浮気・不倫で慰謝料を請求するには証拠が必要！

不貞行為とは、いわゆる配偶者以外の者との性交渉をいいます。不貞行為の事実は、離婚事由になりますし、不貞行為を行った配偶者に対して慰謝料の請求が可能です。ただ、不貞行為の事実の立証責任は、離婚や慰謝料を請求する側にあります。不貞行為は密室で行われるものですから、性交渉を撮影した動画など直接的な証拠があることは極めてまれです。不貞行為があったことを間接的に立証していくことがほとんどです。例えば、ホテルに出入りする様子を隠し撮りした写真や、性交渉に関するＬＩＮＥなどのやり取りといったものが代表的な証拠です。口頭で相手が認めていたとしても、否認に転じられてしまった結果、証拠が残されおらず悔しい思いをすることも珍しくありませんので証拠をの残すことは重要です。

LINE(ライン)にトーク履歴は浮気の証拠になる？

LINEなどのトーク履歴は、証拠になります。とはいうものの、怪しいと感じるやり取りでは足りず、そのやりとりを第三者がみて、不貞関係にあると確認できるようなものでなければなりません。時々あるのは、一部分だけを見ると肉体関係があるようにみえても、前後をみると冗談に過ぎないと取られかねないこともありますので、前後関係も重要になります。

浮気の証拠となる可能性が高いやりとりとは？

性交渉の際の動画や録音はもちろんですがこれが残されていることは極めて稀です。
性交渉の内容を具体的に記載したLINEなどのやり取りは証拠価値が高いといえます。実際、不貞関係にある二人は、気分が高揚しており、恥ずかしいやり取りをしていることも多いものです。
直接的に性交渉についてやり取りがされていなくても、性交渉があったと推認できるやり取りも重要になります。例えば、２人で旅行に行ったことがわかるやりとりや、いわゆるラブホテルに行ったことがわかるやりとりです。

浮気の証拠がLINEのみだと慰謝料請求は難しい？

LINEは、軽い気持ちで冗談交じりに性的なやり取りをすることもあると思います。ですから、LINEに不貞を疑わせるやりとりがあるという程度では証拠として弱いといわざるを得ません。時々、LINEを見たことで憤慨し、LINEを相手に突き付けて認めさせたという相談者がおられます。中には、認めるやり取りを録音したという場合もあります。これで安心と思われるかもしれませんが、そうではありません。当然、ないよりはある方がましですし、裁判でも認められる可能性が高いとはいえます。ただ、よくよく録音を聞いてみると、長時間の詰問の末に認めたのだろうと思われる場合もあります。録音が切り取りのように部分的な場合もあります。また、仕切り直したことが明らかで、「はい、話してください。」といわんばかりの状況が伺われることもあります。冷静なやり取りの結果、認めているものでないと、「脅された。」、「認めないと寝かせてもらえなかった。」、「話を聞いてくれないので、認めて終わらせたかった。」などと反論されることも想定されます。

LINEの内容だけで立証できない場合には、その他の証拠と併せて立証していくことになります。LINEだけに頼るのではなく、LINEを切っ掛けにその他の証拠集めが重要となることは忘れず、感情の赴くくまま行動せずに、冷静に証拠固めをすることを忘れないでください。

LINE以外で浮気の証拠になるものとは？

例えば、次のようなものが証拠になります。

• カーナビの履歴
• クレジットカードの利用履歴
• 預金口座の取引履歴からわかるATMの利用場所
• 交通ICカードの利用履歴

など

要は、不貞関係にあると推認できる場所にいたことや利用内容です。最近では、GoogleMapの位置情報の履歴を残す設定があり、これで行動履歴がわかることもあります。
車などにGPSを設置する方もおられますが、夫婦といえどもプライバシーの侵害になるような場所への設置は違法となりえますので注意してください。

LINEを裁判で使える証拠にする方法

LINEでのやり取りは証拠になります。LINEに証拠が残っていたといって、トーク画面を撮影した画像をお持ちになる方も多いです。しかし、弁護士からみたら、証拠として不十分なことも多くあります。例えば、本人は、妻や夫のスマホを撮影しているので間違いないと確信していても、画像だけをみると、誰のスマホなのか不明なことも多く、内容をみてもニックネームでやり取りがされていて、妻や配偶者が浮気をしていることを読み取れないなどです。

