カルテ開示

代表執行役員 弁護士 金﨑 浩之

監修医学博士 弁護士 金﨑 浩之弁護士法人ALG&Associates 代表執行役員 弁護士

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医療過誤を疑い、損害賠償請求を行うか否かを検討する場合、まずは判断材料となる診療記録を医療機関から入手することから始めます。

その診療記録を入手する方法のひとつに「カルテ開示」と呼ばれるものがあります。医療機関に記録の写しを交付してもらう手続ですので、開示してもらえなかったという例もないわけではありません。そのような場合どのように対処したらよいのでしょうか。

本ページでは、診療記録の入手に関わる疑問について解説します。

カルテ開示とは

カルテ開示とは、患者本人や遺族が病院へ直接診療記録の開示を求める手続です。

一昔前は、医療機関からカルテ等を開示してもらおうとしても、拒否されることが多く極めて困難でした。

しかし、2003年に厚生労働省が「診療情報の提供等に関する指針」を公表しました。同指針には、「医療従事者等は、患者等が患者の診療記録の開示を求めた場合には、原則としてこれに応じなければならない」とあります。

また、2005年には「個人情報の保護に関する法律」が施行され、5000件以上の個人情報を有する医療機関においては、患者本人にカルテを開示することが法律上の義務となりました。さらに、同法が2015年に改正されると、5000件という限定が撤廃され、すべての医療機関において義務となりました。

このような近年の制度の整備にともない、現在では、医療機関がカルテの開示を拒むことはほとんどありません。

カルテ開示の方法

具体的なカルテ開示を申請する方法ですが、現在は医療機関が申請用紙を準備していることが多いので、申請用紙を用いて申請することになります。所定の申請用紙がない場合は医療機関の窓口に出向きその旨を伝えましょう。

申請用紙を用いる場合に注意が必要な点があります。申請用紙には、診療録、看護記録、検査記録といった記録の種別が記載されており、患者側が開示を求める記録を選択するという体裁のものがあるのですが、このような体裁の場合には、申請用紙に記載されている記録が医療機関で作成される全ての記録を網羅しておらず、たとえ全てを選択したとしても記録を取りこぼしがでるといったことがあるのです。そのため、このような体裁であれば、選択するのとは別に、「作成されたすべての記録の開示を求める」などと記載しておく方がよいでしょう。

患者本人でなく、遺族が開示を求める場合には、患者本人との親族関係を証明するために戸籍謄本等の書類を求められるケースもあります。

また、カルテ開示を求める際、病院から開示を必要とする理由について聞かれたり、申請書に開示理由を記載する欄があったりします。しかしながら、厚生労働省の同指針は、カルテ開示の「理由の記載を要求することは不適切である」としていますので、答える必要はありません。

カルテ開示の費用

申請からカルテを入手できるまでの期間は、場合によっては1、2か月程度を要することもあります。再度医療機関へ出向いて、コピー代等の費用を払って資料を受領する場合が多いです。

費用については、紙媒体資料のコピー代やレントゲン等の画像複製代、CD-R代が考えられます。稀にカルテ開示を行うこと自体に手数料を徴収する病院も見受けられます。

コピー代は病院によって料金設定がまちまちですが、1枚あたり10~30円程度が多く、高いところでは50円といった病院もあります。そのため、診療期間によっては十数万円にも及ぶケースもあります。

費用が高額になると予想される場合は、医療機関へ大体の額を事前に確認しておくと安心です。

カルテを開示してもらえない

万が一カルテ開示を断られた場合は、「個人情報の保護に関する法律」や「診療情報の提供等に関する指針」といった法律や通達に基づいて開示を拒むことができないことを伝えるなどして、交渉するしかありませんが、結果として開示がなされないケースもないわけではありません。開示を拒まれる場合は医療過誤の存在が疑われますし、拒んでいる間にカルテを改ざん・隠匿されてしまう可能性も否定できません。裁判所を通じてカルテを入手する方法もありますので、今後の対応を弁護士に相談した方が良いでしょう。

カルテ開示と証拠保全

医療機関から診療記録を取得する方法には、カルテ開示とは別に、証拠保全があります。

証拠保全は裁判上の手続ですが、訴訟を提起する前であっても申し立てることができます。

その実施方法を平たく説明すると、ある日突然、裁判官、裁判所の職員、弁護士、カメラマンが医療機関に赴き、診療記録を印刷・撮影するという方法ですので、改ざんを防止することができるというメリットがあります。

どちらの方法で診療記録を取得すれば良いかは、事案の内容によって判断が分かれます。それぞれにメリットとデメリットがありますので、弁護士と相談しながら決定した方が良いでしょう。

メリットとデメリット

カルテ開示のメリットは、弁護士に依頼しなくても、患者本人や遺族で申請できる点です。そのため、費用も病院へ支払う手数料やコピー代を負担するだけでよいです。

しかし、医療機関から開示を拒否されたり、開示するまでの間にカルテが改ざん・隠匿されたり、必要な資料がすべて開示されなかったりする可能性があるというデメリットがあります。

一方、証拠保全のメリットは、カルテ改ざん・隠匿の危険性を下げることができる点、カルテ開示に比べて、要求する資料を漏らすことなく開示させることができる可能性が高い点が挙げられます。

ただし、弁護士費用はもちろんのこと、カルテ等の撮影が必要になるケースではカメラマンの日当、現像代金等がかかります。

この記事の執筆弁護士

弁護士 上田圭介
弁護士法人ALG&Associates 弁護士 上田圭介
東京弁護士会所属
弁護士法人ALG&Associates 代表執行役員 医学博士 弁護士 金﨑 浩之
監修:医学博士 弁護士 金﨑 浩之弁護士法人ALG&Associates 代表執行役員
保有資格医学博士・弁護士(東京弁護士会所属・登録番号:29382)
東京弁護士会所属。弁護士法人ALGでは高品質の法的サービスを提供し、顧客満足のみならず、「顧客感動」を目指し、新しい法的サービスの提供に努めています。

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