険基準 < 弁護士基準」の順に、算定される金額が高額になる傾向にあります。それぞれの基準の特徴は次のとおりです。

〇自賠責基準
自動車を所有している人すべてが加入しなければならない、自賠責保険で使用されている基準です。

〇任意保険基準
自賠責保険で補償しきれない損害の賠償を目的としている、任意保険で使用されている基準です。 任意保険を提供する保険会社ごとに指標が異なるので、注意が必要です。

〇弁護士基準
過去の交通事故に関する裁判例を参考に作成された基準です。主に裁判所や弁護士が使用します。

ただし、自賠責基準は、被害者に過失があったとしても、その割合が7割未満の場合、過失相殺されないという取り扱いになっています。被害者の過失の程度によっては、自賠責基準の方が高いことがありますので、自賠責基準を下回るような損害賠償請求をしないように注意が必要です。

損害賠償請求の流れ

交通事故で損害を受けたら、次のような流れで加害者に対して損害賠償を請求します。

①相手方本人と、相手方が加入する保険会社を確認する
②-1物損のみ:損害額確定後、示談交渉を開始する
②-2人身事故:完治または症状固定の診断がなされるまで治療を継続する
③-1完治した場合:示談交渉を開始する
③-2症状固定した場合:後遺障害等級認定を申請し、その結果をもって示談交渉を開始する

自賠責保険に請求する方法

自賠責保険に損害賠償を請求する方法は、“誰が”請求するかによって「被害者請求」と「加害者請求」の2通りに分けられます。

〇被害者請求
加害者側の自賠責保険会社に対して、被害者本人(または代理人の弁護士)が損害賠償金を支払うよう請求する方法です。つまり、被害者側が請求します。

〇加害者請求
加害者が被害者に損害賠償金を支払った後、支払った金額分の保険金を自分に支払うよう、加入している自賠責保険会社に請求する方法です。被害者請求とは違い、加害者側が自分の自賠責保険会社に請求することになります。なお、加害者請求は、加害者本人が行う場合と、加害者が付保している任意保険会社が行う場合があります。後者の場合、任意保険会社が、いわゆる一括対応により、被害者側に損害の一部を支払った後、任意保険会社から自賠責保険へ請求するという流れになります。

損害賠償請求に時効はある?

損害賠償を請求する権利も時効にかかるので、請求できる期間は限られています。ただし、事故の状況によって時効にかかるまでの期間が異なります。

【物損事故】
〇事故日から3年

【人身事故】 〇後遺症がないケース:事故日から5年
〇後遺症が残ったケース:症状固定日から5年
〇被害者が亡くなったケース:死亡日から5年

※加害者がわからないケース:事故日から20年
後になって加害者がわかった場合は、加害者がわかった日から3年(物損事故)または5年(人身事故)

なお、上記の記載は、いわゆる債権法改正(平成29年法律第44号による改正)後の民法の規定です。改正前・改正後のどちらが適用されるか、必ず確認するようにしましょう。
※参考 https://www.moj.go.jp/content/001399955.pdf

損害賠償額の減額要素

損害賠償を請求しても、計算したとおりの金額を満額支払ってもらえるとは限りません。例えば、「過失相殺」や「素因減額」を行うべき事情があれば、損害賠償金は減額されてしまいます。

過失相殺

「過失相殺」とは、損害の発生又は拡大について、被害者に過失がある場合に、その責任の重さ(過失割合)に応じて、支払ってもらえる損害賠償金を減額することです。
加害者に追突されたケースやセンターラインをオーバーしてきた加害者に衝突されたケースなどのもらい事故でもない限り、原則として、被害者にも過失割合が認められます。そのため、過失相殺によって損害賠償金が減額されることは珍しくありません。

