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離婚問題

年金分割の手続きの流れ|必要書類や注意点などを解説

福岡法律事務所 副所長 弁護士 今西 眞

監修弁護士 今西 眞弁護士法人ALG&Associates 福岡法律事務所 副所長 弁護士

年金分割は、婚姻中に支払った“厚生年金の掛け金を分割”し、それぞれが受給することを可能とするための制度です。掛け金を分配するとの説明に対し、具体的なイメージが持てない方や、そのための手続きがわからないという方に、本稿が参考になれば幸いです。

年金分割の手続き方法は合意分割と3号分割の2種類

年金分割の手続きは、合意分割と3号分割と呼ばれるものの2種類があります。後者は、いわゆる3号被保険者の方から請求する場合のみに用いることが可能です。

合意分割

当事者双方が手続きに参加することにより、年金分割を行う方法です。分配割合は、当事者間における合意か、裁判所の審判等で定められた数値を用います(※通常は0.5の割合です)。合意書面を作成する方法の場合、夫婦ともに年金事務所にて手続きすることが通常ですが、合意書面について公証役場の認証を受けた場合は、裁判所で取り決めた場合と同様、請求する者単独での分割請求が可能となります。

合意分割の必要書類

  • 年金分割のための情報通知書:(年金事務所で取得)
  • 戸籍
    (婚姻日と離婚日の記載があるもの※婚姻期間を証する書類。事実婚の場合は住民票等、これを証する書類)
  • 請求前1カ月以内における当事者双方の生存を証する書類
    (※戸籍、住民票等。マイナンバーの記載で省略可。)
  • 年金分割割合を明らかにする書類
    (※当事者の合意で割合を定める場合:年金分割合意書or離婚協議書or離婚公正証書or公証人の私署認証を受けた合意書等)
    (※裁判所の手続きで割合を定めた場合:審判書謄本・抄本+確定証明書or調停調書謄本・抄本)

3号分割

3号分割とは、いわゆる3号被保険者(※厚生年金加入者の扶養に入っている者)からの年金分割請求は、合意分割のように「当事者間で割合を定めたり、当事者双方が関与しなくても」、0.5の割合により、請求者単独での手続きが可能という制度です。

平成20年4月から導入された制度であるため、同手続きで分割可能なのは同月以降の婚姻期間のみ、それ以前は合意分割による必要がある点には注意が必要です。

3号分割の必要書類

  • 請求者の基礎年金番号orマイナンバーを明らかにする書類
    (年金手帳・マイナンバーカード等)
  • 戸籍
    (婚姻日と離婚日の記載があるもの※婚姻期間を証する書類。事実婚の場合は住民票等、これを証する書類)
  • 請求前1カ月以内における当事者双方の生存を証する書類
    (※戸籍、住民票等。マイナンバーの記載で省略可。)

※(離婚届は提出していないものの、事実上離婚状態にあることを理由に3号分割を請求するという場合は、これを証する書類として、住民票等の他、当事者双方がその旨を認める内容の書面等が要求されます)。

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年金分割に必要な手続き

①情報通知書の取得(合意分割のみ)

合意分割の場合、情報通知書の取得は必須です。取得の具体的な手続について、概要は以下のとおりですが、お近くの年金事務所に問い合わせを行うのが一番確実です。

  • 情報提供請求書(窓口でもらうか、日本年金機構のホームページからダウンロードしたものを印刷して記入し)に必要事項を記入し、提出する。
  • 「基礎年金番号」は自身の年金手帳等で確認する。
  • 婚姻期間を証する書類として婚姻日等の記載がある戸籍等も併せて提出する。

②合意書等の取得(合意分割のみ)

当事者間で合意する場合は、年金分割合意書や離婚協議書などの文書で年金分割に関する取り決めを行います。離婚公正証書や公証人の私署認証を受けた合意書等、公証人が関与する書類の場合は、裁判所で取り決めた場合と同様、請求人単独で③の請求が可能となります。

当事者間では合意できず、裁判所で取り決める場合は、年金分割の請求調停・審判等の手続きを行います。

③年金分割の請求手続き

標準報酬改定請求書(※年金事務所でひな形をもらうか、日本年金機構のホームページでダウンロードしたものを印刷して使用します。)に必要事項を記入した上で、その他の必要書類とともに、年金事務所に提出します。

④標準報酬改定通知書の受け取り

適式な申請が完了すると、審査等が行われた後、年金事務所から標準報酬改定通知書が送付されます。内容を確認して、問題なければ年金分割の手続きは完了です。

年金分割の手続きは一人でできる?弁護士に依頼するメリット

年金分割の手続きに関しては、自分がどちらの手続きを用いるべきなのか、どのタイミングでどのような書類の取得が必要なのか、といった手続き上の疑問の他、相手方との合意分割が必要な事案にも関わらず、合意書等の作成に応じないという、裁判所を利用した分割割合等の確定の問題が存する場合もあります。

離婚協議等が完了し、①や③の手続きのみが残る状態であれば、年金事務所に問い合わせ等を行うほうが直截的という場合もありますが、その峻別等に関し、正確な知識を得るのは容易ではないと思います。離婚そのものに関する相談等もありうることですし、一人で悩むよりも、まずは弁護士に相談してみることをお勧めいたします。

福岡法律事務所 副所長 弁護士 今西 眞
監修:弁護士 今西 眞弁護士法人ALG&Associates 福岡法律事務所 副所長
保有資格弁護士(福岡県弁護士会所属・登録番号:47535)
福岡県弁護士会所属。弁護士法人ALG&Associatesでは高品質の法的サービスを提供し、顧客満足のみならず、「顧客感動」を目指し、新しい法的サービスの提供に努めています。