婚姻費用算定表で婚姻費用の相場を知る方法

離婚問題

婚姻費用算定表で婚姻費用の相場を知る方法

福岡法律事務所 所長 弁護士 今西 眞

監修弁護士 今西 眞弁護士法人ALG&Associates 福岡法律事務所 所長 弁護士

様々な事情で、別居に至ったものの、生活費に不安があるということがあるでしょう。別居をしていたとしても、夫婦間には、扶養義務があります。他方配偶者へ婚姻費用を請求できる可能性があり、その金額を算定する場合に参考とできる「婚姻費用算定表」の見方等を以下説明します。

婚姻費用算定表とは

婚姻費用の金額は、本来は、夫婦で相談して取り決めた金額であれば、いくらの金額であっても問題ありません。もっとも、いくらでもいいとなると、話合いがなかなか進まないこともあるでしょう。
どのくらいの金額とすべきか迷われる場合には、「婚姻費用算定表」を参考にして、話合いを進める方法があります。「婚姻費用算定表」は、裁判所のホームページに掲載されており、令和元年12月23日に公表された改定標準算定表(令和元年版)が掲載されています。

婚姻費用算定表の使い方

婚姻費用算定表の使い方(見方)を、以下説明していきます。

お互いの年収を調べておく

婚姻費用算定表を使うには、収入がどのくらい双方あるのか、という情報が必要になります。

給与所得者の年収の調べ方

給与所得者は、1年に1回源泉徴収票を勤務先から受け取ります。源泉徴収票をみることで、その勤務先での年収を把握することができます。

自営業者の年収の調べ方

自営業者の場合、確定申告を行っている場合が多いため、確定申告書類を参考に、年収を計算していくこととなります。

裁判所のHPから最新版の婚姻費用算定表をダウンロードする

裁判所のホームページに「養育費・婚姻費用算定表」が掲載されています。子どもの人数などに応じ、該当するものをダウンロードすることで、算定表をみることができます。

養育費・婚姻費用算定表(裁判所)

支払う側と受け取る側の年収が交わる箇所を探す

「養育費・婚姻費用算定表」の縦は、義務者の年収を表しています。横は権利者の年収を表しています。義務者が支払う側であり、権利者は支払いを受ける側になります。
会社員等の給与取得者の場合は「給与」の欄を、自営業者の場合は「自営」をみます。
双方の年収に該当する縦の欄と横の欄の交わるところをお探しください。

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婚姻費用算定表が自分のケースに当てはまらない場合

年収が表の枠を超えていたり、子どもの人数が多い場合等、「養育費・婚姻費用算定表」を使うことができない場合があります。算定表を使えなくとも、例えば、婚姻費用の場合、以下計算式で算出することが可能です。
ややこしい式になりますので、該当しない場合には、弁護士に相談されることをおすすめします。

  • 基礎収入×基礎収入割合=権利者の基礎収入…①
  • 基礎収入×基礎収入割合=義務者の基礎収入…②
  • (義務者の基礎収入(②)+権利者の基礎収入(①))×権利者側の生活費指数÷(権利者側の生活費指数+義務者側の生活費指数)=権利者世帯の婚姻費用…③
  • 権利者世帯の婚姻費用(③)-権利者の基礎収入(①)=1年あたりの婚姻費用…④
  • ④÷12か月=1か月あたり婚姻費用

婚姻費用算定表に関するQ&A

婚姻費用を算定表より多くもらうにはどうしたらいいですか?

当事者間で合意ができない場合で、算定表より多くの婚姻費用を求めるには、算定表での金額より増額することが必要であり、それが相当であることを主張することが重要になります。
例えば、医療費については、標準的な額は算定表の中で考慮済みですが、眼鏡代や歯列矯正代等、標準的な額を超えるもので、負担が相当と考えられるものは、婚姻費用額を増額する事情となる場合があります。

年収350万~450万は婚姻費用相場が6万~8万となっているのですが、年収450万円に近ければ8万円という考え方で良いのでしょうか?

双方の収入が交わるところを前提に考えますので、相手方の年収によって変わります。6~8万円の枠を前提とした場合、受け取る側の年収が低いほど、8万円に近い数字となり、他方で相手方の年収が高いほど、6万円に近い数字となります。

婚姻費用算定表の金額に、子供の学費は含まれていますか?

学費について、公立を前提にした学校教育費は含まれています。例えば、私立学校に行く場合には、考慮されていない学校教育費部分が生じますので、その部分を夫婦間でどのように負担をするのか話し合うこととなります。もっとも、義務者が負担すべきであると考えられるのは、義務者が承諾している場合や、私立の学校に行く合理性がある場合等となりますので、内容を問わず、義務者に負担を求められるわけではありません。

専業主婦は収入0のところを見ればいいでしょうか?年収100万円として考えることもあると聞いたのですが…

年収が無い専業主婦であっても、健康で十分働くことができる場合には、稼働能力があるということを前提に、収入を擬制することがあります。専業主婦であっても、パートタイムとしての労働は可能として、一定程度の収入見込み額を基に、計算がされる可能性があります。

年金生活者です。年金を収入と見なして婚姻費用算定表を使えばよいでしょうか?

給与所得者の場合、総収入より、総収入に対応する公租公課の標準的な割合や、統計資料に基づき推計された職業費、特別経費の標準的な割合を控除したものを基礎収入としています。年金受給者の場合は、職業費がかからないため、特別な考慮が必要となります。
年金受給額をそのまま「養育費・婚姻費用算定表」にあてはめることはできませんが、具体的な計算方法については、弁護士に相談されてみてください。

弁護士がそれぞれの事情を考慮して婚姻費用を算定します

婚姻費用や養育費は生活に直結する大事なものとなります。そもそも月額がどのくらいなりそうなのか、といったところから、学費や医療費等の算定表から外れた部分の負担を求めることができるのか、それぞれの家庭の事情によって、気になるところも多様でしょう。
婚姻費用や養育費について心配なことや、気になるところがある方は、まずは弁護士に相談されることをおすすめします。

福岡法律事務所 所長 弁護士 今西 眞
監修:弁護士 今西 眞弁護士法人ALG&Associates 福岡法律事務所 所長
保有資格弁護士(福岡県弁護士会所属・登録番号:47535)
福岡県弁護士会所属。弁護士法人ALG&Associatesでは高品質の法的サービスを提供し、顧客満足のみならず、「顧客感動」を目指し、新しい法的サービスの提供に努めています。