素因減額

「素因減額」とは、被害者の特殊な体質や身体的・精神的な要因によって、事故による損害が発生した、または拡大したといえる場合に、その要因(素因)を考慮して損害賠償金を減額することです。
例えば、脊柱管狭窄症の持病のある被害者が、事故により非骨傷性脊髄損傷になった場合、非骨傷性脊髄損傷の発症に脊柱管狭窄症が影響したとして、損害額から一定割合を減額した裁判例もあります。
これに対して、疾患といえる程度でない限り、素因減額すべきでないと判断した裁判例があります。つまり、平均的な体格・体質から多少外れていても、すぐに素因減額が行われるわけではありません。

加害者が損害賠償を払えない場合

交通事故の場合、加害者付保の任意保険から支払いを受けられることが多いです。
検討を要するのは、加害者が任意保険、自賠責保険に加入しておらず、損害の全部または一部を支払えない場合です。
加害者が損害賠償金を支払えないといっても、その理由によってとるべき対応が異なります。
加害者が自賠責保険に加入している場合には、自賠責保険から損害の全部又は一部を回収した後、残額を加害者に請求することが多いです。
そして、加害者に支払う意思があるものの十分な収入や財産がなく支払えない場合には、分割払い等の提案をしてみるのもあり得るかと思います。
加害者の個人負担となる場合には、確実に回収できるようにするため、判決、和解調書、調停調書等の債務名義を得ておくことをおすすめします。

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弁護士に依頼することによって適正な損害賠償を受け取れる可能性が高まります

交通事故の損害賠償は、非常に奥深い分野です。弁護士の専門知識がなければ、認められる費目、金額、立証に必要な資料等、正確な見通しを立てることができません。また、弁護士が代理人として就かなければ一定額以上は払わないという保険会社の運用も感じるところです。
弁護士に依頼すれば、適正な損害賠償を受け取れる可能性が高まりますので、ぜひお気軽にお電話ください。専門家が丁寧に対応させていただきます。

被害者が物損事故に遭った場合、損害賠償請求できる範囲や、対応の仕方、物損事故の事故処理の流れ、人身事故への切り替え方法等、注意するポイントが多数あります。下記では、これらに事項について説明していきます。

物損事故とは

物損とは、物だけが被害を受けた交通事故をいいます。
つまり、自動車や建物などは壊れてしまったものの、人が亡くなったり怪我をしたりすることはなかった交通事故が物損事故にあたります。
これに対して、人の生命や身体にも被害が及んだ交通事故を人身事故といいます。 それぞれどのような特徴があり、どういった点が異なるのでしょうか?次項で詳しく説明します。

物損事故で請求できる損害賠償

修理費

交通事故で自動車等が壊れてしまい、修理しなければならなくなった場合には、修理費や買い替え費用を賠償してもらうことができます。
一般的に、損害の程度がそこまでひどくなく修理できる見込みがあれば修理費を、損害の程度がひどく修理できない場合(全損した場合)には、買い替え費用に相当する金額を請求することになります。
なお、修理費を請求する場合、壊れた部分の修理にかかった費用の全額を賠償してもらえるとは限りません。必要かつ相当だと考えられる金額だけが支払われます。 例えば、塗装の一部が剥げてしまった場合に全体を塗り直したとしても、基本的に、剥げてしまった部分の修理費用しか支払ってもらえません。  また、破損したパーツが交換せずに元に直る場合には、原則交換は認められません。

格落ち損(評価損)

修理しても自動車の見た目や欠陥した機能が直らず、事故前と比べて自動車の価値が下がってしまった場合には、その欠陥に相当する金額を賠償してもらえる可能性があります。
また、修理で自動車の見た目や機能が直ったとしても、事故に遭い修理したという事実は消えず、事故車の価値は下がる場合には、この価値の下落分が評価損として認められるケースもあります。
評価損は、自動車購入からの期間、事故時の車の価値、損傷した車の部分や損傷(修理費)の大きさなどにより評価しますが、非常に争いになりやすく保険会社もなかなか認めない項目の一つです。

