福岡の弁護士による交通事故被害者相談

福岡の弁護士による刑事事件の相談

示談の時効に注意!請求できなくなる場合があります

一般の方々が「時効」という言葉に接して思い浮かべがちなのは、刑事事件の時効ではないでしょうか。実は、交通事故の損害賠償請求をするときにも、一定期間の経過によって時効が完成し、請求が認められなくなってしまうことがあります。時効はどのような仕組みで扱われているのか、以下、詳しくご説明いたします。

交通事故示談の時効とは

交通事故における損害賠償請求は事故発生から何年経ってもできるわけではありません。民法上の消滅時効(民法724条前段)が完成してしまうと最終的に請求ができなくなってしまいます。 交通事故における損害賠償請求は、民法上では不法行為に基づく損害賠償請求権に基づいてなされるものであり、法律上、原則として損害及び加害者を知ったときから3年間権利を行使しなかったときに完成する、と定められています。

時効の開始時期とは

それでは時効はいつの時点から数えられていくのでしょうか。

法律上では「被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知ったときから」と定められています。被害者ご本人又は被害者の法定代理人(例;被害者が未成年のお子さんの場合には親権者である親御様になります。)が認識できているかがポイントとなります。

損害の具体的な中身の認識までは求められていません。ただ、①物損の損害賠償請求は、基本的に交通事故発生時から数えていくことになります。他方で、②人身傷害の損害賠償請求は、交通事故による損害の内容が事故発生時点で直ちにわかるわけではないため、色々な考慮要素があるものの、症状固定時とされることが多い傾向にあります

時効を過ぎてしまった場合

時効は数え始めてから3年間が経過してしまえば、直ちに損害賠償を請求できなくなってしまうのでしょうか。

3年間の時効期間が経過すると、交通事故による損害賠償請求の訴訟を起こした時に、被告(=加害者)側から、裁判の場で「消滅時効の援用の意思表示をする」ことを明らかにしてもらう必要があります(民法145条)。したがって、被告側が消滅時効を援用しないうちは、直ちに請求が認められなくなるわけではありません。

また、3年間の時効期間が経過しても、加害者側が支払うことを前提とした回答をしている場合には、法律上、加害者側が時効の利益を放棄したと評価される余地があります。時効の利益の放棄は裁判で行ってもらう必要はありません。このときには放棄の日から3年間が経過するまで数え直すことになります。

交通事故示談の時効について不安な場合は、弁護士にご相談ください。

交通事故から時間が経ってしまい、時効が完成する時期が近づいてくると焦ってしまいがちになりますので、お早目に弁護士にご相談していただくことが大局的にはスムーズな解決につながります。

もし、交通事故から大分時間が経ってしまっていたとしても、それまでに保険会社との間でなされたやりとりの内容によって、時効の問題をあまり気にしなくてもよい状況にあるかもしれません。そのため、まずは事故から現在までの経過がわかる資料を持って、お早目に弁護士へ相談されることをお勧めいたします

時効までに示談成立が難しい場合

交通事故発生後、加害者や加害者側の損害保険会社との交渉を続けているけれども、時効が完成するまでに示談がまとまりそうにない場合があります。

こうした場合、加害者や加害者側保険会社とのやり取りの経過によっては時効期間の計算が中断され、示談交渉中のある時点から数え直せることがあります。また、被害者側から時効期間の計算を中断させる方法もあります。

時効中断の方法

債務があることを認めてもらう

義務者に債務(義務)があることを認めてもらうことを、法律上では「債務の承認」と呼んでいます。時効期間の計算を中断させ、承認した時点から数え直しとさせる効果があります(民法147条3号、157条1項)。

これを交通事故事案にあてはめてみると、加害者側が被害者側に対し、損害賠償義務を負っていることを認める行為を指します。

法律上、「債務の承認」に方法の指定はありません。ただ、後で言った言わないの問題になることを避けるため、書面等記録に残る方法で控えておくことが多いです。

示談金の一部を仮払いしてもらう

加害者や加害者側損害保険会社から示談金の一部でも支払われていた場合には、法律上、損害賠償義務者である加害者が「債務の承認」をしたと評価されます。示談金の一部支払いは、たとえ被害者側と加害者側との間で損害賠償額の考えに開きがあったとしても、損害賠償義務の存在自体を認めているのは明らかな行為なので、「債務の承認」にあたると解釈されています。

