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離婚問題

面会交流を拒否されたらどうする?対処法や慰謝料請求などを解説

福岡法律事務所 副所長 弁護士 今西 眞

監修弁護士 今西 眞弁護士法人ALG&Associates 福岡法律事務所 副所長 弁護士

別居や離婚に伴い、父母のどちらかは、子供と離れて暮らさなければならなくなります。
しかし、特に子供が幼い場合、面会交流を実施するためには、子供と暮らし監護養育する親(監護親)の協力が必要不可欠であり、監護親に面会交流を拒否されてしまうと、なかなか子供と会うことができないのが現実です。

では、子供との面会交流を拒否された場合、どうしたら良いのでしょうか。
面会交流を拒否されてしまうケースとその対処法について解説します。

面会交流は原則的に拒否できない

面会交流は、子供の健全な成長のために非常に重要なことであり、子供の福祉のために行われなければならないものです。
そのため、実務では、子の福祉を害するような特段の事情がない限り、面会交流の実施が認められるべきであると考えられています。

面会交流の拒否が認められてしまう正当な理由とは?

上記のとおり、原則として、面会交流の実施は認められるべきであると考えられています。
しかし、一定の場合には、面会交流の実施が認められないケースがあります。
以下例を挙げてご紹介します。

子供が面会交流を嫌がっている

面会交流を拒否される理由の一つとして、「子供本人が面会交流を嫌がっている」というものがあります。
これには、子供が非監護親から虐待を受けたり、目の前で監護親が非監護親からDVを受けたりしていたために、恐怖心があり純粋に会いたくないと思っているケースに加えて、監護親の心情を慮っていたり、監護親から非監護親の悪口を吹き込まれて悪感情を持っていたりするために、面会交流を拒否しているケースが考えられます。

難しい問題ですが、面会交流は子供のための制度という側面が大きいので、子供が自身の意思をしっかりと伝えることができるある程度の年齢(10歳程度)に達しており、面会交流を拒絶する意思が真意であると判断されるときには、子供の意思が尊重されることになります。

子供を虐待するおそれがある

面会交流時に非監護親が子供を虐待するおそれがあるケースでも、面会交流を拒否されることがあります。
別居以前に子供を虐待していた事実があり、面会交流時にも虐待する危険性が高い場合、面会交流を拒否できる正当な理由になることは明らかでしょう。

子供を連れ去るおそれがある

面会交流時に非監護親が子供を連れ去るおそれがあるケースでも、面会交流を拒否されるでしょう。たとえ親の片方である非監護親によって連れ去られるのだとしても、突然、慣れ親しんだ環境や監護親、友人等から切り離され、強制的に生活環境を変えられてしまうことは、子供にとって大きな精神的ダメージになります。

もっとも、①弁護士等の第三者を立ち合わせる、②面会交流支援団体を利用する、③建物内で面会交流を行う、④試行的面会交流から始める等、連れ去りの危険を抑えながら面会交流を実施する手段はあるため、監護親の意思のみで完全に拒否できるものではないでしょう。

配偶者や子供へのDV・モラハラがあった

被害者が監護親であった場合には、面会交流を拒否する正当な理由にはなりません。
なぜなら、監護親が非監護親からDV・モラハラを受けていたからといって、必ずしも子供が非監護親を恐れる等、悪感情を抱くとは言い切れないからです。

被害者である監護親が、非監護親と直接会うことを拒んでおり面会交流を実施できない場合は、弁護士や面会交流支援団体等、第三者を通じて面会交流を実施することを提案すると良いでしょう。

一方、子供がDV・モラハラ加害者である非監護親を恐れている場合には、面会交流が子供の福祉に資するものでないとして、面会交流を拒否される可能性が高いでしょう。
このような場合に面会交流の実施を希望するのであれば、まずは間接的な交流(間接的面会交流)から段階を踏んでいくことをお勧めします。

間接的面会交流とは、子供と対面して交流するのではなく、手紙のやり取りをしたり、誕生日や記念日等に贈り物をしたり、定期的に写真や動画等を送ってもらったりする方法で子供と交流する、面会交流のひとつの形です。
間接的面会交流を重ねることで、お子様に徐々に慣れてもらいましょう。

面会交流を拒否されたときの対処法

面会交流は、法律で定められた権利です。不当に拒否された場合には対処する方法があります。

しかし、具体的にどのような対処方法を採るべきかについては、個別の事情を考慮したうえで、専門的な判断をすることが必要です。
ここでは、面会交流を拒否された場合に採りうる手段を挙げていきます。
ご自身のケースでどの手段が使えるか分からないという場合、弁護士に相談することをご検討ください。きっと最善の手段を示してくれるでしょう。

元配偶者と話し合う

まずは、元配偶者と話し合うという方法が考えられます。話し合いをすることで、どうして面会交流を拒否するのか、面会交流にするにあたって元配偶者が何を求めているのか、ということが分かることもあります。
それが分かれば、法的手続を採らなくても、話し合いによって面会交流を実現することができる可能性があります。

面会交流調停の申立てを行う

話し合いによっても面会交流に応じてもらえなかった場合や、そもそも話し合いを拒否されてしまった場合には、裁判所に面会交流調停の申立てを行うという方法があります。
調停手続は、裁判所で調停委員を間に挟んで行われる話し合いの手続です。
両当事者がそれぞれの言い分を主張していき、調停委員がそれを調整していきます。
話し合いがまとまり、調停が成立すれば、面会交流が実現できます。