代車料

代車を使う必要性と相当性が認められる場合には、代車使用料を賠償してもらえます。
具体的には、次のような事情がある場合に代車使用料が認められます。

【必要性】
  • 事故に遭った自動車を仕事や通勤・通学に使っていた
  • 代わりに使える車や交通手段がない
【相当性】
  • 事故に遭った自動車と同じくらいのグレードの車を使っている
  • 代車を使用した期間が、修理にかかると一般的に考えられる期間(2週間~1ヶ月程度)に収まる

必要性や相当性が認められない場合には、公共交通機関やタクシーを利用した程度の金額の賠償しか認められない可能性があるので、注意が必要です。
また、修理費で争いがある場合に、自動車が修理されないため代車を借りる期間が長期にわたることがありますが、不合理に長期になった場合には、被害者が代車費用を負担しなければならないことがあるため、注意が必要です。

買替差額

事故車両が修理不能か、修理費が車両時価額に買替諸費用の合計を上回る場合は、買替差額の請求ができます。買替差額とは、事故時の事故車両の時価相当額から、事故車両を売却した代金を差し引いて算出します。 なお、時価をどのように認定するかについては、「オートガイド自動車価格月報」(いわゆるレッドブック)等が参考資料とされています。

登録手続関係費

被害者が車両を買い替えた場合にかかる手続費用の請求も認められています。
具体的な手続費用としては、移転登録費用・車庫証明費用・廃車費用といった法定費用、自動車取得税、廃車時の解体処分やリサイクルに関する費用、手続代行費用等が挙げられます。

休車損害

トラックやタクシー、バス等、仕事で使っている車で事故に遭い、修理や買い替えのために仕事ができず、本来懐に入るはずの利益が得られなくなったという損害(営業損害)が発生した場合に請求できるのが休車損害です。
休車損害として請求可能な金額としては、「平均売上額-必要経費」とされているのが一般的です。
なお、下記のようなケースでは、休車損害が認められる可能性は低いです。

•実際に被害者に営業損害が発生していないケース
•代わりに使える車があるケース

その他

その他、下記のような損害の賠償も請求できます。

  • 事故に遭った車のレッカー代
  • 事故に遭った車の保管料
  • 時価の査定料、修理の見積もり費用
  • 廃車料、車両処分費
  • 家屋や店舗の設備の修理費、評価損
  • 積荷や衣服などの損害
  • ペットに関する損害

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物損の場合は慰謝料が請求できない?

まず、慰謝料とは精神的・肉体的な苦痛に対する賠償のことです。
この点、物損事故の場合には肉体的な苦痛は発生しませんし、精神的な苦痛も、修理費などの財産的な損害の賠償によって補填されると考えられています。
また、迷惑料として、被害者にお詫びの意味を込めて金銭を請求することができないかという質問をいただくこともあります。
しかし、損害賠償の一部である慰謝料と違い、迷惑料は法的に認められた権利ではありません。
そのため、物損事故では基本的に慰謝料や迷惑料を請求できません。

例外的に物損でも慰謝料が認められる場合

実際に物損事故で慰謝料が認められた裁判例をご紹介します。
なお、法律上ペットは「物」として扱われることを前提としています。

名古屋高等裁判所 平成20年9月30日判決 信号待ち中に被害者の運転する車がトラックに追突され、後部座席に乗せていたペットのラブラドールレトリバーに、後ろ脚麻痺や排尿障害の後遺症が残った交通事故に関する裁判例です。
裁判所は、次のような理由を挙げ、被害者夫婦の慰謝料として合計40万円を認めました。

  • ペットのラブラドールレトリバーが、被害者夫婦にとって家族の一員のようにかけがえのない存在になっていたこと
  • 怪我の内容や程度、必要な介護の内容や程度からすると、被害者夫婦はペットが死亡した場合に近い精神的苦痛を受けているといえること

