胎児死亡(死産)の場合の損害賠償請求

代表執行役員 弁護士 金﨑 浩之

監修医学博士 弁護士 金﨑 浩之弁護士法人ALG&Associates 代表執行役員 弁護士

  • 損害賠償請求
  • 胎児

民法上、権利や義務の主体となることができるのは出生した時点からと定められています。

そのため、出生していない状態にある胎児は、医療過誤により死亡させられたとしても、胎児は損害賠償請求権の主体となり得ませんので、父母が胎児の損害賠償請求権を相続することはありません。

それでは、医療過誤により胎児が死亡(死産)した場合には、父母はどのような法律構成を主張し損害賠償請求を行うのでしょうか?

かつては、胎児は母体の一部であるとして、母親に対する侵害と構成する裁判例が多かったです。ところが、この構成では、父親が侵害されたとは評価し難く、そのため父親の請求権は観念し難いです。

近年は、711条を類推適用するなどして、子を失ったのと同様に、近親者固有の慰謝料を認めるものが多くなっています。この構成であれば、父親の請求権を観念しやすいです。

とはいえ、いかなる侵害行為と捉えるのか、父の慰謝料が認められるのか、といった点は理論的な問題にすぎず、実際に損害賠償請求を行うにあたっては、損害の総額が重要かと思います。

慰謝料額については、裁判例によって様々ですが、出産予定日が近いほど、高額になる傾向があります。東京地方裁判所八王子支部平成8年2月19日判決では、その理由として、「本件は、出産直前の死亡であるから、父親、母親としての出産への期待が高まっている状態にあるものと考えられ、その精神的苦痛は、新生児が死亡した場合にも比肩しうるものである。」と述べています。

この記事の執筆弁護士

弁護士 上田圭介
弁護士法人ALG&Associates 弁護士 上田圭介
東京弁護士会所属
弁護士法人ALG&Associates 代表執行役員 医学博士 弁護士 金﨑 浩之
監修:医学博士 弁護士 金﨑 浩之弁護士法人ALG&Associates 代表執行役員
保有資格医学博士・弁護士(東京弁護士会所属・登録番号:29382)
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