ただ、調停はあくまで話し合いの場ですので、話し合いがまとまらない場合、調停が成立せず、面会交流を実現することはできません。
調停が成立しなかった場合、審判という裁判所の判断によって、面会交流が認められる可能性があります。

間接強制の申立てを行う

面会交流の条件について合意した調停調書や、面会交流を命じる審判書には執行力があるため、監護親が任意に面会交流をしない場合には、強制執行を行うことができます。
この場合に行うことができる強制執行は、間接強制に限られます。

間接強制では、面会交流を実施する義務を負う監護親に、面会交流を実施しないことについて一定額の金銭の支払いを命じ、心理的に圧を掛けることにより、面会交流の実施を促します。
ただし、間接強制を行うためには、監護親の義務をある程度特定している必要があります。
具体的には、当初の取り決めの際に、①面会交流の日時または頻度、②各回の面会交流時間、③子供の引渡し方法を取り決めておく必要があるとされています。

親権者の変更の申立てを行う

面会交流の拒否が続いた場合、親権者の変更を申し立てるという方法が考えられます。

親権者の変更は、「子の利益のため必要があると認めるとき」、すなわち、親権者と定められた父または母が親権の行使を続けることが、子供の福祉のために不適当であることが判明した場合や、その後の事情の変更により親権者を他の一方に変更する必要が生じた場合に認められます。

事情の変更とは、親権者が病気に罹患したり、所在不明となるなどして親権者としての職責・義務を果たすことができなくなったり、子供に対する監護を放棄したりするなど、親権者を変更しないと、子供の福祉が害されるような事情が生じることを指します。

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面会交流を拒否されたら慰謝料請求は可能?

面会交流を拒否されたことを理由に、慰謝料を請求できる場合があります。

ただし、面会交流の拒否を根拠とする慰謝料請求が認められる場合には、ある程度強度の違法性がなくてはなりません。
例えば、面会交流に関して監護親の義務がある程度特定されているにもかかわらず、嘘をついて子供との交流を妨害していた、または正当な理由なく長年実施することを拒否し続けていたといった事実を証明することが必要となります。

慰謝料の相場としては、数十万~100万円程度でしょう。
なお、面会交流の協議に一切応じようとしなかったり、実施を拒否した理由が身勝手なものであったり、実施できなかった期間が長かったり、面会交流に関する約束を一度も守っていなかったりする等の悪質なケースでは、慰謝料が高額になりやすいと言えます。

面会交流を拒否された際のQ&A

面会交流を拒否されたので養育費の支払いを止めようと思いますが構いませんか?

面会交流は、子供の健全な成長にとって重要なことであり、子供の福祉のために行われるべきものです。
そして、養育費の支払は、親の監護義務・扶助義務の履行であり、面会交流の実施とは直接関係するものではありません。
したがって、両者は性質が異なりますので、面会交流を拒否されたとしても、養育費を支払わなくていいということにはなりません。

面会交流を子供が拒否した場合はどうしたらいいでしょうか?

子供の真意が面会交流を拒否するというものであるときは、面会交流を実施することは困難です。
このような場合に強引に面会交流を行おうとすれば、子に対して精神的苦痛を与えることになりますし、子供自身も、非監護親が自分の意向を受け入れてくれないとして、非監護親に対して不信感を抱き、非監護親と監護親及び子供との関係がさらに悪化するおそれもあります。

そのため、子供が面会交流を拒絶していて、これが、子供の年齢や発達の程度、拒否の実質的な理由やその背景事情、その他の事情により真意であるといえる場合には、面会交流を強引に行うべきではないでしょう。
他方、子供が面会交流に消極的であるものの、面会交流を実施する余地があるときにおいて、子の心身の負担が過大とならない内容や条件の下で面会交流の実施が可能な場合には、面会交流の実現へ向けて、監護親や子供への働きかけをしていくことが考えられます。

面会交流を拒否されてお困りの方は弁護士にご相談ください

ここまで、面会交流を拒否されてしまうケースやその対処法について説明してきました、面会交流は、子供の福祉のためにも積極的に実施されるべきものであり、正当な理由なく拒否することは許されません。
しかし、正当な理由の有無にかかわらず、面会交流を拒否されてしまうケースが多くあるのは事実です。

面会交流を拒否されてしまった場合の対処法は、拒否される理由によって異なるので、まずはその理由を聞き出し、適切な手立てを考える必要があります。そのためにも、専門家である弁護士への相談をご検討ください。
交渉のプロでもある弁護士は、相手方である監護親の頑なな心を解きほぐし、きっと面会交流を拒否する理由を明らかにすることができるでしょう。
そのうえで、専門知識と交渉力を活かして話し合いに臨むので、満足のいく結果をもたらしてくれることが期待できます。

面会交流を拒否されてしまったら、お一人で悩まず、ぜひ弁護士にご相談ください。

福岡法律事務所 副所長 弁護士 今西 眞
監修:弁護士 今西 眞弁護士法人ALG&Associates 福岡法律事務所 副所長
保有資格弁護士(福岡県弁護士会所属・登録番号:47535)
福岡県弁護士会所属。弁護士法人ALG&Associatesでは高品質の法的サービスを提供し、顧客満足のみならず、「顧客感動」を目指し、新しい法的サービスの提供に努めています。