婚約破棄の慰謝料を請求された場合の対処法

離婚問題

婚約破棄の慰謝料を請求された場合の対処法

福岡法律事務所 副所長 弁護士 今西 眞

監修弁護士 今西 眞弁護士法人ALG&Associates 福岡法律事務所 副所長 弁護士

結婚を約束した後、心変わり等の理由で一方的にこれを破棄する場合、慰謝料請求される場合があります。ただし、約束したからといって、常に慰謝料請求が認められるというわけでもありません。本項は、この点に関する解説を主に行っていきますので、参考にしていただければ幸いです。

婚約破棄の慰謝料を請求されたら支払わなければならない?

請求されたからといって、常に相手の言い分が正しいとは限りません。裁判実務においても、婚約として法的に保護されるためのハードルは低くありませんし、そもそも支払うべき事案ではない場合もあります。

慰謝料を支払わなくてもいいケース

婚約が成立していない

婚約の不当破棄に対する慰謝料等が認められるためには、「法的保護に値する程度の婚約が有効に成立していたこと」が必要です。日本の民法上、口頭合意でも契約は成立するものとされていますが、抽象的に将来を約束した、というだけでは、自由恋愛の結果に過ぎない等とされ、慰謝料請求の対象外とされる場合がほとんどです

式場の予約、両家の挨拶、婚約指輪や結婚指輪、結納、案内状の送付等、婚約の成立やこれを前提とする具体的な行動等が客観的に存在する、という場合とそうでない場合とでは、取扱いが大きく異なりうるということです。

婚約破棄の正当な理由がある

法的保護に値する程度に、婚約が有効に成立している、という場合にあっても、破棄することについての正当事由が存在する場合は、慰謝料請求される筋合にはありません

典型例としては、相手方の婚約成立後の不貞や暴力、実は既婚者だった等の事情が挙げられます。このような事案では、むしろ破棄した側が相手方に慰謝料を請求するという場合もありうるところです。

慰謝料請求の時効を迎えている

慰謝料請求にも消滅時効という問題があります。行使しないまま一定期間が経過すると、もはや請求は認められなくなるということです。婚約破棄の慰謝料の法的性質を、約束違反(債務不履行)とみるか、不法行為とみるかによって、その期間に違いがあります。前者のほうが時効成立に要する期間は長いですが、この法的性質の解釈には争いがあります。

改正後の民法が適用される事案の場合、前者は権利行使が可能であることを知った時から5年(or権利行使可能となった時から10年)、後者は損害及び加害者を知った時から3年(or不法行為時から20年)という違いがあります。

婚約破棄の慰謝料相場はどれくらい?

婚約破棄に対する慰謝料は、事案によって開きが大きく、「30万円程度」という場合もあれば、「300万円」というような事案もあります。妊娠中絶を伴う場合や、一方が結婚のために正社員の職を辞していた場合、すでに結婚の準備に向けて多額の費用等を支出した場合等、具体的な考慮要素の有無にも左右されます。

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婚約破棄の慰謝料を請求された場合の対応

支払い義務があるかどうか確認する

実際に相手から慰謝料を請求されたという場合、まずはその請求の当否について検討することが必要です。

婚約破棄の慰謝料に限った話ではありませんが、法的判断の伴う問題について、専門知識のない方の自己判断は危険です。同意や署名・押印、支払い等を安易に行わないようご留意ください。

無視は厳禁、連絡を取る

不当な請求については、拒否する姿勢を明確にすることも肝要ですので、一律に無視がダメ、というわけではありませんが、自己判断での行うのは危険です。相手と連絡を取るにせよ、無視するにせよ、専門家の判断をまずは確認しましょう

婚約破棄の慰謝料を請求されたら、弁護士にご相談ください

相手の言い分にも理のある事案の場合、話し合いでの解決を試みたほうが自身にとっても有益だった、という場合もあれば、自ら話し合いを行った結果、本来ならば支払う必要がなかったものについて合意してしまい、支払拒否は実質的に困難となってしまったというように、自己判断で行動して、ダメなら相談しよう、では手遅れという場合があります。思い悩む前に、請求されたら弁護士に相談してみてください

福岡法律事務所 副所長 弁護士 今西 眞
監修:弁護士 今西 眞弁護士法人ALG&Associates 福岡法律事務所 副所長
保有資格弁護士(福岡県弁護士会所属・登録番号:47535)
福岡県弁護士会所属。弁護士法人ALG&Associatesでは高品質の法的サービスを提供し、顧客満足のみならず、「顧客感動」を目指し、新しい法的サービスの提供に努めています。