物損事故の事故処理の流れ

物損事故が発生してから示談までは、次のような流れで進んでいきます。

①物損事故の発生
事故が発生したら、加害者の連絡先を確認し、事故現場の写真を撮る等して事故の状況を証明できる証拠を残しておきます。
②警察や自分の加入している保険会社へ連絡する
警察に事故の報告をすることは義務なので、保険会社への連絡と併せて忘れずに行いましょう。
③損害額の確定後、示談交渉を開始する
車の修理等が終わり、修理代や代車使用料といった損害の金額が確定したら、示談交渉を始めます。
④示談が成立する
交渉で損害賠償の金額や過失割合等に合意できたら、示談を成立させます。
⑤示談不成立
相手方から提示された示談内容に納得できなければ「示談不成立」となり、裁判などで争うことになります。
⑥示談金(損害賠償金)が支払われる
示談成立から1~2週間程度で示談金が支払われます。

少しでも人的損害があった場合は物損事故ではなく人身事故に切り替える

交通事故の加害者から物損事故にしてほしいとの申し出を受けることがあります。しかし、加害者には物損事故にするメリットがあるのに対して、被害者にはデメリットしかありません。そのため、容易に応じてはなりません。

人身事故を物損事故にしておくリスク

物損事故扱いにすることの加害者のメリットとしては、免許の点数が減点されずに行政処分を受けることがないことや、刑事罰を受けることがないこと、また被害者の物の損害についてのみ民事上の責任を負うということが挙げられます。
これに対して、被害者のデメリットとしては、交通事故の直後には自覚症状がなかったが、日数が経過してから症状が現れた場合に保険会社に治療費の支払い等を拒否されるおそれがあることや、実況見分調書が作成されずに事故態様の立証が困難になること、賠償の範囲が物損に限定されてしまい賠償額が低額になること等が挙げられます。

物損事故から人身事故に切り替える方法

人身事故への切り替え方法としては、まず、交通事故後に病院に行き、医師に診断書を作成してもらいます。その際、怪我と交通事故との因果関係が疑われることを防ぐため、怪我と交通事故との因果関係についての内容を含めて記載してもらうようにしましょう。
次に、人身事故への切り替えの手続のために、上記診断書と、事故の車両本体(持参不能な場合には、ナンバープレートを撮影した写真)、車検証、運転免許証、印鑑を警察署に持参して、切り替えの申請をして下さい。

物損事故の弁護士依頼は損?費用倒れにならないケースとは

物損事故では、弁護士に依頼すると費用倒れとなる可能性があります。これは物損事故では損害額が少額であることが多いためです。

過失割合が少ない

もっとも、過失割合について争いがあり、弁護士に依頼することで大幅に過失割合を変更することができれば、弁護士に依頼しない場合よりも高額の利益を取得でき、費用倒れにならない可能性があります。

評価損が認められた

評価損の判断方法については、様々な見解があり、実務においても判断基準が定まっていません。そのため、損害として認められにくい傾向にあります。このような性質の評価損について、被害者が保険会社と直接交渉しても損害として認められない又は低額でしか認めてもらえない可能性があります。そのため、評価損が問題となる場合には、専門的知識を有する弁護士に依頼したほうがいいこともあります。

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物損でも場合によっては弁護士の介入がプラスになることがあります。まずはご相談ください

物損事故では、被害者の方が満足のいく修理をしてもらえない場合が多く、トラブルになることが多々あります。
これは、法的にやむを得ないところもありますが、なかなか頭で納得できても気持ちで納得しきれないところがあるでしょう。
交通事故で被害を回復するためには、物損事故と人身事故の違いや賠償請求方法を熟知する必要があります。
また、人身事故においては、多くの場合物損について先行で示談することも少なくありませんが、物損の結果は人身の示談の際にも影響を及ぼす場合があります。 そのため、物損だということで遠慮せず、まずは交通事故事案に精通し、専門知識を備えている弁護士に相談し、今後の方針を立てられると良いでしょう。

