傷害罪とは?成立要件や
逮捕された場合の対処法
監修弁護士 今西 眞弁護士法人ALG&Associates 福岡法律事務所 副所長
傷害罪は、「人の身体を傷害」することを処罰する規定です。傷害という言葉の意味や、逮捕された場合の対処法等、以下に記載していきます。
目次
傷害罪とは
傷害罪は、故意に人の身体の生理機能に障害を加えた場合を処罰するという規程です。人の身体に対する罪であり、被害者のいる犯罪ですが、親告罪ではありませんので、第三者の通報からでも事件化されます。
傷害罪の刑罰
傷害罪の法定刑は15年以下の懲役、又は50万円以下の罰金です。
傷害罪の成立要件
傷害罪の実行行為があるか
傷害罪の実行行為の典型は暴行です。怪我させるつもりがなくても、怪我をするかもしれないという危険のある行為を認識・認容して、人の身体に物理力を行使した場合は実行行為に該当します。暴行によらないものについても、いやがらせを執拗に繰り返して抑うつ状態に陥れる、長期間アラーム等を大音量で流し続けて慢性頭痛症に至らしめる等について、傷害罪の成立を認めた裁判例もあります。
傷害という結果が生じた
傷害罪が成立するには、傷害結果が発生したことが必要です。怪我をさせるつもりで暴行したが、結果的に怪我はしていないという場合、成立するのは傷害罪ではなく暴行罪です。
実行行為と結果との因果関係があるか
傷害罪が成立するには、「ナイフで刺したら出血した、」「突き飛ばしたら転倒して頭を打って出血した」というように実行行為と傷害結果に因果関係が必要です。
故意が認められるか
傷害罪は暴行罪の結果的加重犯という関係にありますので、暴行の故意があれば、その結果相手が怪我をした場合、傷害の故意も認められます。
傷害罪の時効
公訴時効は法定刑によって異なります。傷害罪は、長期15年以上の懲役等にあたる罪ですので、公訴時効は10年です。
外傷のない場合でも傷害罪になりうる
傷害罪にいう「傷害」は、身体の生理機能の障害と解されているものですので、出血や打撲、骨折等の外傷がなくても、疲労倦怠、胸部疼痛、腰部圧痛、めまい、嘔吐、失神、中毒、病気、PTSD等も傷害に含まれうるものです。
傷害罪で逮捕されたときの対処法
傷害罪は、被害者のいる犯罪です。示談の成否や反省、謝罪の有無、被害弁償(治療費・慰謝料等の支払い)等の事情は、起訴・不起訴の判断や量刑、執行猶予の有無等に大きく影響します。
傷害罪の示談・被害弁償について
傷害罪は、人に怪我をさせたという犯罪類型です。怪我が重ければ重いほど、示談金として想定すべき金額は高くなるでしょう。
示談交渉や被害弁償は、その治療費や通院交通費、休業損害や慰謝料、後遺症が残る場合にはその慰謝料や逸失利益というように、怪我の治療に関連する種々の補償を想定しておく必要があるからです。
傷害事件を起こしてしまったら、弁護士へご相談ください
傷害事件の被害者は、加害者に対する恐怖や憎しみ、忌避感を少なからず抱いているものです。加害者が直接示談交渉を持ち掛けるのは、かえって反発を招くなど、不利に働く可能性のほうが高いでしょう。弁護人の存在は、身体拘束からの早期解放や示談交渉、不起訴や執行猶予を得る可能性を少しでも高めるために有益な場合も多いので、早期段階で弁護士に相談することをお勧めします。
この記事の監修
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福岡県弁護士会所属。弁護士法人ALG&Associatesでは高品質の法的サービスを提供し、顧客満足のみならず、「顧客感動」を目指し、新しい法的サービスの提供に努めています。