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離婚問題

離婚で慰謝料を請求された場合に確認すべきこと|拒否や減額はできる?

福岡法律事務所 副所長 弁護士 今西 眞

監修弁護士 今西 眞弁護士法人ALG&Associates 福岡法律事務所 副所長 弁護士

配偶者との離婚に際して、婚姻関係を破綻させた責任として、相手方から慰謝料の請求をされることがあります。
これに応じるべきか否かを判断するにあたっては、典型的な発生原因や相場等の知識が不可欠ですので、以下に記載していきます。

離婚慰謝料を請求されたら確認すべきこと

慰謝料が発生する理由

離婚に至ったからと言って、慰謝料が必ず発生するというものではありません。
婚姻関係を破綻に至らしめた原因が主として一方の側に存する場合だけです。

不貞やDVは、その典型です。
モラハラや経済的DV、悪意の遺棄等も対象となりうる場合はありますが、証拠の確保や事実認定の問題があるため、これらの事由だけで請求が認容される可能性は高くありません。

相手の主張は真実か

虚偽のでっちあげや思い込み等、相手の主張する内容が事実と合致するものでないという場合もありうるところです。

「異性とラブホテルに滞在したけど不貞はしてない」という場合のように、事実がそうであったとしても、客観的には争うのが困難と言う場合もありますが、まずは相手の主張する事実が事実と合致するか、これを裏付ける証拠は存在しうるか、というような面からの検討は不可欠でしょう。

請求金額は妥当か

離婚の慰謝料は数十万円程度から数百万円というように、大きな幅があるものです。
婚姻関係の破綻に至った要因や相手方の帰責性の有無等にもよりますし、DVの場合は行為態様、怪我の程度等の具体的事情にも大きく左右されるところです。

不貞行為の場合、特殊な事案では500万円前後とされたものもありますが、一般的には100~300万円程度と言われています。

離婚慰謝料の支払いを拒否できるケース

争うことを前提にした場合、離婚慰謝料の請求は拒否することが可能な事案もあります。
以下はその典型例です。

相手が主張する内容が虚偽である・証拠がない場合

慰謝料請求の主張が虚偽によるものの場合、そもそも完全なでっち上げと言う場合と、事案の細部にズレはあるが本質部分は事実に沿っているという場合とでは異なりますが、的確に反論することで支払いを免れる場合もありうるところです。

不貞やDV等の事実は請求する側が立証することを求められますので、これらの立証に足る証拠が存在するか否か、との点も重要な意味を持ちます。

時効が成立している場合

離婚に伴う慰謝料は、原則として離婚成立の日から3年(※損害及び相手方を知った時から3年又は不法行為のあった日から20年)の経過で時効となります。

ただし、DV事案の場合、生命又は身体に対する損害部分については、3年ではなく5年です。
時効が成立している場合は、これを援用することで請求を免れることが可能です。

婚姻関係がすでに破綻していた場合

離婚慰謝料は、一方的に婚姻関係を破綻させられたことに対するものです。
別の原因でとうに破綻していたことが証拠上も明らかという事案のように、離婚慰謝料の請求が否定される場合はありうるところです。

離婚慰謝料が減額できるケース

相手にも過失がある

破綻に至っていたとまでは言えないものの、相手方に著しい落ち度が存することが証拠上も明らかというように、一定程度減額の余地につながりうる場合はありうるところです。

相場以上の慰謝料を請求された

離婚慰謝料の請求事案では、「類似の裁判例の傾向等に照らしても、相手方の請求は高額すぎる」ということもあります。
考慮されうる要素は多数ありますので、単純に「○○円以上だから高すぎる」というように明確な基準を示すことはできませんが、高いと思ったら専門家に相談するほうが良いでしょう。

有責性が低い

慰謝料の金額は事案によって幅のあるものです。
DV事案の場合でも“怪我の程度は軽微で回数も少ない”という事案と、“骨折や入院を伴うような怪我を負わせた”事案とでは、そもそもの金額が変わってきます。

離婚慰謝料が増額されるケースもある?

行為態様の悪質性や、その後の対応等、慰謝料の算定に悪影響な事情というものも存在します。
典型的には、不貞発覚後も交際関係を継続するというようなものです。

すでにやってしまったことを覆すことはできなくても、その後に適切な行動をとることで、不利な事情を積み重ねないようにするのも大事です。

離婚慰謝料を決める流れ

離婚慰謝料は、当事者間の話し合いや弁護士を通じた交渉、離婚調停等、話し合いのレベルで請求うしてくる場面と、離婚裁判等の訴訟で請求される場面の二通りがあります。

このうち、強制力を持つのは後者です。前者の過程を経た上で、決裂後に訴訟移行し、その中で認定・判断されるという流れが典型的です。

離婚慰謝料が支払えない場合の対処法

支払いたくてもお金がなくて払えない、という場合でも、債務名義(※判決や調停調書、公正証書等)

に支払うべき旨が記載されている場合は、差押え等を覚悟しなければなりません。
判決は一括払いのみですので、分割払い等にするために和解等で決着させるという判断はありうるところでしょう。

離婚慰謝料の減額に関するQ&A

公正証書を作った後でも慰謝料を減額できますか?

公正証書を作成した時点で、もはや争う余地はほぼありません。
公証人の介在の下、自ら作成したものですので、詐欺や強迫等の取消事由を主張するにも、よほどの証拠等が存在しないと困難と言わざるを得ません。
減額等を希望するならば、作成前に専門家に相談しましょう。

内容証明郵便で慰謝料請求された場合、減額交渉はどのように進めたらいいですか?

上記のとおり、考慮すべき点や判断要素が多数存するものですので、こうすればうまく行くというような一般化は困難です。
内容証明郵便は、文書の送り方の一つであり、これ自体が強制力を持つものではありませんが、自身で交渉するなら、事前に専門家に相談した上で、事案の見極めを行うべきです。

離婚慰謝料を請求されたら、弁護士に相談してみましょう

離婚慰謝料は、事案に応じた見極めや対応が求められる問題ですので自己判断は危険です。 不用意な発言等により、相手に証拠を与えてしまうなど、事態を悪化させるおそれもあります。

公正証書等を作成してから後悔しても、時すでに遅しとなる場合も、少なくとも事前に弁護士に相談しておくほうが安全ですし、内容によっては依頼を検討されたほうが良いと思います。

福岡法律事務所 副所長 弁護士 今西 眞
監修:弁護士 今西 眞弁護士法人ALG&Associates 福岡法律事務所 副所長
保有資格弁護士(福岡県弁護士会所属・登録番号:47535)
福岡県弁護士会所属。弁護士法人ALG&Associatesでは高品質の法的サービスを提供し、顧客満足のみならず、「顧客感動」を目指し、新しい法的サービスの提供に努めています。