相続登記とは|手続きの方法と問題になりやすいケース

相続登記とは|手続きの方法と問題になりやすいケース

不動産を売り買いした場合や、誰かに譲った場合は、権利の変動に合わせて、不動産登記の名義を移転するのが通常です。相続登記もこれと同じく、不動産の所有者であった故人(被相続人)から、これを受け継いだ相続人へと、所有権登記の名義を移すものです。

登記の名義は、申請しなければ実態に合わせることはできませんし、実態と登記名義が異なっていると、不動産を処分する場面や、将来子供や孫の世代に受け継がせる場面等、様々な不都合が生じるものですので、相続登記に必要な知識について、本記事を参考にしていただければ幸いです。

相続登記とは

相続登記とは、亡くなった所有権者(被相続人)から、相続人に所有権登記の名義を変更するものです。相続登記をしなければ、いつまでたっても不動産の名義は亡くなった方のまま、実態と登記簿上の記載が異なる状態が続いてしまいます。不動産を売却するとき等、登記簿上の名義人と実態がずれていると手続を進めることはできません。

相続の問題は、時間が経てばたつほど細分化してしまいます。そうなると、戸籍を集めるのも一苦労というように、子や孫の世代に財産を残す制度であるはずの相続が、重荷を残すことにもなりかねませんので、遺産分割や相続登記の問題はその都度、きちんと処理しておくことが肝要です。

相続登記の手続き方法

登記の名義は勝手に変更されるものではなく、持ち主が亡くなったからといって、勝手に登記の名義が相続人にスライドするような仕組みにはなっていません。不動産をお持ちの方が亡くなり、その財産を引き継いだ相続人は、必要書類を揃えた上で法務局に申請しなければならないということです。具体的には以下のような手順を踏みます。

不動産の所有者を確認する

相続登記を行う場合、まずは現在の登記簿上の所有者が誰なのかを確認します。当たり前のことのようですが、「父親の土地だと思って生活してきたが、実は先々代の名義のままだった」というように、資料を実際に確認することはとても大切なことです。

必要な書類を集める

相続登記を行う場合、①登記申請書や、②被相続人の戸籍(原則として、出生から死亡まで)、③本籍地記載の住民票(又は戸籍の附票)、④当該不動産の固定資産評価証明書は常に必要です。①は申請書ですので、必要不可欠であることは言うまでもありません。②は被相続人の特定や死亡した事実を、③は戸籍と登記簿の人物(被相続人)が同一であることを示すための資料です。④は登録免許税の算定に用います。遺言書や調停調書等による場合でなければ、通常は相続関係説明図も提出します。

遺言書がある場合で、遺言書どおりに登記する場合には、当該遺言書(公正証書遺言や自筆証書遺言保管制度を用いた場合でなければ、検認調書も添付)も必要です。この場合、②は、㋐死亡の記載がある戸籍のみ(≒除籍謄本)で足ります。

遺言書がない場合で法定相続分どおりに登記する場合は、①~④に加えて、⑤相続人全員の現在の戸籍と、⑥相続人全員の住民票を提出します。法定相続分どおりではなく、遺産分割協議書の内容で登記する場合は、①~⑤に加えて、㋑不動産を取得する者の住民票と、相続人全員が実印で押印した遺産分割協議書と各自の印鑑証明書が必要です。

遺産分割調停や審判にて、法定相続分と異なる内容の登記をする場合は、記載内容にもよりますが、調停(審判)調書の謄本と④、㋑が必要です。

相続関係説明図、登記申請書を作成する

相続関係説明図とは、被相続人と相続人を続柄とともに一覧できるように図面化した書類です。これを添付すると法務局から、提出した戸籍の原本の還付が受けられるので、法定相続分どおりの相続登記や、遺産分割協議書による場合等には添付するのが通常です。

また、登記申請書(相続登記の場合、正確には「所有権移転登記申請書」)は、遺言書の有無や法定相続分、遺産分割協議等、申請内容に応じて、法務局に様式が準備されています。インターネットからもダウンロードできます(http://houmukyoku.moj.go.jp/homu/minji79.html)。

法務局へ申請する

登記申請書や各種添付資料が揃ったら、法務局に申請します。申請の方法は、法務局の窓口で行う他にも、郵送やオンラインによる申請も可能です。

登記識別情報を受け取る

相続登記が完了すると、申請人に対し、法務局から「登記識別情報通知」という書類が発行されます。登記識別情報は、12桁の英数字で構成された、不動産の名義変更に使うパスワードのようなものですので、厳重に保管しましょう。

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相続登記を行った場合に掛かる税金は?

不動産登記の申請を行う場合は、「登録免許税」を納めなければなりません。その金額は、固定資産評価証明書記載の金額に、0.4%の税率をかけたものです(100円未満は切り捨て)。納付は、現金で行うことが原則ですが、3万円以下の場合は収入印紙でも行うことができます。

相続登記の期限

2021年3月現在は、相続登記に申請期限等は設けられていませんが、この点は法改正され、明確な期限が設けられる可能性が高いところです。
2021年2月11日の報道によると、相続時の登記の義務化と、取得を知ってから3年以内の登記申請、これに対する違反に対する罰則等の法改正案が法制審議会で答申されており、3月にも閣議決定して、今国会での成立や2023年の施行を目指しているとのことですので、今後の動向に注意が必要です。

相続登記で問題になりやすいケース

令和3年3月現在は、相続登記には義務や罰則がありませんし、不動産をそのまま使い続ける場合、相続登記を行わずに放置しても、すぐに実害を感じることは少ないでしょう。しかし、これを放置し続けることは、次の世代以降に大きな負担をかけてしまうものです。
特に問題となるのが、不動産を売却する場面です。登記名義人と売主が一致しないと、売買が成立することはまずありえません。

遺産分割等を経ていれば、当該不動産の取得者が相続登記をしないというのは考え難いところですので、相続登記をしていない場合とは、遺産分割も相続登記もしていない場合でしょう。法定相続分どおりの内容で行う相続登記は、相続人の一人が単独で行うことができますので、登記は可能だとしても、長年放置した結果、多数の共有者が生じてしまい、売るに売れないという事態に陥る危険があります。
これを解消するためには、遺産分割協議や調停等を行う他ありませんが、多数の利害関係が絡む状態では、解決までに時間を要するでしょうし、場合によっては海外在住で連絡すらつかないというように解決が困難な事態に陥る危険もあります。

このように、相続登記や遺産分割の問題は、放置すればするほど、問題の根の深めてしまうものです。不動産という重要な資産が絡む相続の問題については、必ず専門家に相談し、遺産分割の要否や相続登記の方法等を確認しておくことを強くお勧めいたします。

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この記事の監修

福岡法律事務所 所長 弁護士 今西 眞
弁護士法人ALG&Associates 福岡法律事務所 所長弁護士 今西 眞
福岡県弁護士会所属。弁護士法人ALGでは高品質の法的サービスを提供し、顧客満足のみならず、「顧客感動」を目指し、新しい法的サービスの提供に努めています。
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