親権とは | 親権を決める流れと獲得のポイント

親権とは | 親権を決める流れと獲得のポイント

「親権」という言葉は、広く知られています。
特に、未成年の子がいる夫婦が離婚を考える場合、親権について十分に検討する必要があります。離婚の際、いわゆる親権争いが夫婦間に生じることも珍しくありません。また、親権について不安があるために離婚に踏み出すことができない、という方もおられます。

以下では、まず親権の内容について解説した上、離婚する際に親権について検討が必要な事項についてお伝えします。

親権とは

親権とは、成年に達しない子(未成年の子)を監護養育する権利のことをいいます。未成年の子は、心身が未成熟であり、保護が必要な存在ですので、親権に服するのです。
親権の具体的内容は、子の身上に関する権利義務(身上監護権)と、子の財産に関する権利義務(財産管理権)の二つに大別されます。

それでは、以下において、親権の内容について解説します。

親権の種類

財産管理権

親権者は、子の財産を管理し、かつ、その財産に関する法律行為についてその子を代表する権限があります(民法824条本文)。これを、財産管理権といいます。
親権者の財産管理権は、広範で包括的なものであり、子の財産関係の一切に及ぶのが原則です。

ただし、財産管理権の行使は無制約というわけではなく、自己のためにするのと同一の注意をもって行使しなければならず(同法827条)、子との利益相反行為については行使を制限されるなど(同法826条)、法律上の制約があります。
親権者の財産管理権は、未成年の子のために設けられたものです。親権者自身の利益を図るためではなく、子の利益にかなう方法で行使しなければなりません。

身上監護権

親権者は、子の利益のために子の監護及び教育をする権利を有します(民法820条)。これを、身上監護権といいます。
その具体的内容は、居所指定権(同法821条)、懲戒権(同法822条)、職業許可権(同法823条)などが挙げられます。このように、身上監護権は、子の生活全般に影響を及ぼす非常に広範なものです。

ただし、身上監護権は「子の利益のため」(同法820条)に行使されるべきものであって、親権者が無制限に行使できるわけではありません。そればかりか、身上監護権の行使が子の利益を著しく害する場合、親権の停止又は喪失の審判が行われる可能性すらあります(※親権停止・喪失については、後で詳しく説明します。)。 

親権と監護権について

親権の中には身上監護権が含まれますので、親権と監護権を分けて考える必要がないのが通常です。
しかし、例えば、一方の親が子の身上監護には適任であっても、財産管理については不適当というケースがあり得ますし、父母の親権争いを円満に解決するために一方を親権者、他方を監護者とすることが適切なケースも想定されます。

そこで、離婚の際、「子の監護をすべき者」すなわち監護者を定めることができます(民法766条1項)。

親権が有効なのはいつまでか

親権に服するのは、「成年に達しない子」に限られます(民法818条1項)。
そして、子が20歳になると成年に達しますので(同法4条)、親権は当然に消滅します。また、20歳未満の子が婚姻をしたときは、成年に達したものとみなされますので(同法753条)、やはり親権は消滅します。

なお、民法改正により、2022(令和4)年4月1日から成年年齢が「18歳」に引き下げられますので、注意が必要です。

離婚の際に親権を決める流れ

離婚をするときは、未成年の子の親権者を決めなければなりませんが(民法819条1項)、法律上の明確なルールはなく、父母の話合いで決めることとなります。
そして、親権者が決まらない場合、離婚自体が成立しませんので、家庭裁判所に離婚調停を申し立てて離婚条件及び親権について話し合う必要があります。

なお、調停が不成立となり離婚訴訟が提起され、判決で離婚が認められた場合、裁判所が親権者を定めます(同条2項)。

親権獲得のためのポイント

親権者の指定については、まず父母の話合いで決めることとなります。離婚調停を申し立てた場合も、家庭裁判所から親権者を指定されるわけではなく、父母の話合いをすることに変わりありません。

しかし、裁判所が離婚訴訟の判決で親権者を定める場合、どちらが親権者に適任であるかを判断しますので、子の身上監護の状況を重視すると考えられます。
親権獲得のためには、親権者として適任であると主張できる事情の有無が重要です。

父親が親権を取得することは可能?

