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公然わいせつ罪になる行為とは?罰則と逮捕後の流れ

弁護士法人ALG&Associates 福岡法律事務所 所長 弁護士 今西 眞

監修弁護士 今西 眞弁護士法人ALG&Associates 福岡法律事務所 所長

公然わいせつ罪の代表的なものが、いわゆる露出狂の事案です。公然わいせつ罪は、周囲に不特定多数の人がいることが多いため、現行犯逮捕等により身体拘束されることがある犯罪です。本項では、公然わいせつ罪について詳しく解説していきます。

公然わいせつ罪とは

公然わいせつ罪は、不特定または多数の人が認識できる状態でわいせつな行為をすることにより成立します。具体的な例として、上記のような露出狂(公道で全裸になる、陰部を露出する等)がありますが、公然わいせつ罪が成立する場所は、公道に限られません。「公然と」の要件を満たすような場所であれば、公然わいせつ罪が成立し得ます。

公然わいせつ罪の刑罰

公然わいせつ罪の刑罰は、「六月以下の懲役若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料」です(刑法174条)。

強制わいせつ罪(六月以上十年以下の懲役。刑法176条)などと比較すると、比較的軽い刑罰になっています。これは、強制わいせつ罪、強制性交罪といった犯罪が、被害者の性的自由を保護することを目的とするのに対して、公然わいせつ罪は、性秩序ないし健全な性的風俗といった社会的な法的を保護することを目的とするためと考えられます。公然わいせつを目撃した方の性的自由が侵害されたわけではなく、健全な社会秩序が侵害されたと考えるわけです。

公然わいせつ罪の構成要件

公然わいせつ罪における「公然」

公然わいせつにおける「公然」とは、「不特定又は多数人が認識できる状態」です。

「認識した状態」ではないことに注意が必要です。つまり、現実に、「不特定又は多数人」が認識していなくても、公然わいせつ罪が成立してしまいます。例えば、深夜の公園や早朝の公道で陰部を露出した場合には、誰も見ていなくても、公然わいせつ罪が成立し得ることになります。

公然わいせつ罪における「わいせつな行為」

「わいせつな行為」とは、「いたずらに性欲を興奮または刺激させ、かつ、普通人の正常な性的羞恥心を害し、善良な性的道義観念に反するものをいう」とされています。個別具体的な行為が、「わいせつな行為」に当たるかどうかは、裁判所の判断によりますが、陰部の露出、性行為、性的な部分を強調した裸体やこれに近い状態での露出などは、「わいせつな行為」に当たると考えてよいでしょう。また、近年の裁判例では、わいせつな動画の配信も「わいせつな行為」に当たるとされています(最高裁判所令和3年2月1日決定)。

故意

公然わいせつ罪が成立するには、同罪の故意が必要です。具体的には、「公然と」「わいせつな行為をすること」双方を、認識・認容している必要があります。

例えば、犬などの動物や、他人から引っ張られて、着衣を脱がされ、陰部が露出してしまったような場合、この認識・認容がないため、公然わいせつ罪の故意がなく、同罪は成立しないと考えられます。

身体露出の罪との違い

公然わいせつ罪と類似した犯罪として、軽犯罪法1条20号(身体露出の罪)があります。

これは、『公衆の目に触れるような場所で公衆にけん悪の情を催させるような仕方でしり、ももその他身体の一部をみだりに露出した者』を処罰する犯罪です。

「けん悪の情」といった不確定な要件が用いられていますが、これは社会通念に従って判断されます。この要件に該当するかはケースバイケースであるため、事案によっては、この要件を満たさないとして争うこともあり得ます。

逮捕後の流れ

露出狂に代表されるように、公然わいせつ罪は、現行犯逮捕されやすい犯罪です。また、現行犯逮捕されなくとも、通報から防犯カメラ画像が精査されるなどして、通常逮捕されることももちろんあります。

逮捕されてしまった後は、長期間の身体拘束(勾留)がされるリスクがあります。長期の身体拘束を避けるため、適切な対応をとることが必要です。

逮捕された時の流れについて詳しく見る

公然わいせつ罪で逮捕された場合の弁護活動について

公然わいせつ罪で逮捕された後、ご依頼を受けた場合、弁護人は、勾留の回避や、身体拘束からの早期解放に向けた活動を行うことになります。身元引受人の確保や、再犯の防止に向けた準備を行います。例えば、性的依存傾向にある方の場合、専門の治療機関の紹介や、治療についてのご家族の理解を得ることなどです。

実質的な被害者がいる場合

建前上、公然わいせつ罪は、社会的法益を保護する罪であるとされます。最も、特定の人物の前で陰部を露出する等、実質的に、性犯罪の被害を受けた被害者が存在する場合があります。

このような場合、被害者の方にきちんと謝罪をして、示談をすることは、不起訴や、刑罰の減軽のために非常に有益です。実質的な性犯罪ですから、被疑者自身が、被害者に接触することはできません。適切な弁護人と信頼関係を構築して、捜査機関を通じて被害者にアプローチし、謝罪の上で、示談をお願いすることになります。

公然わいせつ行為をしてしまったら、弁護士へ相談を

公然わいせつ罪は、決して軽い罪ではありません。また、罪の軽重以前に、公然わいせつ罪を犯してしまう背景事情(性的倒錯傾向であったり、日常生活のストレスであったり)があることが少なくありません。犯罪を犯してしまう背景事情を探り、再犯を防止しながら、示談や不起訴を目指すためには、適切な弁護人に依頼し、信頼関係を構築するのが最善です。お悩みの方はぜひご相談ください。

この記事の監修

弁護士法人ALG&Associates 福岡法律事務所 所長 弁護士 今西 眞
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福岡県弁護士会所属。弁護士法人ALG&Associatesでは高品質の法的サービスを提供し、顧客満足のみならず、「顧客感動」を目指し、新しい法的サービスの提供に努めています。
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