福岡の弁護士による刑事事件の相談

家宅捜索とは?家宅捜索の条件やタイミング、捜索後の対応について

弁護士法人ALG&Associates 福岡法律事務所 所長 弁護士 今西 眞

監修弁護士 今西 眞弁護士法人ALG&Associates 福岡法律事務所 所長

家宅捜索とは

警察等の捜査機関は、「犯罪の捜査をするについて必要があるときは、裁判官の発する令状により、捜索・差押えをすることができ」ます(刑訴法218条1項)。このうち、自宅や職場等の捜索のことを一般に「家宅捜索」、俗に「ガサ」等と呼びます。

家宅捜索は拒否できない

家宅捜索は法で認められた「強制処分」の一つですので、拒否することはできません(刑訴法218条)。

家宅捜索の条件

警察等の捜査機関は、「犯罪の捜査をするについて必要があるときは、裁判官の発する令状により、捜索・差押えをすることができ」ます。捜査機関の捜索令状請求に対し、裁判官が「必要がある」と判断した場合に裁判官は令状を発付します。裁判官は、犯罪の軽重・態様、証拠価値、代替性の程度、他の証拠との関係、捜査の進捗状況、被処分者の不利益の程度等を考慮して「必要性」の有無を判断します。

警察の捜査が始まるきっかけ

被害届が提出された

捜査の端緒の典型例が被害届です。被害者が警察に被害届を提出し、これが警察に受理された場合に、警察は捜査を開始します。

通報された

犯罪の被害者や目撃者が警察に通報したような場合も、捜査の端緒の典型例です。

告訴・告発された

告訴とは、被害者やその法定代理人が警察や検察等の捜査機関に対して犯罪事実を申告し、処罰を求めることをいいます(刑訴230条、刑訴231条)。

これに対して、告訴権者でない第三者が、犯罪事実を申告し処罰を求めることを「告発」といいます。 告訴、告発がされた場合、警察は、速やかに書類等を検察に送らなければなりませんので(刑事訴訟法242条)、本腰を入れた迅速な捜査がされることもあります。

告訴・告発に「処罰を求める意思」が含まれる一方で、被害届にはこれが含まれないという違いがあります。

職務質問を受けた

「異常な挙動その他周囲の事情から合理的に判断して何らかの犯罪を犯し、若しくは犯そうとしていると疑うに足りる相当な理由のある者又は既に行われた犯罪について、若しくは犯罪が行われようとしていることについて知っていると認められる者を停止させて質問すること」(警察官職務執行法2条1項)を職務質問といいます。職務質問をきっかけに犯罪事実が明らかになることがあります。

家宅捜索のタイミング

捜査機関が家宅捜査を行える時期に制限はありませんので、起訴される前・起訴された後のいずれにおいても捜索をすることができるとされています。しかし、通常、事件の捜査は起訴前に完了するため、実際に家宅捜査が行われるのは、警察が犯罪事実を知ってから、起訴されるまでの間になることが多いと思われます。証拠隠滅を防ぐため、通常、対象者への予告なしに行われます。

家宅捜索の対象

不当な捜索差押がされないように、裁判所は捜索差押に範囲を事前に審査して令状を発付していますので、許可状に書かれていない(裁判所が事前に審査した範囲を超える)捜索・差押えを行うことは許されません。

捜索差押許可状の内容の確認

被処分者に手続きの明確性と公正さを担保し、被処分者の不服申立ての手段を確保して、その利益を確保するために(東京公判昭44・6・25)、捜索差押令状は、処分を受ける者に示さなければならないとされています(222条1項、110条、犯捜規141条)。令状の呈示は、被処分者が令状の内容を理解できる方法で行う必要がありますが(大阪高判平9・9・17)、必ずしも読み上げがされるとは限らず、被処分者に閲読させるか、要旨を告げる等の方法で呈示されます。

差し押さえられたものの返却について

証拠として必要が無くなった物は、事件が終了する前であっても返されます。

家宅捜索されることが多い犯罪

薬物事件は、被疑者の自宅に薬物や吸入器具などの証拠品が存在することが多いため、家宅捜索が行われることが多いと思われます。また、窃盗や児童ポルノ、盗撮関連の事件も、同じく被疑者の自宅に犯罪で得た物や、犯罪に関するデータが存在する可能性が高いため、家宅捜索を受けることが多い事件類型といえます。

児童ポルノについて詳しく見る

家宅捜索に弁護士の立ち会いは可能か

弁護人の立ち合いを認めた規定はありませんので、捜査機関が弁護人を立ち会わせる義務はありません。しかし、住所主(通常は被疑者)から委任を受けた代理人として弁護人が立ち会うことができます。

家宅捜索での対応と弁護士ができること

家宅捜索では、令状に反して事件に関係のないものまで押収されてしまうこともあります。違法な捜査が行われていないかチェックし、必要に応じて異議を唱える必要があります

また、家宅捜索の結果、犯罪の嫌疑が高まったとして、逮捕されてしまうことは少なくありません。このような場合でも、家宅捜索によって必要な証拠が収集されたことで証拠隠滅のおそれが無くなり、ひいては逮捕の必要性も無いなどの主張を行うことで、逮捕・勾留を避けられる可能性があります。

家宅捜索を受けてしまった場合、早期に弁護士が介入すれば、上記のような弁護活動を行い、不当な家宅捜索や逮捕などについて争うことができる場合があります。

家宅捜査を受けた場合は、早期に弁護士へ相談を

早期に弁護士が介入することで、捜査の違法を抑止することができます。違法な家宅捜索を抑止することで、それに続く逮捕・勾留を防ぐことができるかも知れません。家宅捜索を受ける前に、ぜひ弁護士にご相談ください。

この記事の監修

弁護士法人ALG&Associates 福岡法律事務所 所長 弁護士 今西 眞
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福岡県弁護士会所属。弁護士法人ALG&Associatesでは高品質の法的サービスを提供し、顧客満足のみならず、「顧客感動」を目指し、新しい法的サービスの提供に努めています。
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