弁護士と依頼者の間の契約(委任)は、どちらの側からも解消することができるという性質のものです。したがって、契約後に別の弁護士に依頼しなおす、というような変更も可能ということになります。

もっとも、変更には、支払済みの弁護士費用や、同費用特約の上限等の費用の問題もあります。
法テラスを利用している場合は同機関の承認が求められます。あまりに変更が多すぎるという方の場合、次に相談された弁護士が身構えてしまい、依頼を受けてくれないということも懸念されますので、軽々しく何度も変更するというのはお勧めしませんが、現在依頼中の弁護士を信頼するためにも、セカンドオピニオンが有益な場合はあり得るところだと思います。

弁護士の変更を検討したほうが良いケース

相性が良くない

弁護士と依頼者の関係は委任契約であり、信頼関係がなければ成り立たないものです。事件処理の方針や説明内容等、専門家としての意見は信頼することが望ましいところなのですが、根本的に相性が合わないと感じていると、正しい意見であったとしても受け入れにくくなるということもあるかもしれません。そういう意味では、変更やセカンドオピニオンを検討する理由となる場合もあるでしょう。

解決の方向性が合わない

弁護士の方針と依頼者の意向が齟齬するという場合、いつまでたっても事件を解決することができないという事態が懸念されます。自身の納得のためにも、現在依頼している弁護士と話し合うことはもちろんですが、それでも納得できないという場合は、セカンドオピニオンを利用することなども検討された方が良いかもしれません。

対応が遅い、連絡が取りにくい

仕事やレスポンスのスピード感は、個々の弁護士の特性にも左右されるところです。とはいっても、他と比較して遅いか早いかの判断というのも困難なところだと思いますので、この点に強い不満があるという場合、他の弁護士にも意見を聞いてみることが有益と言う場合はあると思います。

弁護士に業務停止処分が下った

弁護士会から業務停止処分が下されると、その弁護士が抱えている全ての事件を解約しなければなりません。業務停止期間があけた後に再契約するという選択もありますが、その間は自身で対応しなければなりませんので、この場合は変更を検討せざるを得ないと思います。

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弁護士を変更する方法

弁護士の変更は、今の弁護士との契約解消と、新たに依頼する弁護士との契約締結によります。

新しい弁護士を探して相談する

セカンドオピニオンだけ、と言う場合も含めて、変更するかどうかの決断を下すにあたっては、他の弁護士にも相談してみるというところから始めることになると思います。

弁護士は、他の弁護士が受任している事件に重ねて介入することはしませんので、まずは今の弁護士との関係解消が先になりますが、新たに依頼する予定の弁護士に、事前に受任の打診をしておくほうが安全だと思います。

今依頼している弁護士や弁護士費用特約に変更したい旨を伝える

変更を決断し、次の依頼先も確保した後は、現在依頼している弁護士に契約解消の意向を告げ、解約の手続をとる必要があります。

弁護士費用特約を利用している場合は、自身が利用している弁護士費用特約の保険会社にも、事前に変更の旨を伝えておきましょう。

新たな弁護士と契約する

解約の完了後、次の弁護士との契約を締結します。解約した弁護士に支払った着手金等は、新たに契約する弁護士に引き継がれるものではありませんので、新たに依頼した弁護士に対しては、別途着手金等の支払が必要です。

引継ぎをしてもらう

解約した弁護士に預けていた資料等は、依頼者が返還してもらうというのが原則です。変更後の事務所に資料一式を引き継いでくれるという事務所もあるかもしれませんが、強制できるようなものではないので、やってくれたら親切だったという程度に考えましょう。

新たな弁護士が対応を開始する

引継ぎの有無にかかわらず、新たに依頼した弁護士は契約開始後(※費用支払後の場合あり)に受任通知等を送付し、対応を開始します。

弁護士を変更した場合のデメリット

弁護士の変更で一番懸念されるのは、費用面でのデメリットです。

新たに依頼した弁護士にも着手金等の費用を支払うことになりますが、依頼者都合による解約ですので、解約する方の弁護士から支払済みの着手金等の返金はされないというのが通常です。