したがって、例えば、治療が済んだ後、示談交渉をしている途中に加害者側から示談金が一部でも支払われれば、その時点から時効期間を数え直すことになります。

訴訟(裁判)や催告によって請求をする

加害者側が損害賠償義務を承認している、示談金の一部の支払いがあったけれども、その日から3年が経過しそうな場合であっても、まだ手段はあります。

法律上、「催告」をした場合にはそのときから6カ月間が経過するまでは時効は完成しません(民法153)。ただし、この「催告」は一度きりの方法です。催告の方法に特に指定はなく、賠償額をきちんと計算しておく必要はありませんが、加害者に対して損害賠償請求をする意思を伝える必要があります。また、言った言わないの問題が生じ得るため、実務上は内容証明郵便で通知書を送る方法がポピュラーです。

訴訟を起こした場合の時効

訴訟(裁判)を起こした場合、裁判所で損害賠償額の内容を判断してもらうことになります。裁判所から出してもらう判決又は裁判上の和解で終わりを迎えることがほとんどです。

訴訟では加害者が被害者に支払うべき損害賠償額を決める手続なので、時効期間の計算は裁判を起こした時点で中断され、判決が確定したとき又は和解が成立したときから数え直されることになります(判決の扱いについて民法157条2項)。このときの時効の期間は10年間で扱われます(民法167条1項)。

催告の場合の時効

加害者側に「催告」をした場合、催告をしてから6か月間以内に「裁判上の請求」(=訴訟を起こすこと)や民事調停等の法的手続の申立てをしなければ、効果がなくなってしまう点に注意が必要です(民法153条)。

そのため、例えば、3年間の時効期間が経過してしまいそうな場合、まずは一旦加害者に「催告」の通知書を送ることでそこから6か月間の時間を稼ぎ、この間に訴訟を起こして時効の中断をさせる、という使い方が効果的です。

焦って示談するのは厳禁

加害者側保険会社から早期の示談を勧められたり、消滅時効の可能性をほのめかされたりすることがあります。しかし、焦るあまり示談を早々に進めてしまい、後で増額交渉の余地があったことを知ってももはややり直しがきかない、という悲劇となりかねません。

治療経過、交渉経過、治療後の行動の仕方によって消滅時効が完成するタイミングは随分と変わってきます。まずは弁護士に状況を話していただき、焦らず対処していくのが吉です。

示談が進まない場合の方法

事案によっては、加害者側と示談交渉をしていても、損害額の内容や過失割合の内容をめぐって真向から意見が分かれて進まないといった事態に接することがあります。

このような場合には、示談交渉の方法にこだわらず、紛争処理センターやADRセンターでのあっせん手続といった専門家の方々に話し合いの間に入っていただく方法を利用することが考えられます。あっせん手続の中では賠償額のあっせん案等意見を出してもらってより具体的な落としどころを探れます。

また、どうしても賠償額の意見が合わなければ、訴訟(裁判)で裁判所に結論を決めてもらう方法で解決を図ることが挙げられます。

示談が進まないのはなぜ?原因や対処法を詳しくみる

時効が迫り焦らないよう、早めの弁護士依頼をご検討ください。

交通事故に遭われてからしばらく時間が経ってくると、治療が進んでひと段落ついていたり、ご自身が忙しくなってしまったりして、賠償額を決めるという解決の部分が忘れられてしまいそうになります。また、治療に長期間かかる、治療は終わったけれども賠償額の中身で納得がいかず長いこと揉めている時間が経ってしまうこともあります。そんな折に時効の話に接すると、間に合うのかしら、賠償金を払ってもらえるのかしら、といった不安や焦りに突き動かされてしまい、判断を誤りかねません。

時間が大分経ってしまったときはもちろん、これから時間がかかりそうなとき、慌てずベターな解決方法を探っていきたいときにも、まずはお早めに弁護士に相談、ご依頼し、タイムスケジュールの整理をしてもらうことをご検討ください。