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強制性交等罪とは?刑罰や逮捕後の対応について

弁護士法人ALG&Associates 福岡法律事務所 副所長 弁護士 今西 眞

監修弁護士 今西 眞弁護士法人ALG&Associates 福岡法律事務所 副所長

強制性交等罪という罪名を聞いて、ピンとこない人も少なくないのではないでしょうか。簡単にいうと、男性から女性に対する強制的な性交渉だけでなく、同性同士、女性から男性に対する行為、性交類似行為などを広く処罰するために強姦罪に変わって新たに定められた犯罪です。ここでは、強制性交等罪について解説します。

強制性交等罪とは

強制性交等罪とは、13歳以上の者に対して、暴行又は脅迫を用いて性交、肛門性交又は口腔性交をすることをいい、5年以上の有期懲役に処せられます。13歳未満の者に対しては、暴行脅迫を用いなくとも、性交、肛門性交又は口腔性交を行えば成立します。

刑法改正による変更点

平成29年の改正までは、強姦罪が定められており、13歳上の女子に対する暴行脅迫を用いた姦淫行為や13歳未満の女子に対する姦淫行為を処罰(懲役3年以上の懲役)していましたが、性犯罪の重大性や社会の性観念の変化などを踏まえ、これを、強制性交等罪として、懲役5年に引き上げるととともに、性別を問わないこととし、肛門性交及び口腔性交も処罰対象とされました。また、親告罪であったものを非親告罪とされました。

強制性交等罪の構成要件

「性交等」の行為

性交、肛門性交又は口腔性交が処罰対象とされているところ、性交とは膣内に陰茎を入れる行為をいい、肛門内や口腔内に陰茎を入れる行為をそれぞれ肛門性交、口腔性交といいます。

暴行または脅迫を用いて性交等をする

強制性交等罪は、13歳以上の者に対しては、暴行又は脅迫を用いて行うことが構成要件とされています。
暴行とは、身体に向けられた不法な有形力の行使をいい、脅迫とは害悪の告知をいいます。暴行や脅迫は、性交等を行おうとする被害者に対して行われることが必要です。その程度は、反抗を著しく困難にする程度のもので足りるとされており、反抗を抑圧することまでは必要ではありません。反抗を著しく困難にする程度といっても、強く殴りつける、刃物を突き付けるなどすれば該当しますが、明らかな場合でなくとも、態様、時間的場所的状況、被害者の年齢や精神状態など様々な事情が考慮されて判断されているので、これをしたら該当すると明確にいえるわけではありません。
なお、13歳未満の者に対して性交等を行えば、暴行又は脅迫がなくとも成立します。

故意

強制性交等罪は、故意犯とされており、過失によるものは含まれていません。
強制性交等罪に該当する行為の認識認容が必要ですから、13歳未満の者に対する場合は、13歳未満であることの認識が必要です。
被害者が承諾していた(同意のうえだ)と誤信した場合が問題になることが多いですが、被害者が真意で同意していると誤信した場合には成立しません。もっとも、行為者が認識していた事実関係等に基づいて判断されており、行為者が単に思い込んでいただけでは不十分です。反抗を著しく困難にする暴行脅迫を行っている場合に、被害者が真意で同意しているというのは難しいといえます。

強制性交等罪の罰則

強制性交等罪の法定刑は、5年以上の有期懲役と重く処罰される犯罪です。

執行猶予の可否

前に禁固以上の刑に処せられていない者などが、3年以下の懲役若しくは禁固又は50万円以下の罰金とされる場合には、情状により執行を猶予される場合があります(刑法25条)。
強制性交等罪は、5年以上の有期懲役とされていることから、情状酌量減刑など刑が軽減されない限り執行猶予の対象となりません。

強制性交等罪の時効

公訴時効は10年です。

準強制性交等罪との違い

強制性交等罪と類似する犯罪として、準強制性交等罪というものがあります。これは、人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて性交、肛門性交、口腔性交を行った場合です。泥酔者に対するものや睡眠薬などを飲ませる等して行われた場合などです。

逮捕後の流れ

強制性交等罪は、密室で行われることも多く被害者の供述が重要な証拠となるため、直接的間接的に被害者への働きかけがされる可能性が小さくないですし、親告罪でもなくなり、刑の厳罰化が進んでいることも相まってか、逮捕などの身柄拘束される可能性が高い犯罪類型です。

逮捕後の流れについて詳しく見る

逮捕後の対応

全てとは言いませんが、逮捕当初から自白を取ろうと厳しい取り調べがされる可能性も高い犯罪類型だといえますので、全く心当たりがない、被害者の同意があったなど言い分があれば、黙秘も含めて毅然と対応しないと取り返しのつかないことになりかねません。
被疑事実に間違いがない場合もあるでしょう。この場合でも、被害者への働きかけがされる可能性があるなどとして、逮捕される場合も少なくありません。被疑事実を認め、捜査も終えたような状況であっても、被害者と示談が済んでいるかどうかが身柄解放の重要なファクターになることも多く、身柄解放に向けて早期に示談の可能性を探る必要があります。起訴され、量刑判断にあたっても、示談が成立しているのかなどは被告人にとって有利な情状となりますので、示談の可能性を探ることは重要です。

強制性交等罪に問われたら、弁護士へ相談を

被害者の連絡先を教えてくれることは基本的にないですが、仮に被害者が顔見知りだったとしても、罪証隠滅を疑われかねないので、被害者と直接連絡を取ることは避けるべきです。とはいうものの、示談の可能性を進める必要もありますので、こういった場合は、被害者の了解があることが前提ですが、弁護人を通じて被害者と連絡を取ります。身に覚えがない、事実関係が違うなどという場合には、毅然と取り調べ対応をしなければなりませんので、弁護人の助力は不可欠でしょう。
いずれにせよ、重い刑罰がかされている犯罪ですので、早期に弁護士へご相談されてください。

この記事の監修

弁護士法人ALG&Associates 福岡法律事務所 副所長 弁護士 今西 眞
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福岡県弁護士会所属。弁護士法人ALG&Associatesでは高品質の法的サービスを提供し、顧客満足のみならず、「顧客感動」を目指し、新しい法的サービスの提供に努めています。
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