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相続問題

法定相続分とは?ケース別の割合や計算法について弁護士が解説

福岡法律事務所 副所長 弁護士 今西 眞

監修弁護士 今西 眞弁護士法人ALG&Associates 福岡法律事務所 副所長 弁護士

亡くなられた方(被相続人)の遺言が残されていない場合、遺産をどのように分ければ良いのか判断に迷うことや、トラブルになることが少なくありません。

このような場合には、民法で定められた相続財産を引き継ぐ割合の目安である「法定相続分」を前提に、具体的相続分を算定することになります。法定相続分を正確に把握することは、具体的相続分算定の前提となるため、非常に重要です。

法定相続分について理解するためには、「法定相続人」や「相続割合」について正しく理解する必要があります。

本稿では、法定相続人ごとの相続割合や、法定相続分が認められない人、遺産分割が法定相続分どおりにならないケース等についてわかりやすく解説します。

法定相続分とは

法定相続分とは、民法900条に定められている、相続人の間で遺産分割の合意ができなかったときに目安とされる相続割合のことです。

被相続人が遺言書を作成しなかった場合等において、法定相続人が複数人いるときに、誰が相続人となり、どの割合で相続するかを決めるときに用いられます。

法定相続分は遺産分割協議で使用される

遺産分割協議では、法定相続分が目安の割合として活用されます。

遺産分割協議とは、相続人の全員が参加して、相続財産の分け方を話し合う手続きのことです。全員が合意すれば成立しますが、相続人の1人でも反対すると、いつまでも成立しなくなってしまいます。

遺産分割協議が合意に至らなかった場合には、家庭裁判所に申し立てて、遺産分割調停や遺産分割審判によって相続分などを決定します。

調停は、調停委員に仲介してもらいながら進める話し合いなので、結論を強制されることはありません。しかし、審判では裁判官の判断によって結論が下されます。

審判では、法定相続分や、特別受益、寄与分を基に、遺産分割の方法が定められることが一般的です。

法定相続人の範囲と相続順位

法定相続分は、誰が法定相続人となって相続するかによって割合が異なり、民法によって表のように決められています。

法定相続人は、被相続人との関係性によって相続順位が設けられています。
配偶者は常に相続人となります。配偶者以外の相続人は、先順位の法定相続人がいる場合、相続人とはなりません。

配偶者がいない場合、第1順位、第2順位、第3順位の順に相続人が定まります。

順位 法定相続人
常に相続人 配偶者
第1順位 被相続人の子など直系卑属
(親子関係でつながった親族のうち下の世代)
第2順位 被相続人の父母など直系尊属
(親子関係でつながった親族のうち上の世代)
第3順位 被相続人の兄弟姉妹

【ケース別】法定相続分の割合と計算方法

配偶者+子供の場合

被相続人に配偶者と子がいる場合の法定相続人は、配偶者と、相続順位が第1順位である子です。それぞれ「2分の1ずつ」の割合で分割することとなります。
子が複数名いるときは、子に割り当てられた「2分の1の相続分」を、子の頭数で割ります。

配偶者がいない場合には、子がすべての財産を相続します。子が複数いれば、人数で均等に割ります。

配偶者+直系尊属の場合

配偶者と次順位(第2順位)の被相続人の直系尊属が相続人になります。

法定相続分は、配偶者3分の2、被相続人の直系尊属が3分の1となります。例えば、両親が生存している場合、相続の割合は父親6分の1、母親6分の1となります。

両親のうち片方が死亡している場合、生存している親が相続人となり、相続分は3分の1となります。両親双方が死亡しており、祖父母が生存しているときは、3分の1を祖父母の人数で割った数が、祖父母それぞれの相続分となります。

配偶者+兄弟姉妹の場合

配偶者と、第3順位の法定相続人にあたる兄弟姉妹が相続人になります。

法定相続分は、配偶者4分の3、被相続人の兄弟姉妹4分の1です。兄弟姉妹が複数人いる場合は、兄弟姉妹の法定相続分である4分の1を、兄弟姉妹の人数で平等に分け合います。

ただし、父又は母の違う兄弟姉妹(半血の兄弟姉妹)がいる場合、半血の兄弟姉妹の相続分は、父及び母を同じくする兄弟姉妹(全血の兄弟姉妹)の2分の1となります。

配偶者のみ・子供のみ・親のみ・兄弟姉妹のみの場合

この場合、配偶者、子ども、直系尊属、兄弟姉妹が全て相続します。
ただし、兄弟姉妹のうち全血の兄弟姉妹と半血の兄弟姉妹がいる場合、半血の兄弟姉妹の相続分は全血の兄弟姉妹の半分です。