例えば、スマホの電話番号を表示させたり、LINEの友達一覧を表示させて撮影するなど、当該スマホが妻や配偶者の物であることがわかるように撮影しておくことです。画像ではなく、スマホを操作して電話番号を表示させ、その後、LINEアプリを開いて、不貞の証拠のやりとりまでを動画で撮影しておくとよいでしょう。

LINEの画面を写真撮影する

LINEのやりとりをテキストで転送することで、LINEの履歴を残すことができますが、テキストデータをプリントアウトするとわかりますが、Wordなどで同じものを作成することが可能です。また、絵文字は残すことができないので、面倒ですが、LINEアプリを表示して画面を撮影するのが一番です。

LINE画面を撮影するときのポイント

不貞行為がはっきり分かる部分を撮影する
もちろん、浮気相手との肉体関係がはっきりわかる部分を狙って写すことは大切ですが、できる限り前後の文脈がわかるように、面倒ですがなるべくトークの大部分を撮影してください。

スマホ本体の形状や機種が写るように撮影する
撮影の際には、プロフィール画面や電話番号の画面を表示させて撮影することで誰のスマホであるのかを明らかにしてください。

日付や時間、送信者が分かるように撮影する
撮影日時もわかるようにして撮影してください。スクロールしていくと、日付が表示されたりされなかったりしますので、日付を表示させた部分から連続して撮影することになります。裁判では、必ず日付が問われるので、日付の撮影はとても重要になります。
また、相手のプロフィール画面も撮影するなど、誰とのやり取りなのかが第三者にもわかるように撮影してください。

メッセージが長いときは前後がわかるように撮影する
メッセージが連続していることがわかるように、一部重なるように順番に撮影してください。そうしないと、一連のやり取りであることがわからなくなってしまいます。
トークの大部分を、スクロールさせながら、一部重なる部分が生じるように時系列にそって順番に撮影するので、面倒な作業ではありますが、重要なので頑張ってもらうしかありません。

LINEのトーク履歴をバックアップする

撮影する時間がない、大量にあって全て撮影することができないなどということもあるでしょう。また、撮影したと思っていても上手く撮影できていないこともあるので、トーク履歴をバックアップし、転送しておくことも重要です。

LINEで浮気の証拠を掴むときの注意点

妻や夫のスマホの内容を勝手に見たことがある人も多いと思います。ただ、たとえ夫婦であっても、勝手にスマホの内容を見ることは、違法となる可能性がありますので注意が必要です。

相手のLINEを勝手に見ることは違法？

たとえ、妻や夫のスマホといえども、当然プライバシーがあるため、無断で内容を除くのは違法なプライバシー侵害となる可能性があり、法的には問題があるといわざるをえません。たまたま、ポップアップ通知が見えたというものであれば、故意でもないですし、過失ともいえませんので、問題はないでしょう。

ID・パスワードを勝手に使うと不正アクセス禁止法違反

パスワードやIDを入力してSNSなどの情報を見たいと思うかもしれません。ただ、たとえ夫婦でっあっても、パスワードやIDを勝手に入力してログインしてネットワークに侵入することは不正アクセス禁止法違反になります。
実際に警察が捜査するかどうかは別ですが、夫婦だからと安易に考えていると、刑事罰もあるので注意してください。

相手が浮気を認めたら「不貞の自認書」の作成を！

不貞は、密室で行われるものなので、決定的な証拠をつかむことは簡単ではありません。探偵などを利用して、ホテルや自宅に滞在した証拠をつかむといっても費用も高額になってしまいますし、必ず証拠をつかめるかどうかわからず、無駄に終わることもあります。裁判で探偵費用の一部について損害賠償が認められることもありますが、必ず認められるものではありません。

探偵による証拠まではということも多いでしょう。相手が認めた場合には、文書を残すようにしてください。自認書、謝罪文など名前は何でも構いません。自筆で、署名押印したもので、不貞の時期や相手の名前など、できるだけ具体的に記載してもらいます。ここで注意しないといけないのが、強要して書かせたと後で言われないようにしておくことです。

浮気を匂わせるようなLINEを発見したら、まずは弁護士にご相談下さい。

ＬＩＮＥを証拠として持ち込まれる方は少なくありませんが、少なからず、証拠として使えない場合があります。不貞を疑うＬＩＮＥの履歴があると感じた場合には、一度、どのように証拠化するのがいいのか弁護士などへご相談されることが良いと思います。また、仮にＬＩＮＥなどだけでは証拠として弱いとしても、他の証拠と組み合わせて使える場合もありますので、諦めずに、他に証拠として残すべき、残せるものはないかなど、証拠化の段階からご相談ください。