監修弁護士 今西 眞弁護士法人ALG&Associates 福岡法律事務所 副所長 弁護士
法律とは関係の薄いテーマではありますが、死後に残された者にとって、エンディングノートの有無は大きく影響する点だと思います。
目次
エンディングノートとは
エンディングノートとは、生前に、自分自身の情報をまとめて記載しておくことを指します。
資産や債務、引き落としの状況などの金銭面はもちろん、スマホやPCのパスワード、延命治療等に対する希望等、記載内容はその人次第で多岐にわたります。
エンディングノートと遺言書の違い
遺言書は自身の遺産の帰属等を指定するものです。
法的な効果を有するためには、自筆証書遺言の場合は適式な記載要件の具備と検認が、公正証書遺言の場合は公証役場による作成が必要となります。
エンディングノートは情報提供のための記録ですので、法的な効力はありません。
エンディングノートに書くべき内容
エンディングノートには、突然意思表示が出来なくなったとしても、家族が情報を得るための術として準備しておくで、自身の自己決定や、家族の生活等になるべく影響が生じないように準備する者です。
したがって、その内容は個々人ごとに異なる面もありますが、一般的に多く記載される事項を列挙しておきます。
- 自分のこと(個人情報)
- 財産・資産・形見分けについて
- 医療・介護・延命治療に関する希望
- 葬儀・お墓・納骨方法に関する希望
- 保険情報の詳細な記載
- ペットに関すること
- 家族や友人へのその他メッセージ
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エンディングノートの作成方法・書き方のコツ
エンディングノートに決まった書式はありませんし、自分でいつでも好きなように作成することが出来ます。
記載内容を整理するという面では、市販のものや法務省が公開している書式等を用いると、書き漏らしが少なくなると思います。
エンディングノートを作成しない場合の影響
上記のとおり、エンディングノートは意思表示が困難となった後にも事前に自己決定した内容を遂行してもらうことや、家族の負担を大幅に軽減することが可能となります。
常日頃から密にコミュニケーションをとっていたとしても、全てを詳細に共有しておくことは困難ですし、交流が多くない方の場合はなおさら有益だと思います。
作成必須の書類ではありませんが、元気なうちに作成しておかないと、不測の事態が生じたとき、これら情報をご家族に知る術がなく、もはや取り返しがつかないということになりかねません。
医療や介護に関する本人の意志が不明確になるリスク
エンディングノートは、自らの意思を表示できなくなったような場合に、延命治療の要否や、介護施設の利用等、自身の行く末に関する意思をご家族に伝えることを可能にします。
もしもエンディングノートがなければ、ご家族としてもどのような方針を選択すべきかの指針がなく、大きな決断を迫られることになりかねませんし、希望とは異なる決断をさせてしまうことにも繋がりかねません。
資産把握の困難さ
各種引き落としや保険、積み立てや資産運用、所有する不動産の詳細や各種ローンの引き落とし口座や金額等、自身の資産を網羅的に管理・把握することは、本人でも骨の折れる作業です。
エンディングノートがない場合、通帳がどこにあるのかもわからないし、スマホのロックも外せないというように、著しく情報が不足した状況からの対応を余儀なくされてしまうかもしれません。
弁護士なら相続に関する様々な面でサポートできます
エンディングノートは、ご自身の希望等を整理して記載するものですので、各種ひな形等をご活用いただくなど、ご自身での作成が可能と思料されます。
もっとも、自身の資産管理や任意後見契約、遺言書の内容や作成等、元気なうちだからこそ弁護士に相談しておくことが有益な面もありますので、資産が多い方や不安のある方等は、積極的にご相談いただくことをお勧めします。

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保有資格弁護士(福岡県弁護士会所属・登録番号:47535)