配偶者+孫の場合(代襲相続)

被相続人が亡くなったときに、子が既に死亡しており、亡くなった子の子(被相続人の孫)がいた場合には、孫が代襲相続します。

代襲相続とは、被相続人が亡くなったときに、本来相続人となるはずであった者が死亡するなどしていた場合に、その子などが代わって相続する制度のことです。

被相続人に配偶者がおり、代襲相続人が孫やひ孫などのケースでは、その孫などの法定相続分は、本来の相続人である「子」と同じ「2分の1」となります。

なお、法定相続人になる予定であった兄弟姉妹が先に亡くなっているケースでは、その子である被相続人の甥姪も、兄弟姉妹を代襲相続することができます。
ただし、甥姪の子は再代襲相続することができません。

養子がいる場合

養子は法定相続人となるため、実子と同じように法定相続分があります。
被相続人の配偶者の連れ子に相続権はありませんが、養子縁組をすれば、配偶者の連れ子も第1順位の相続人となることができます。

非嫡出子がいる場合

非嫡出子とは、法律上結婚していない男女の間に生まれた子のことです。

非嫡出子であっても、被相続人に認知されて戸籍にその旨が記載されていれば、第1順位の相続人となり、嫡出子と同じだけの法定相続分が認められることになります。

例えば被相続人に配偶者、配偶者との間の子1人がおり、愛人の子1人を認知していると、子2人の法定相続分はそれぞれ4分の1になります。
ここで、非嫡出子の相続分は、「民法の一部を改正する法律」(平成25年法律第94号)の施行前は、嫡出子の2分の1とされていました。

平成25年9月4日の最高裁決定において、嫡出でない子の相続分に関する規定が遅くとも平成13年7月においては違憲であったと判断されました。
平成13年7月1日以降に生じた相続で遺産分割が未了の場合等、法律関係が確定的となっていない場合、同改正前の民法の規定にかかわらず、嫡出子と非嫡出子の相続分は、同じとして扱われます。

参照:民法の一部が改正されました(法務省HP)

なお、被相続人に認知されていなかった非嫡出子は法定相続人にならず、法定相続分もありません。この場合、被相続人の死後3年以内に検察官に対して認知の訴えを提起することで、親子関係を証明できれば死後認知をしてもらうことができます。

法定相続分が認められない人

法定相続分は、民法で定められた“法定相続人の”相続割合ですから、法定相続人以外の人には認められません。

例えば、相続開始前には相続人になると思われていた者が、何らかの事情で相続権を失うと法定相続分を持ちません。

法定相続分を失った者は、遺留分も失うことになります。
また、次のような者は法定相続人として定められていないため、被相続人とどれだけ親しかったとしても法定相続分は認められません。

離婚した元配偶者

法定相続人になるのは、相続発生時に配偶者であった者だけです。
そのため、かつては配偶者であったとしても、相続発生時には離婚していたのであれば、法定相続人にはなりません。

これは、離婚後に同居していた者であっても同じです。

内縁関係や事実婚の状態にある人

法定相続人になるのは、法律上の配偶者だけです。そのため、内縁関係の配偶者や同性のパートナー等は法定相続人になりません。

このような場合には、遺言の作成で相続に備えることになります。

養子縁組をしていない再婚相手の連れ子

被相続人の配偶者に連れ子がいても、そのままでは法定相続人になりません。法定相続人にするためには、養子縁組をして法律上の子にする必要があります。

これは、実の親子のように仲良くしていたとしても同じです。養子縁組しないのであれば、遺言書を作成して遺贈すること等が必要です。

代襲相続人でない孫や甥姪

被相続人の孫や甥姪は、基本的に法定相続人ではありません。

孫や甥姪が法定相続人になるのは、被相続人の子や兄弟姉妹が亡くなっており代襲相続が発生した場合や、被相続人と養子縁組していた場合等です。

相続放棄した人

法定相続人が相続放棄をした場合、最初から相続人ではなかったものとして扱われるため、法定相続分は認められません。

また、相続放棄の手続きによって相続権を初めから持っていなかったものと扱われる以上、相続権がその後の世代に引き継がれることはありません。
つまり、その後の世代に代襲相続は発生しません。

相続廃除や相続欠格に該当する人

相続人廃除とは、被相続人自身から家庭裁判所に申し立てることで、特定の推定相続人の資格を取り上げる制度です。
被相続人に対して虐待行為や重大な侮辱行為をしたり、ひどい非行に走っていたりした場合に認められる可能性があります。

相続欠格とは、遺産を不当に手に入れるために、推定相続人が相続欠格事由に当てはまる不正な行為をしたことを理由として、その推定相続人の相続権を失わせる制度です。
これは、欠格事由に当てはまると自動的に相続欠格になるため、誰かが裁判所などに申し出る必要はありません。

