監修弁護士 今西 眞弁護士法人ALG&Associates 福岡法律事務所 副所長 弁護士
交通事故に遭った場合、顔を強く打ち付けたりすることにより、口が開かなくなったり、噛み合わせが正常にできなくなったりする可能性がございます。その結果、食べ物を摂取するうえで必要不可欠な咀嚼ができなくなるもしくは十分にできなくなる可能性がございます。
この場合、咀嚼の機能障害として、後遺障害等級が認定されれば、慰謝料を増額することができます。
具体的にどのような症状があれば後遺障害として認定されるのか、以下詳しく説明いたします。
目次
咀嚼の機能障害にはどんなものがある?
咀嚼の機能障害としては、①咀嚼機能を廃したもの②咀嚼機能に著しい障害を残すもの③咀嚼機能に障害を残すものがあります。
①は、流動食以外は摂取できないものをいいます。
②は、粥食またはこれに準ずる程度の飲食物以外は摂取できないものをいいます。
③は、固形食物の中に咀嚼できないものがあることまたは咀嚼が十分にできないものがあり、そのことが医学的に確認できる場合をいいます。
咀嚼機能に影響が出ると診断された場合の対処
診断医に咀嚼機能に影響が出ると診断された場合、後遺障害等級認定の申請手続を行う必要がございます。
その際、後遺障害等級の認定を受けるには、医者や歯医者の後遺障害診断書及びレントゲン等の各種検査結果が必要不可欠となります。中でも後遺障害診断書に記載される他覚的所見が等級認定にとって最も重要であり、その作成には医学的知識に加え、法的知識が必要となります。
病院で受けたほうが良い検査
後遺障害等級認定の申請を行う上で、重要なことは他覚的所見があるか否かです。そのため、病院ではレントゲン、CT及びMRI等の画像検査を受けることが必要です。画像検査の結果、咀嚼機能に影響があるということが判明した場合、後遺障害診断書に医師がその旨を記載します。
なお、自覚症状についても医師にしっかりと伝えることで、診断書にその旨を記載してもらう必要がございます。
後遺障害等級と慰謝料
咀嚼の機能障害で認定される可能性のある後遺障害等級とその慰謝料をご紹介します。
後遺障害等級 | 自賠責基準 | 弁護士基準 |
---|---|---|
1級2号(別表第2) | 1150万円 | 2800万円 |
3級2号 | 861万円 | 1990万円 |
4級2号 | 737万円 | 1670万円 |
6級2号 | 512万円 | 1180万円 |
9級6号 | 249万円 | 690万円 |
10級3号 | 190万円 | 550万円 |
通院した場合は別途慰謝料が支払われる
入通院していた場合は、後遺障害慰謝料に加えて、入通院慰謝料を別途請求することができます。入通院慰謝料額の目安は下記計算ツールを利用してください。
なお、計算ツールを利用する際、咀嚼の機能障害は、「重症の場合」に該当しますので、「重症」を選択して計算してください。
損害賠償計算ツールへ交通事故が原因の咀嚼障害はご相談ください
交通事故に遭われた上に咀嚼の機能障害を患ってしまった場合、人間の三大欲求である食を楽しむことができない状態であると思います。
そのような精神的苦痛は、法律上は「損害」として加害者に損害賠償請求することになります。その際、弁護士が介入することで保険会社提示の慰謝料額を増額することができたり、法的な側面から後遺障害診断書の記載方法を医師にアドバイスすることもできます。更に、医療に強い弁護士に依頼すれば、後遺障害等級認定に不可欠な記載事項や方法を医師や依頼者にアドバイスすることで、納得のいく結果を得られる可能性が高まります。
交通事故に遭われてお悩みの方は、是非一度弊所へご連絡ください。最善の解決策を提供いたします。
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保有資格弁護士(福岡県弁護士会所属・登録番号:47535)