さらに、事件の進行度合いや契約内容によっては、みなし成功報酬の支払義務が発生する場合もあります。また、完全成功報酬型で契約した場合にも、途中解約については、一定の解約金や後払いにしていた着手金等の清算義務等が生じる場合があります。

弁護士変更にあたっての注意点

解約した弁護士に預けていた資料を返却してもらう、弁護士費用特約を利用している場合は変更について事前に保険会社にも相談しておく等の注意点は、すでに説明したとおりです。

専門性や得意分野、レスポンスや相性等、変更したいという理由は様々かと思いますが、費用の問題なども生じうる問題ですし、弁護士を変更したからといって、結果が大きく変わるとは限らないということも理解しておくことが望ましいでしょう。

交通事故のご相談は弁護士法人ALGにお任せください

弁護士法人ALG&Associatesは、交通事故を専門で取り扱う事業部制の採用や、医療事件を専門的に取り扱う部署との連携等、交通事故の事件に対する強みがあります。ウェブサイトには実際の解決事例も多数掲載しておりますので、ご参考の上、お気軽にご相談ください。

交通事故については、①あなた自身の物的・人的な被害、②あなたが相手方に与えた物的・人的な損害について、民事上の損害賠償という法的問題が生じます。これらは、最終的には民事訴訟により解決するほかありませんが、実際上は訴訟外の示談で終了することが多いです。

そして、示談交渉については、弁護士に依頼することもできますし、自分で行うこともできます。

この記事では、弁護士に依頼する場合と比較しながら、自分で示談交渉を行う方法について解説します。

自分で交通事故の示談交渉をするメリットとデメリット

メリット

自分で交通事故の示談交渉をするという方法の最大のメリットは、余分な費用がかからないということです。特に弁護士費用特約がない場合、弁護士費用の自己負担を回避するために自力で示談交渉を行うという選択肢が想定されます。

また、軽微な事故で物的・人的な損害額が小さい場合や、加害者又は加害者側の保険会社から提示された金額に不満がない場合、弁護士に依頼するまでもなく、そのまま自分で示談を成立させて終了する、という事例が散見されます。

デメリット

デメリットは、特に人身損害について、弁護士に依頼した場合との比較において最終的に得られる損害賠償額が低くなる可能性が高い、という点です。

加害者側の保険会社は、弁護士を選任していない被害者に対しては、自賠責基準又は自賠責基準に多少加算した程度の金額で人身損害の慰謝料を提示することが通常です。これに対し、弁護士は裁判基準(弁護士基準)で慰謝料を算定して、示談交渉を行います。その結果、弁護士に依頼した場合の方が慰謝料は高くなるのが通常です。

そのほか、休業損害の金額や過失割合についても、弁護士を選任している場合の方が、被害者にとって有利な金額で示談を成立させられる可能性が高まります。

以上を踏まえると、弁護士に依頼せず自力で示談交渉を行った場合には、特に人身損害について、弁護士に依頼した場合よりも損害賠償額が低いという結果に終わる可能性が高い、と考えられるのです。これが最大のデメリットです。

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自力で示談交渉したい場合のポイントと注意点

自力で示談交渉したい場合、加害者又は加害者側の保険会社から提示された条件について慎重に検討することが重要です。

例えば、提示された慰謝料の金額が適正額より低い可能性や、休業損害の金額が不十分である可能性が否定はできませんので、慎重な検討が必要です。

他方で、事故自体が比較的軽微だった場合、加害者又は加害者側の保険会社が早期に示談を成立させるために、被害者にとって有利な条件を提示する場合もあります。このような場合、示談交渉を長期化させたり民事訴訟を提起したりするよりも、その条件で示談を成立させた方が有利だといえます。示談交渉については、このような観点からの検討も必要です。

なお、一定の過失相殺を否定できない交通事故の場合、被害者であると同時に加害者として相手方に対し物的・人的な損害賠償責任を負う可能性がありますので、示談交渉に際しては、加害者としての賠償責任についても併せて解決しておくことが望ましいでしょう。

保険会社の示談交渉サービスはどうなの?