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法定相続分と遺留分の違い

遺留分とは、配偶者や子、父母などに認められている、最低限の相続財産の取得分です。
法定相続分とは違い、兄弟姉妹には遺留分が認められていません。

また、法定相続分はあくまで「相続割合の目安」なので、遺言や相続人の合意によって異なる割合を指定できますが、遺留分は遺言や相続人の合意では侵害できない「相続人の最低限の権利」です。

そのため、遺言で相続分がないものとされても、遺留分侵害額請求を行うことで、遺留分に相当する金銭を他の相続人等に対して請求できます。

遺産分割が法定相続分どおりにならないケース

遺言書がある場合

被相続人が生前に遺言書を作成していれば、基本的には遺言書で指定されている内容に従って相続財産を分配します。ただし、遺言書で分割方法が指定されていない財産については、別途、遺産分割を行う必要があります。

遺言書では法定相続分とは異なる取り分を指定できます。
相続人の1人に全財産を相続させる旨の指定も可能です。
ただし、遺留分を有する相続人がいると、遺留分侵害額請求が行われてトラブルになるリスクもあるため注意しましょう。

また、相続人の全員が合意すれば、遺言書の内容とは異なる分配を行うこともできます。

生前贈与があった場合

生前贈与が行われると、贈与した時に財産が移転するため、法定相続分がない者であっても被相続人の財産を受け取る結果となります。
財産の大半を生前贈与すると、法定相続人はほとんど財産を相続しません。

ただし、生前贈与によって遺留分が侵害されると、遺留分侵害額請求の対象となります。
法定相続人に生前贈与が行われた場合、相続財産の前渡しとして扱われます。このような利益を「特別受益」といいます。

寄与分が認められる場合

寄与分とは、介護や事業の手伝い等によって、被相続人の財産の維持や増加に特別の貢献をした相続人について、相続財産の取り分(具体的相続分)を増額する制度です。

相続人が寄与分を主張すれば、具体的相続分を増やせる可能性があります。

ただし、寄与分は基本的に相続人の協議又は調停によって金額を決定し、協議がまとまらない場合、審判により定められます。そのため、寄与分があることを証明するための資料等を保存しておかなければ、寄与分を認めてもらえないことが少なくないため注意しましょう。

なお、相続人以外の親族であっても、その寄与に応じた金銭を相続人に対して請求できます。このときに請求できる金銭を「特別寄与料」といいます。

法定相続分に関するよくある質問

法定相続分を超える相続にはどんなものがありますか?

以下のようなケースが考えられます。

・遺産分割協議で多くの取り分が認められた
・遺言書によって取り分が指定された
・取り分に寄与分が加算された
・他の相続人の特別受益が考慮された

法定相続分がない人に遺産を取得させる方法はありますか?

法定相続人ではない者に相続財産を渡したい場合には、遺言書を作成する方法があります。
ただし、遺言書が無効になってしまうと財産を渡せないため、公正証書遺言を作成することをおすすめします。

また、財産を生前贈与してしまうことも有効な手段です。この場合、110万円を超える生前贈与には贈与税がかかるのが原則です。
ただし、相続時精算課税制度を用いることができる場合もあります。

さらに、養子縁組して相続させる方法も考えられます。
この方法では、養子縁組してから関係が悪化しても、離縁が難しい場合がある点に注意しましょう。

法定相続分についてのお悩みは遺産分割問題に強い弁護士にご相談ください

法定相続分は、法定相続人のうち「誰が」「何人」遺産を相続するのかによって変わります。そのため、正確な法定相続分を知るためには、相続人となる者を漏れなく把握することが重要です。

しかし、事情によっては、亡くなった方の親族関係などが複雑で、相続人調査や法定相続分の確認が難しいケースもあります。他の相続人が独自の主張をして譲らない場合等もあるでしょう。相続問題に強い弁護士であれば、煩雑な手続きを代わりに行うことができます。

また、遺産分割に関する話し合いをスムーズかつ有利に進めることが期待できます。
遺産の取り分等について疑問やご不安を抱かれた際には、まずは弁護士にご相談ください。

福岡法律事務所 副所長 弁護士 今西 眞
監修:弁護士 今西 眞弁護士法人ALG&Associates 福岡法律事務所 副所長
保有資格弁護士(福岡県弁護士会所属・登録番号:47535)
福岡県弁護士会所属。弁護士法人ALG&Associatesでは高品質の法的サービスを提供し、顧客満足のみならず、「顧客感動」を目指し、新しい法的サービスの提供に努めています。