一般的に、親権の獲得については、母親が有利だと言われます。これは、「母親だから」有利なのではなく、「子の身上監護を実際に行っているのが母親であることが多いから」有利なのだと考えられます。

親権獲得のために重要なのは、父親であるか母親であるかという点ではなく、身上監護を行っている実績があるか否かという点です。親権は、子の利益のために行使すべきものですので、その行使に適任である者が、親権者にふさわしいといえます。

もし、あなたが父親で、子の親権を望む場合、まず子の身上監護を実際に行った上、自分が親権者として適任であるということを主張すべきです。

無職でも親権を獲得したい場合

まず、無職の場合、親権を獲得する上で不利な立場にあることは、否定できません。
これは、無職であるということが悪いわけではなく、今後の子の身上監護の上で経済的な不安が大きいためです。親権は、子の利益のために行使すべきものですので、子の身上監護を適切に行うことができる者が、親権者として適任です。経済的条件も、その判断の一要素となる可能性があります。

もし、あなたが、無職だけれど親権を望む場合、子の身上監護を実際に行ったという実績があるか否かを、まず顧みてください。次に、今後の身上監護の上で経済的な不安がないと主張できるか否かを、よく検討してください。

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親権を決める際に注意すべきこと

安易に決めると後々の変更は困難です

離婚後に親権者を変更することは、全く不可能というわけではありませんが、容易ではありません。
たとえ父母双方の話合い(協議)で合意に達した場合でも、それだけでは親権者を変更することはできず、必ず家庭裁判所の審判又は調停によって行うこととなります(民法819条6項)。そして、親権者の変更において重視されるのは、「子の利益のため必要がある」といえるか否かという点です。

このように、親権者の変更は容易ではないということを理解しておきましょう。くれぐれも、離婚の際、安易に親権者を決めることがないように注意しましょう。

親権獲得後の養育環境で、親権停止・喪失する場合も

親権停止は、「親権の行使が困難又は不適当であることにより子の利益を害するとき」(民法834条の2第1項)、2年を超えない範囲内で(同条2項)、家庭裁判所の審判により親権を停止する制度です。

親権喪失は、「虐待又は悪意の遺棄があるときその他父又は母による親権の行使が著しく困難又は不適当であることにより子の利益を著しく害するとき」(同法834条)、家庭裁判所の審判により親権を喪失させる制度です。

いずれも、子の福祉のための制度であり、離婚後の養育環境が非常に劣悪であるときには、これらの審判が行われる場合があります。
なお、子本人又はその親族が、家庭裁判所に対し請求を行うことができます。

子を連れた勝手な別居は不利になる場合も

父又は母は、婚姻中は親権を有しており、身上監護権を行使することができますので、子を連れて別居した場合であっても、違法とまではいえないことが多いです。
しかし、一方の親が、他方の親と話し合うこともせず、一方的に子を連れて別居してしまった場合、裁判所から不利な判断をされる危険性があります。具体的には、監護者指定の審判において監護者として不適任であると判断される可能性があるほか、子の引渡しを命じる仮処分又は審判が行われてしまう場合すらあります。

このように、子を連れた勝手な別居は、裁判所から不利に扱われてしまうという法的リスクが伴うことを、十分に理解しておく必要があります。

親権を獲得できなかった場合の養育費について

養育費とは、子の世話をしていない親が、実際に子の世話をしている親に対して支払う金銭のことです。離婚に際して親権を獲得できなかった親は、子の世話をしない代わりに、養育費を支払う義務を負う場合が多いです。

そして、養育費の具体的な金額については、互いの収入、子の数と年齢に応じて、1か月ごとの金額を定める「標準算定方式」があり、裁判所のウェブサイトでも公開されていますので、一つの参考となります。

親権が取れなかった側の面会交流について

面会交流とは、子と別居している親が、子と会うことをいいます。離婚に際して親権を獲得できなかった親が、面会交流を求めることとなります。

子の年齢にもよりますが、子と同居している親に協力してもらう必要があることが多いため、離婚の際に、面会交流の条件についても話し合っておいた方が望ましいでしょう。また、面会交流の実施に際しては、子の福祉に十分配慮すべきと考えられます。

親権問題は弁護士に相談して入念な準備をしましょう

離婚の際、親権争いが生じることは、珍しくありません。
どのように話合いをすればよいのか、親権を獲得するために何をすればよいのか、話合いが決裂した場合にはどうすべきかなど、悩むことも多いでしょう。また、子の将来を考えて、親権は相手方に譲ると決心した場合であっても、養育費の支払をどうすべきかなど、不安は絶えないことでしょう。
残念ながら、世の中には不正確な情報が多く見られますし、法的知識が乏しいために不利な立場に置かれてしまうケースもしばしばあります。

もし、あなたが、離婚を考えていて、未成年の子の親権問題について不安がある場合、まずは弁護士に相談することをお勧めします。

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この記事の監修

福岡法律事務所 所長 弁護士 今西 眞
弁護士法人ALG&Associates 福岡法律事務所 所長弁護士 今西 眞
福岡県弁護士会所属。弁護士法人ALGでは高品質の法的サービスを提供し、顧客満足のみならず、「顧客感動」を目指し、新しい法的サービスの提供に努めています。
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