任意保険には、示談交渉サービスが付帯されていることが通常です。

これは、加害者本人ではなく加害者側の任意保険会社が被害者と示談交渉を行うというサービスのことです。被害者から見ると、加害者側の任意保険会社の担当者が示談交渉の実質的な相手方になります。実際上、この示談交渉サービスが利用されることが非常に多いです。

被害者にとっても、治療費の立替払(一括払)を受けられたり、一定限度で休業損害の内払を受けられたり、自賠責保険への被害者請求の手続が不要となったりするメリットがあります。

他方で、示談交渉サービスは契約者である加害者のための制度ですので、必ずしも被害者に有利な金額を提示してくれるわけではないという点は、注意が必要です。

示談交渉を弁護士に依頼すると費用はどれくらいかかる?

示談交渉を弁護士に依頼した場合、契約時に着手金が発生し、事件終了時に成功報酬が発生するという仕組みであることが通常です。

ただし、事案の内容によっては、完全成功報酬制を選択することもできます。

弁護士法人ALG&Associatesは、弁護士費用特約が利用可能な交通事故の場合、原則として前者を採用しており、その弁護士費用は弁護士費用特約の保険会社に対して請求しますので、御依頼者様の自己負担は発生しないのが原則です(※ただし、弁護士費用特約の上限額を超える場合は除きます。)。

また、弁護士費用特約が利用できない交通事故の場合には、完全成功報酬制の採用によって、御依頼者様の御負担を軽減するように努めています。

弁護士に示談交渉を代わってもらうメリット

弁護士に示談交渉を代わってもらうことの最大のメリットは、既に説明したとおり、特に人身損害について、最終的に得られる損害賠償額が高くなる可能性が高い、という点です。

そのほか、弁護士が加害者又は加害者側の保険会社との交渉の窓口となりますので、自力で交渉することに伴う手間やストレスがなくなります。

また、加害者側の保険会社による治療費の一括払の打ち切り通告への対応、後遺障害等級認定申請の要否の判断及び申請手続、加害者側から提示された金額が妥当であるか否かの判断、提示額に納得し難い場合の法的手続(民事訴訟等)の選択等についても、弁護士が随時アドバイスを行ったり、代理人として活動したりすることができます。

示談交渉は弁護士にお任せください

交通事故は、誰もが不意に遭遇する可能性があります。

日本では、自動車に自賠責保険が強制されており、任意保険の加入率も高いですので、被害者が最低限の損害賠償は受けられる可能性が高いです。

しかし、加害者又は加害者側の保険会社が提示する金額が適正とは限りません。また、示談交渉を自力で行うことは時間的・精神的負担が大きいでしょう。

交通事故の示談交渉は、弁護士にお任せください。弁護士は、代理人として示談交渉を行うとともに、加害者側の提示額が適正であるか否かや、示談すべきか民事訴訟等を選択すべきかについてアドバイスします。

また、弁護士法人ALG&Associatesは、弁護士費用特約が利用できない場合、完全成功報酬制による御依頼も承ります。

福岡法律事務所 所長 弁護士 今西 眞
監修:弁護士 今西 眞弁護士法人ALG&Associates 福岡法律事務所 所長
保有資格弁護士(福岡県弁護士会所属・登録番号:47535)
福岡県弁護士会所属。弁護士法人ALG&Associatesでは高品質の法的サービスを提供し、顧客満足のみならず、「顧客感動」を目指し、新しい法的サービスの提供に努めています。